●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



W-pI.136.1:1 ~ W-pI.136.20:7

Lesson 136 



Sickness is a defense against the truth.
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
❖ "Sickness is ~ "「病は真実に対する防御である」。あなたの知覚はこの世界も肉体も実在すると感じ、心は知覚の言うままに、それが幻想に過ぎないという真実に抵抗し、知覚の正しさを防御する。誤った知覚は心の歪み作り出し、歪んだ心はその歪みを外部へと、肉体という外側に投影する。こうして、肉体は病を現実化してしまう。しかし、悲観することはない。あなたの心の歪みが幻想の病を作り出したのだから、あなたは病を取り消しに出来るのだ。



1. No one can heal unless he understands what purpose sickness seems to serve. For then he understands as well its purpose has no meaning. 
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、〜に仕える」
  • as well : 「同じに、おまけに、その上」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図」
❖ "No one can ~ "「病がいったいどんな目的に仕えているように見えるか、それを理解するまで、誰もヒーリングすることは出来ない」。病が何のためにあるのか、それを理解しない限り、誰もヒーリングすることもヒーリングされることも不可能だ。"For then he ~ "「なぜなら、それが理解出来たとき、病の目的もまったく意味がないのだと同様に理解するからだ」。



Being causeless and without a meaningful intent of any kind, it cannot be at all. When this is seen, healing is automatic. 
  • causeless [kɔ́ːzlis] : 「原因のない、正当な理由のない」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、重要な」
  • intent [intént] : 「意図、目的」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
  • automatic [ɔ̀ːtəmǽtik] : 「無意識の、自動の」
❖ "Being causeless ~ "「正当な理由もなく、いかなる種類の意味ある意図もないので、病はまったく存在出来ない」。病は実相的正当性がまったくないので、したがって幻想に過ぎず、実在しない。"When this is ~ "「このことが分かったとき、ヒーリングは自動的に発動する」。



It dispels this meaningless illusion by the same approach that carries all of them to truth, and merely leaves them there to disappear.
  • dispel [dispél] : 「一掃する、払いのける」
  • approach [əpróutʃ] : 「やり方、姿勢、取り組み」
  • carry [kǽri] : 「〜を持ち運ぶ」
  • disappear [dìsəpíər] : 「存在しなくなる、消滅する」
❖ "It dispels this ~ "「意味のないものすべてを真実の下(もと)へと運び、ただ単にそれらがそこで消滅してしまうに任せるという同様のやり方で、ヒーリングはこの意味のない幻想を払拭する」。幻想という闇を真実の光の下にさらすことで、幻想の闇を消し去るのである。病も同様に、幻想の闇に過ぎないから、あなたが真実を知って、心に光が再生されれば、ヒーリングすることもヒーリングされることも可能となる。



2. Sickness is not an accident. Like all defenses, it is an insane device for self-deception. 
  • accident [ǽksədənt] : 「事故、偶発事故、天災」
  • insane [inséin] : 「ばかげた、正気でない」
  • device [diváis] : 「装置、仕掛け、工夫」
  • self-deception [disépʃən] : 「自己欺瞞」
❖ "Sickness is ~ "「病は偶然の事故などではない」。"Like all defenses ~ "「あらゆる防御と同じように、病は自己防御のための狂った仕掛けである」。真実に目を向けることを避けて、肉体が実在だと信じる自分を防御するために、幻想の肉体に幻想の病を作り出し、関心のすべてをそこに向かわせる。



And like all the rest, its purpose is to hide reality, attack it, change it, render it inept, distort it, twist it, or reduce it to a little pile of unassembled parts. 
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標」
  • hide [háid] : 「隠す、隠蔽する」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する」
  • render [réndər] : 「〜にならしめる、〜にする」
  • inept [inépt] : 「無能な、不適切な」
  • distort [distɔ́ːrt] : 「歪める、歪曲する」
  • twist [twíst] : 「歪める、ひずませる」
  • reduce [ridjúːs] : 「減らす、減じる」
  • a pile of : 「山のような、山ほどの」
  • assemble [əsémbl] : 「組み立てる」
  • part [pάːrt] : 「部品、パーツ」
❖ "And like all ~ "「残りのすべてと同じように、」ここの残りとは、エゴの思考システムが作り出した策略のうち、自己防御以外のすべて、という意味合いだろう。"its purpose is ~ "「病の目的は実相を隠すことであり、実相を攻撃し、それを変え、無能なものとし、歪め、ひずませ、あるいは、実相を解体して、組み立て前のパーツの小山にすることである」。病(幻想)は実相を、あらゆる手段を使って攻撃する。病が圧倒的にリアルに見える所以(ゆえん)である。



The aim of all defenses is to keep the truth from being whole. The parts are seen as if each one were whole within itself.
  • whole [hóul] : 「壊れていない、欠けたものがない」
  • as if : 「あたかも〜かのように」
❖ "The aim of ~ "「すべての防御の目標は、真実を完全な形にしないようにすることである」。"The parts are ~ "「パーツは、それだけを取ってみれば、あたかも一つ一つが完全であるかのように見える」。が、組み立てられていない真実は完全ではないし、機能しない。



3. Defenses are not unintentional, nor are they made without awareness. 
  • unintentional [ʌ̀ninténʃənl] : 「故意でない、意図的でない」
  • awareness [əwéərnəs] : 「認識、自覚、意識性」
❖ "Defenses are ~ "「防御は、意図的でないわけではないし、意識せずになされるわけでもない」。防衛は、明らかに意図的なものであり、意識的になされるものだ。エゴの意図である。



They are secret, magic wands you wave when truth appears to threaten what you would believe. 
  • secret [síːkrit] : 「秘密の、隠れた」
  • magic wand [wάnd] : 「魔法の杖」
  • wave [wéiv] : 「振る」
  • appear [əpíərəns] : 「〜のように見える」
  • threaten [θrétn] : 「〜を脅す、脅迫する」
❖ "They are secret ~ "「あなたが信じたいと思っているものを真実が脅かしかねないように見えたとき、防御は、あなたが振り回す秘密の杖、魔法の杖である」。肉体は実在するとあなたは信じ、真実がそれは誤りだと教えるとき、あなたは肉体と一体になって幻想を防御する。あるいは、真実を攻撃する。



They seem to be unconscious but because of the rapidity with which you choose to use them. 
  • unconscious [ʌ̀nkάnʃəs] : 「無意識の」
  • rapidity [rəpídəti] : 「素早さ、敏速」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
❖ "They seem to ~ "「防御は無意識のうちに行われるように見えるが、それは、あなたが素早く防御することを選択するからだ」。条件反射のように、あっという間にあなたは幻想を真実から守ろうとする。



In that second, even less, in which the choice is made, you recognize exactly what you would attempt to do, and then proceed to think that it is done.
  • second [sékənd] : 「瞬間」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める」
  • exactly [iɡzǽktli] : 「正確に、厳密に」
  • attempt [ətémpt] : 「〜を試してみる、〜を企てる」
  • proceed [prəsíːd] : 「発する、進む、進行する」
❖ "In that second ~ "「あなたが選択する一瞬、いやもっと短時間に、あなたは、何をなそうとしたいのか正確に認識し、その後、それがなされたと思うように事が運ぶ」。防御を選択する一瞬、あなたはどうすればいいか反射的に判断し、それに従って事を運ぶ。時間をおいて、計画通りに事が成就したと思うのだ。



4. Who but yourself evaluates a threat, decides escape is necessary, and sets up a series of defenses to reduce the threat that has been judged as real? All his cannot be done unconsciously. 
  • evaluate [ivǽljuèit] : 「〜を評価する」
  • threat [θrét] : 「脅迫、脅し、脅威」
  • decide [disáid] : 「決定する、決心する」
  • escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、逃避」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の」
  • a series of : 「一連の」
  • reduce [ridjúːs] : 「減らす、減じる」
  • judge [dʒʌ́dʒ] : 「判断する、〜だと思う」
  • unconsciously [ʌ̀nkάnʃəsli] : 「無意識に」
❖ "Who but ~ "「あなた自身以外の誰が、脅威を評価し、逃げ出すことが必要だと決定し、現実的だと判断した脅威を減じるための一連の防御を企てるだろうか」。"All his cannot ~ "「そのすべてが無意識的になされるのことは不可能である」。あなた自身が評価し、判断し、選択するのである。



But afterwards, your plan requires that you must forget you made it, so it seems to be external to your own intent; a happening beyond your state of mind, an outcome with a real effect on you, instead of one effected by yourself.
  • afterwards [ǽftərwərdz] : 「あとで、その後」
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める」
  • forget [fərɡét] : 「〜を忘れる」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、状況」
  • external [ikstə́ːrnl] : 「外の、外側の、外部の」
  • intent [intént] : 「意図、目的」
  • outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末、成果」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」
  • effect [ifékt] : 「もたらす、生じさせる」
❖ "But afterwards ~ "「しかしその後、あなたの計画は、あなたがそうしたのだということを忘れなくてはならないとあなたに要求する」。"so it seems to ~ "「そうすれば、あなたがやったことは、あなた自身の意図の外側にあるように見えることになる」。外部的な脅威に対して、自己防御体勢に入るわけだが、それはあなた自身の選択による決定ではなく、外部状況が無理矢理あなたに強いた決定だと思い込もうとする。"a happening beyond ~ "「それは、あなたの心の状態を越えた所で起きた出来事であり、あなた自身によって影響を与えられた結果というのではなく、あなたに対して現実的な影響を与える結果となって現れる」。あなたの心が目の前の脅威に対して防御態勢に入るように指示し、その影響下で現実的な結果が生じるのだが、あなたはそう見るのではなく、あなたの心の外の状況があなたに防衛体制に入るように指示し、それに従うことで現実的な結果が現れると、あなたは主張する。簡単に言えば、防御する自己責任を回避しようとするわけだ。幻想はすべてあなたの心が作り出しているのだが、それを認めようとしない。



5. It is this quick forgetting of the part you play in making your "reality" that makes defenses seem to be beyond your own control. 
  • forgetting [fərɡétiŋ] : 「忘却」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、現実」
  • beyond [bijάnd] : 「向こうに、かなたに」
  • control [kəntróul] : 「支配、統制、管理」
❖ "It is this quick ~ "「あなた自身の『現実』をでっち上げるためにあなたが演じる役割をこのようにすぐ忘れることは、防御があなた自身のコントロールを越えたところにあるように見せかける」。あなたの心が都合のいいようにあなた自身の『現実』をでっち上げているのだが、それを瞬時に忘れてしまうことによって、あたかもその『現実』があなたから離れて存在しているかのように見える。防御もその一つである。



But what you have forgot can be remembered, given willingness to reconsider the decision which is doubly shielded by oblivion. 
  • forgot [fərɡάt] : 「forgetの過去・過去分詞形」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • given [gívn] : 「〜と仮定すると、〜を考える」
  • willingness [wíliŋnis] : 「意欲、やる気」
  • reconsider [rikənsídər] : 「再考する、考え直す」
  • decision [disíʒən] : 「決定、決断、決心」
  • doubly [dʌ́bli] : 「二重に」
  • shield [ʃíːld] : 「かばう、隠蔽する」
  • oblivion [əblíviən] : 「忘却、無意識の状態」
❖ "But what you ~ "「しかし、無意識的に、二重に隠された決定をもう一度考えて見ようと意欲するなら、あなたが忘れてしまったことは思い出すことが出来る」。二重に隠されるとは、自分の意志ではないふりをして防御体勢に瞬時に入ることと、防御に携わった自分の役割をすぐに忘れてしまうこと。しかし、よくよく考えて見ると、この構造が理解出来る。



Your not remembering is but the sign that this decision still remains in force, as far as your desires are concerned. 
  • sign [sáin] : 「象徴、しるし、証拠」
  • remain [riméin] : 「とどまる、残る、残存する」
  • in force : 「効力のある、施行されて」
  • as far as : 「〜に関する限りは」
  • desire [dizáiər] : 「熱望、切望、欲望」
  • concern [kənsə́ːrn] : 「〜に関係する、〜にかかわる」
❖ "Your not remembering ~ "「これを思い出さないのは、あなたの望みに関する限り、この決定がまだ力を保ったままだという印である」。防御を画策することも、その結果も、自分の意志以外の出来事だとして、見て見ぬ振りを続けている限り、あなたの心にはまだ防御したいという願望がある証拠である。



Mistake not this for fact. Defenses must make facts unrecognizable. They aim at doing this, and it is this they do.
  • mistake [mistéik] : 「思い違いする、間違える」
  • unrecognizable [ʌ̀nrikάɡnəzəbl] : 「認識できない」
  • aim at : 「〜に向ける、〜を得ようとする」
❖ "Mistake not ~ "「これを事実だと勘違いしてはいけない」。覚えていないのだから、そもそもそんなことはなかったのだと、事実を誤認してはいけない。"Defenses must ~ "「防御は必ず、事実を認識出来ないものにする」。"They aim ~ "「防御は、そうすることを目標にし、それが、防御のすることなのだ」。防御は自分の誤りをごまかす行為だから、事実に対して目をつぶり、自分の責任をあくまでも回避しようとする。防御は自己正当化でもある。



6. Every defense takes fragments of the whole, assembles them without regard to all their true relationships, and thus constructs illusions of a whole that is not there. 
  • fragment [frǽgmənt] : 「破片、かけら」
  • regard [riɡάːrd] : 「注意、関心」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き」
  • construct [kənstrʌ́kt] : 「〜を建築する、構築する」
❖ "Every defense ~ "「あらゆる防御は、全体から断片をはぎ取り、断片のもつ本当の関係性のすべてを無視して組み立て直し、そうして、まったく存在さえしない幻想の全体像を構築する」。防御のもつ分析的手法を批判している部分である。たとえば、肉体と病に関して、肉体を病から守るには、あるいは病を治すには、肉体のもつ生理機能を分析し、免疫機能を解読し、病原菌の作用を見極め、その因果関係を推察して、肉体と病の全体像を科学的に構成する。たとえば、将来の生活を守るために、経済的な保証を確保し、物質的な豊かさを求め、健康を維持し、おまけに死んだ後のことまで計画に入れる。将来を分析し、平安を分析し、お金、物、健康、等々の断片を組み立て直して、理想とする将来を夢見るのである。



It is this process that imposes threat, and not whatever outcome may result. 
  • process [prάses] : 「一連の行為、経過、推移」
  • impose [impóuz] : 「課す、負わす、与える」
  • whatever [hwʌtévər] : 「どんな〜が〜でも」
  • outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末」
  • result [rizʌ́lt] : 「生じる、起こる、帰着する」
❖ "It is this ~ "「恐れを負わせるのは、たとえ結果がどのように結実しようとも、この一連の行為である」。分析的手法をもって防御に入ったとしても、それが必ずしも成功するとは限らない。不安は募り、恐れに発展する。たとえ成功したとしても、明日はどうなるか分からない。成功それ自体が幻想だからだ。防御する限り、恐れは避けて通れないのだ。



When parts are wrested from the whole and seen as separate and wholes within themselves, they become symbols standing for attack upon the whole; successful in effect, and never to be seen as whole again. 
  • wrest [rést] : 「もぎ取る、奪い取る」
  • symbol [símbəl] : 「象徴、シンボル」
  • stand for : 「〜を表す、〜を支持する」
  • successful [səksésfəl] : 「達成できた、成功した」
  • in effect : 「事実上、実質的に、実際には」
❖ "When parts are ~ "「全体からパーツがもぎ取られ、バラバラにされながらもそれ自体は完全であると見られるとき、パーツは全体性に対する攻撃を表すシンボルとなる」。分析され、バラバラにされた諸要素は全体像を壊した結果であるから、分析は全体性に対する攻撃である。"successful in ~ "「実際、成功したとしても、」分析が正しかったとしても、「二度と再び、全体像が見られることはない」。ジグソーパズルをバラバラにしてしまえば、その一つ一つのパーツをどんなに吟味して観察しても、そこから全体像が浮かび上がることはない。ジグソーパズルのパーツ自体は完全なのだが、しかし、全体像は攻撃され破壊されてしまうのだ。



And yet you have forgotten that they stand but for your own decision of what should be real, to take the place of what is real.
  • forgotten [fərɡάtn] : 「forgetの過去分詞形」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
❖ "And yet you ~ "「しかし、あなたはthat以下を忘れている」。"that they stand ~ "「バラバラにされたパーツは、現実であるものに代えて、現実であるべきだとあなた自身が決定したものを表しているだけだ」ということを忘れている。バラバラにされたパーツは、それ自体は完全なので、本物であり現実だとあなたは信じる。疑う余地はないのだから、バラバラにされたパーツのいくつかを使って全体像の一部分を再構成すれば、それが現実を表すことになる。たとえば、ある細菌が体内に侵入し、免疫機能が低下していたために発病した、という現実を作り出すのだ。しかし、現実の全体像は、細菌と免疫だけで構成されているのではない。心の問題が、完全に抜け落ちているのだ。たとえば、ニューヨーク大学医学部教授ジョン・サーノ博士は、『腰痛は怒りである』と言う。心が怒りという感情を隠すために、腰に痛みを作り出して、怒りという感情から目をそらせようとしている、という論である(緊張性筋炎症候群理論)。正しい論かどうかは別にして、全体像(腰痛)をパーツ(ヘルニア)から見ようとするのではなく、心という側面に光を当てる手法は正しい。



7. Sickness is a decision. It is not a thing that happens to you, quite unsought, which makes you weak and brings you suffering. 
  • decision [disíʒən] : 「決定、決断、決心」
  • happen to : 「〜に発生する、〜に起こる」
  • unsought [ʌ̀nsɔ́ːt] : 「求められていない」
  • weak [wíːk] : 「弱い、無力な、元気のない」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しみ、苦痛、苦難」
❖ "Sickness is ~ "「病は決定である」。病は、あなたが肉体を選択し、エゴの思考システムを採用すると決定した結果である。"It is not ~ "「病は、まったく求めてもいなかったのに、あなたを弱め、あなたに苦痛を強いるものではあるが、たまたまあなたに降りかかったのではない」。誰も病に罹ろうなどと思う者はいない。しかし、病はあなたの決定によって確実にあなたが呼び寄せたものなのだ。



It is a choice you make, a plan you lay, when for an instant truth arises in your own deluded mind, and all your world appears to totter and prepare to fall. 
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • lay [léi] : 「置く、横たえる、用意する」
  • for an instant : 「ちょっとの間、ほんのつかの間」
  • deluded [dilúːdid] : 「欺かれた、裏切られた」
  • appear [əpíərəns] : 「〜のように見える」
  • totter [tάtər] : 「よろめく、揺れる」
  • prepare [pripέər] : 「〜を準備する、用意する」
  • fall [fɔ́ːl] : 「落ちる、倒れる」
❖ "It is a ~ "「病は、〜したときに、あなたが下した選択であり、あなたが用意した計画である」。"when for an ~ "「ほんの一瞬、真実があなた自身の騙された心に立ち上がり、あなたの全世界がよろめいて倒れそうに見えたときに、」あなたは病を選択してしまった。真実から目をそらそうとするとき、あなたは幻想のエゴを選択してしまう。幻想が変化流動し、崩壊に向かうとき、あなたはさらなる幻想を選択する。あなたの心が向かう関心を、病という幻想に集中させようとするのだ。怒りの存在から目を背けるために、あなたの無意識が痛みを作り出すのと同じ原理である。



Now are you sick, that truth may go away and threaten your establishments no more.
  • threaten [θrétn] : 「〜を脅す、脅迫する」
  • establishment [istǽbliʃmənt] : 「設立、秩序、建物」
  • no more : 「もはや〜しない」
❖ "Now are you ~ "「今やあなたは病気になり、その結果、真実は遠のいてしまい、真実が、あなたのでっち上げたガラクタをそれ以上脅かすことはないかもしれない」。ここの"your establishments"「あなたが築いたもの」とは、怒りであり、敵意であり、憎しみ、恐れ、攻撃心、復讐心、嫉妬心、我欲、物欲、ありとあらゆる煩悩である。病をでっち上げて、煩悩から目をそらせるのだ。言い換えれば、心の醜さを病に置き換え、病をもって自分を罰するのである。だが、悲観することはない。自分を罰するほどに、あなたは正しい心をもっているのだ。それに気付きさえすれば、幻想の病は赦されて消滅する。



8. How do you think that sickness can succeed in shielding you from truth? 
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
  • shield [ʃíːld] : 「隠す、隠蔽する」
❖ "How do you ~ "「病が、どうやってあなたから真実を覆い隠すことに成功すると、あなたは思うだろう」。



Because it proves the body is not separate from you, and so you must be separate from the truth. 
  • prove [prúːv] : 「証明する」
  • separate [sépərèit] : 「離す、分離する」
❖ "Because it ~ "「病は、肉体があなたから離れていないと証明するので、そこで、必ずあなたは真実とかけ離れてしまうのだ」。あなたの知覚は、肉体が実在すると感知する。そこで、あなたは肉体そのものだと証明した気になってしまう。その実在する肉体に病が発症したのだから、病も実在すると主張する。肉体と病は実相的には存在しないという真実から、あなたはどんどんかけ離れてしまうのだ。エゴの策略である。病をでっち上げることで、あなたを肉体に縛り付けてしまうのだ。あなたを真実から遠ざけ、幻想の奴隷にしてしまう。



You suffer pain because the body does, and in this pain are you made one with it. 
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、苦痛を感じる」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、苦痛」
❖ "You suffer pain ~ "「肉体が痛みを感じるから、あなたは痛みを患うことになり、この痛みの中で、あなたは肉体と一体化する」。夜見る夢を想定すれば想像がつく。あなたは夢の中の自分を見ている。その夢の中のあなたは、肉体をもった存在として現れる。夢の中の肉体的なあなたは、邪悪な者の策略に引っかかって病を自ら作り出す。病は痛みを生み出し、夢の中のあなたは痛みに苦しむのだ。ところが、朝になってあなたが眠りから覚め、昨夜の病は夢だったと知る。病も痛みも単なる夢に過ぎなかったのだと知って、あなたは安堵するのである。



Thus is your "true" identity preserved, and the strange, haunting thought that you might be something beyond this little pile of dust silenced and stilled. 
  • identity [aidéntəti] : 「正体、固有性、同一性」
  • preserve [prizə́ːrv] : 「〜を保つ、〜を維持する」
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • haunting [hɔ́ːntiŋ] : 「絶えず心に浮かぶ」
  • pile [páil] : 「積み重ね、積み重なり」
  • dust [dʌ́st] : 「塵、ほこり」
  • silence [sáiləns] : 「黙らせる、沈黙させる」
  • still [stíl] : 「〜を動かなくする、〜を静める」
❖ "Thus is your ~ "「こうして、あなたの『真実なる』自分自身はしまい込まれ、もしかしたらあなたは、こんなちっぽけな塵の塊を超越した何かかもしれないという、奇妙で時折現れる思いは沈黙させられ、鎮(しず)められる」。



For see, this dust can make you suffer, twist your limbs and stop your heart, commanding you to die and cease to be.
  • twist [twíst] : 「歪める、ひずませる」
  • limb [lím] : 「手足」
  • command [kəmǽnd] : 「命令する」
  • cease [síːs] : 「〜をやめる」
❖ "For see ~ "「なぜなら、この塵はあなたを患わせ、あなたの四肢を歪め、あなたの心臓を停止させ、あなたに死を命じ、存在停止を命じるからだ」。そんな塵があなた自身であるはずはないと、あなたは心のどこかで思っている。その思いは正しいのだ。神は全知全能と言われるが、その神が神の子を欠陥だらけの塵として創造するわけがない。もしそうであるなら、神自身が塵のような欠陥だらけの存在だと自ら証明していることになってしまう。



9. Thus is the body stronger than the truth, which asks you live, but cannot overcome your choice to die. 
  • overcome [òuvərkʌ́m] : 「克服する、乗り越える、打ち勝つ」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
❖ "Thus is the ~ "「こうして、肉体は真実より強くなり、あなたに生きることを求めるが、あなたが選んだ死に打ち勝つことは出来ない」。あなたに生きることを求めるとは、肉体的に生命を維持することを求める、という意味。それは、結果的に肉体的な死を選択したことであるから、肉体は死を克服することは出来ない。肉体と命と死の関係の逆説性を見れば、肉体が幻想に過ぎないことがよくわかる。



And so the body is more powerful than everlasting life, Heaven more frail than hell, and God's design for the salvation of His Son opposed by a decision stronger than His Will. 
  • everlasting [èvərlǽstiŋ] : 「永遠の、永遠に続く」
  • frail [fréil] : 「弱い、虚弱な」
  • design [dizáin] : 「計画、企画、意図」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い」
  • oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する」
❖ "And so the body ~ "「そこで、肉体は永遠に続く命よりずっと力強いことになり、天の王国は地獄より脆く、神による神の子の救いのための計画は、神の意志よりずっと強い決定によって反対される」。ここの決定は、肉体を選ぶという決定。エゴを選択する決定。それは、あたかも神の救いの計画より強いものに見えてしまう。



His Son is dust, the Father incomplete, and chaos sits in triumph on His throne.
  • incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な」
  • chaos [kéiɑs] : 「混沌、大混乱、カオス」
  • triumph [tráiəmf] : 「勝利、征服」
  • in triumph : 「勝ち誇って」
  • throne [θróun] : 「王位、王座」
❖ "His Son is ~ "「神の子は塵とされ、父なる神は不完全で、カオスが勝ち誇って神の王座に座る」。これが、今の私達の状態。



10. Such is your planning for your own defense. 
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
❖ "Such is your ~ "「あなた自身の防御の計画など、そんなものだ」。



And you believe that Heaven quails before such mad attacks as these, with God made blind by your illusions, truth turned into lies, and all the universe made slave to laws which your defenses would impose on it. 
  • quail [kwéil] : 「おじけづく、ひるむ」
  • blind [bláind] : 「目の見えない、盲目の」
  • lie [lái] : 「嘘、虚言」
  • slave [sléiv] : 「奴隷」
  • impose [impóuz] : 「課す、負わす、与える」
❖ "And you believe ~ "「そして、天の王国はこのように狂った攻撃の前で怖じ気づき、神はあなたの幻想によって盲目にされ、真実は虚に貶められ、全世界は、あなたの防御がその上に課した法の奴隷とされると、あなたは信じている」。



Yet who believes illusions but the one who made them up? Who else can see them and react to them as if they were the truth?
  • react [riǽkt] : 「反応する、対処する」
❖ "Yet who believes ~ "「しかし、幻想をでっち上げた者以外に、誰がそれを信じるだろう」。"Who else can ~ "「いったい他の誰が、その幻想を見ては、あたかも幻想が真実であるかのように反応出来るだろう」。



11. God knows not of your plans to change His Will. The universe remains unheeding of the laws by which you thought to govern it. 
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • unheeding [ʌ̀nhíːdiŋ] : 「不注意な」
  • govern [gʌ́vərn] : 「支配する、統治する」
❖ "God knows not ~ "「神は、神の意志を変えようとするあなたの計画など関知しない」。神は、幻想の一切と関わりをもたない。"The universe ~ "「全世界は、それを支配しようとあなたが思った法などに注意を向けない」。



And Heaven has not bowed to hell, nor life to death. You can but choose to think you die, or suffer sickness or distort the truth in any way. 
  • bow [báu] : 「頭を下げる」
  • bow to : 「〜に降参する、〜に屈する」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ」
  • distort [distɔ́ːrt] : 「歪める、歪曲する」
  • in any way : 「多少なりとも、形はどうあれ」
❖ "And Heaven has ~ "「天の王国は地獄に屈することはなかったし、命が死に屈することもなかった」。実在が非実在に屈することも、実相が幻想に屈することもない。"You can but ~ "「あなたは単に、自分は死ぬと思うことを選択できるだけであり、あるいは、病に苦しみ、あるいは、形はどうであれ真実を歪曲できるだけなのだ」。夢の中でそう出来ると思っているだけであって、悪夢から目覚めたあなたは、それは実相的に不可能だと知る。



What is created is apart from all of this. Defenses are plans to defeat what cannot be attacked. 
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
  • defeat [difíːt] : 「駄目にする、無にする、負かす」
❖ "What is created ~ "「(神によって)創造されたものは、こういったことのすべてからかけ離れている」。神は、肉体も病も苦も痛みも死も、そんなものを神の子に与えて神の子を創造したのではない。"Defenses are plans ~ "「防御とは、攻撃され得ないものを打ち負かそうとする計画に他ならない」。神が創造した神の子としてのあなたは肉体ではなく、したがって病や苦や痛みや死と無縁である。にもかかわらず、あなたは肉体を病や苦や痛みや死から防御しようとする。防御は、防御する必要のないものを、必至で守ろうする無益な計画である。



What is unalterable cannot change. And what is wholly sinless cannot sin.
  • unalterable [ʌ̀nɔ́ːltərəbl] : 「不変の」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く」
  • sinless [sínlis] : 「罪のない、潔白な」
  • sin [sín] : 「罪を犯す」
❖ "What is unalterable ~ "「不変なるものは、変化不可能である」。"And what is ~ "「そして、完全に罪のないものは、罪を犯すことは不可能だ」。字義通り。そして、あなたはまさに、変化不可能であり、罪を犯すことの不可能な神の子なのである。



12. Such is the simple truth. It does not make appeal to might nor triumph. 
  • appeal [əpíːl] : 「要請、懇願」
  • might [máit] : 「力、権力、勢力」
  • triumph [tráiəmf] : 「勝利、征服」
❖ "Such is  ~ "「こうしたことは、簡単な真実である」。真実は単純明快である。"It does not ~ "「真実は、大きな力や勝利することなどを要求しない」。真実は、戦って勝ち取るものではない。



It does not command obedience, nor seek to prove how pitiful and futile your attempts to plan defenses that would alter it. 
  • command [kəmǽnd] : 「命令する」
  • obedience [oubíːdiəns] : 「服従、忠実、従順」
  • prove [prúːv] : 「証明する」
  • pitiful [pítifəl] : 「哀れな、惨めな」
  • futile [fjúːtl] : 「役に立たない、無益な」
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
  • alter [ɔ́ːltər] : 「変える、変更する、改める」
❖ "It does not ~ "「真実は服従を命じることはないし、真実を変えてしまうような防御を計画する試みが、いかに哀れで無益なものか、それを証明しようともしない」。真実は、自らが真実であることを証明したりしない。だから、あなたも、真実を真実だと証明する必要はない。真実はそこにあり、あなたはそれを知るだけでいい。



Truth merely wants to give you happiness, for such its purpose is. 
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標」
❖ "Truth merely ~ "「真実は単に、あなたに幸せを与えようと望んでいる」。"for such its ~ "「なぜなら、真実の目的はそういうものだからだ」。真実の目的は、あなたの幸せである。



Perhaps it sighs a little when you throw away its gifts, and yet it knows, with perfect certainty, that what God wills for you must be received.
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると」
  • sigh [sái] : 「ため息をつく」
  • throw away : 「〜を投げ捨てる」
  • certainty [sə́ːrtnti] : 「確実性、間違いないこと」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • receive [risíːv] : 「受け取る、聞く、知る」
❖ "Perhaps it sighs ~ "「あなたが真実からの贈り物を投げ捨てたなら、多分、真実は少しだけため息をつくかもしれない」。折角の幸せを投げ捨てるあなたに、真実は少しがっかりするだろう。"and yet it ~ "「しかし真実は、完璧な確信をもって、神があなたのために意志したことは必ず(あなたによって)受け取られるに違いないと知っている」。あなたは神が意志した幸せを投げ捨てるかもしれないが、それは一時的なことで、いつかは必ず、あなたは神からの贈り物を受け取ってくれるはずだと神は知っている。なぜなら、無時間の実相世界にあっては、すべては既に起きていることであって、あなたが神からの贈り物を受け取ることも既に決まっているからだ。



13. It is this fact that demonstrates that time is an illusion. For time lets you think what God has given you is not the truth right now, as it must be. 
  • fact [fǽkt] : 「事実、真相、現実、実際」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実証する、実演する」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • right now : 「現時点では、今すぐに」
❖ "It is this ~ "「それは、時間が幻想であることを実証している事実である」。"For time lets ~ "「なぜなら、時間はあなたに、神があなたに与えたことは、そのままの形をとった今現在の真実ではないと思わせるからだ」。神は既に贈り物をあなたに与えているのだが、あなたは幻想の時間を作り出して、今現在の完璧な形をとった真実としての神の贈り物を受け取ることを拒否し、その受け取りを未来にずらしている。



The Thoughts of God are quite apart from time. For time is but another meaningless defense you made against the truth. 
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無意味な」
❖ "The Thoughts of ~ "「神の思いは、時間から完全に離れている」。神には時間は存在しない。"For time is ~ "「なぜなら、時間は、あなたが真実に対して設けた意味のないまた別の防御だからだ」。真実を知ることで犠牲を強いられるかもしれないと恐れ、犠牲から自らを守ろうとする。当面真実から目をそらすために時間をでっち上げて、まさに時間稼ぎをするのだ。



Yet what He wills is here, and you remain as He created you.
  • will [wíl] : 「〜を望む、意図する」
  • remain [riméin] : 「〜のままである、相変わらず〜である」
❖ "Yet what He ~ "「しかし、神が意志したことはここにあり、あなたは、神があなたを創造したままのあなたなのだ」。神が意志したことは既に成就しており、あなたが幻想の時間さえ消滅させてしまえば、神の意志したことはあなたの目の前に出現する。もちろん、あなた自身も、神が意志した通りの神の子として立ち現れるのである。



14. Truth has a power far beyond defense, for no illusions can remain where truth has been allowed to enter. 
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて」
  • remain [riméin] : 「残る、生き残る、残存する」
  • allow [əláu] : 「許す、許可する」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に立ち入る」
❖ "Truth has a ~ "「真実は、防御を遙かに越えたパワーをもっている」。"for no illusions ~ "「なぜなら、どんな幻想も、真実が入ることを許された場所には居座ることが出来ないからだ」。真実は光であり、幻想は闇である。光が闇の空間に入ることを許されたなら、光は闇をいとも簡単に駆逐する。



And it comes to any mind that would lay down its arms, and cease to play with folly. 
  • lay down : 「捨てる、投げ出す」
  • arm [άːrm] : 「武器、兵器」
  • cease [síːs] : 「〜をやめる」
  • folly [fάli] : 「愚かなこと、愚かさ」
❖ "And it comes ~ "「そして真実は、武器を捨て愚かな行いを止めようとするどんな心にもやって来る」。防御という考えを放棄すれば、武器を捨てて攻撃も中断できる。愚かな幻想から解放された心に真実は必ずやって来る。



It is found at any time; today, if you will choose to practice giving welcome to the truth.
  • found [fáund] : 「findの過去・過去分詞形」
  • at any time : 「いつでも、常に」
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • practice [prǽktis] : 「〜を実行する、実践する」
  • welcome [wélkəm] : 「歓迎、歓待」
❖ "It is found ~ "「真実はいつでも見出せる」。"today, if you ~ "意訳する、「もしあなたが、真実を歓迎するという実践を選択したなら、今日にでも真実は見出せるのだ」。



15. This is our aim today. And we will give a quarter of an hour twice to ask the truth to come to us and set us free. 
  • aim [éim] : 「目標、目的」
  • quarter [kwɔ́ːrtər] : 「4分の1、4半分」
  • twice [twáis] : 「2回、2度」
  • set [sét] : 「〜を(ある状態に)する」
❖ "This is our ~ "「これが、私たちの今日の目標である」。"And we will ~ "「真実が私たちにやって来て、私たちを解放してくれることを求めるために、私たちは15分2回を費やす」。



And truth will come, for it has never been apart from us. It merely waits for just this invitation which we give today. 
  • wait for : 「〜を待つ」
  • invitation [ìnvətéiʃən] : 「招き、招待」
❖ "And truth ~ "「真実はやって来るだろう」。"for it has ~ "「なぜなら、真実は私達から一歩も離れていないからだ」。真実は遠くからやって来るのではない。真実は初めからあなたの心の中にある。"It merely waits ~ "「真実はただ単に、今日私たちが与えるこの歓迎だけを待っている」。



We introduce it with a healing prayer, to help us rise above defensiveness, and let truth be as it has always been:
  • introduce [ìntrədjúːs] : 「取り入れる、導入する、招く」
  • prayer [prέər] : 「祈り、請願、祈りの言葉」
  • rise [ráiz] : 「立ち上がる、昇る」
  • defensiveness [difénsivnis] : 「防御、防衛」
❖ "We introduce ~ "「私達は、ヒーリングの祈りを抱きながら、真実を招き入れる」。知覚が修正され、心が正されることを祈りながら、真実を招き入れる。"to help us ~ "意訳する、「そうすれば、祈りは、私達が防御を捨ててその上に立ち上がるのを助けてくれ、いつもそこにあった真実がそっくりそのまま目の前に現れるようにしてくれる」。



        Sickness is a defense against the truth. 
        I will accept the truth of what I am, 
        and let my mind be wholly healed today.
  • accept [əksépt]: 「受け入れる、承認する」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全面的に」
❖ "Sickness is ~ "「病とは、真実に対する防御である」。"I will accept ~ "「私は、自分が何者なのか、その真実を受け入れよう」。"and let my ~ "「そして、今日、私の心が完全にヒーリングされるようにしよう」。



16. Healing will flash across your open mind, as peace and truth arise to take the place of war and vain imaginings. 
  • flash [flǽʃ] : 「ピカッと光る、スッと差し込む」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる」
  • take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
  • vain [véin] : 「無益な、空虚な」
  • imaginings [imǽdʒəniŋz] : 「想像上の物」
❖ "Healing will ~ "「平和と真実が、争いと無益な空想に取って代わって立ち上がるにしたがい、ヒーリングの光があなたの開かれた心に差し込んで来る」。



There will be no dark corners sickness can conceal, and keep defended from the light of truth. 
  • dark corner [kɔ́ːrnər] : 「暗い隅」
  • conceal [kənsíːl] : 「隠す、秘密にする」
❖ "There will be ~ "「病が覆い隠し、真実の光からその身を守ろうとする暗い隅はどこにもない」。ヒーリングの光は隅々まで差し込んでくる。病が身を隠す暗闇はもうない。



There will be no dim figures from your dreams, nor their obscure and meaningless pursuits with double purposes insanely sought, remaining in your mind. 
  • dim [dím] : 「薄暗い、ぼんやりとした」
  • figure [fíɡjər] : 「姿、人影、人物」
  • obscure [əbskjúər] : 「暗い、曖昧な」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無意味な」
  • pursuit [pərsúːt] : 「追い求め、追求」
  • double [dʌ́bl] : 「二重の」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • insanely [inséinli] : 「発狂して、気違いじみて」
  • sought [sɔ́ːt] : 「seek の過去・過去分詞形」
  • remain [riméin] : 「残る、生き残る、残存する」
❖ "There will be ~ "「あなたの夢から現れ出る薄暗い影はないし、」ここの"figures"は解釈に苦しむ言葉であるが、あなたが夢に見ている幻想から生じた影ということで、病を含めた諸々の現象のことであろう。"nor their obscure ~ "「また、狂ったように探し求めていた二重の目的を伴ったその影の曖昧で無意味な追求も、あなたの心の中に居座ることはない」。ここの"double purposes"も解釈に苦しむ言葉であるが、幻想の諸現象が持っている二重の目的、つまりエゴの目的のこと。たとえば肉体に関して言えば、表側には肉体的な快楽、肉体的な幸せなどを目的としてもたせ、裏側では、他者との分離を促進し、肉体を崩壊と死に向かわせるという目的をもたせる。いわば、エゴの二枚舌である。あなたに肉体的な快楽を与えるが、最後には肉体的命を奪ってしまう、というエゴの二枚舌である。あなたはエゴの二枚舌に乗って、狂ったように物質的快楽や肉体的快楽を求めて来たが、ヒーリングの光が差し込んできた今、もはやあなたはそんな偽りの目的を追求をすることはない。あるいは、あなたは罪の意識に苦しみ、神の罰を恐れてきたが、そんなエゴの脅しもヒーリングの光にかき消される。



It will be healed of all the sickly wishes that it tried to authorize the body to obey.
  • sickly [síkli] : 「病弱な、弱々しい」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • authorize [ɔ́ːθəràiz] : 「〜に権限を与える」
  • obey [oubéi] : 「〜に従う」
❖ "It will be ~ "「あなたの心は、肉体に従うようにと肉体に権限を与えようとした病的な願望からヒーリングされることになる」。肉体が実在し、肉体こそがあなたのすべてを決定するという固定観念から、あなたは解放される。



17. Now is the body healed, because the source of sickness has been opened to relief. 
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
  • relief [rilíːf] : 「安心、安堵、救出、除去」
❖ "Now is the ~ "「今、肉体はヒーリングされる」。"because the ~ "「なぜなら、病の源が除去されたからだ」。病の源とは、肉体が実在するという固定観念のこと。自分は肉体的存在であると信じていること。"opened to relief"とあるから、病の源が暴かれ、それが除去されて快方に向かう、というニュアンス。



And you will recognize you practiced well by this: The body should not feel at all. 
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める」
❖ "And you will ~ "「そして、次のことで、あなたがうまく練習出来たかどうか認識できるだろう」。"The body should ~ "「肉体は、まったく何も感じなくなる」。肉体は幻想であり、肉体的知覚も幻想である。幻想が消滅すれば、結果的に、痛みなどの感覚は消滅する。『心頭滅却すれば火もまた涼し』という言葉があるが、一脈通じているかもしれない。



If you have been successful, there will be no sense of feeling ill or feeling well, of pain or pleasure. 
  • successful [səksésfəl] : 「達成できた、成功した」
  • sense [séns] : 「感覚、感触、感じ」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、苦痛」
  • pleasure [pléʒər] : 「喜び、楽しみ、快楽」
❖ "If you have ~ "「もしあなたが成功したなら、病気だという感覚も、元気だという感覚も、痛みも快感も何もなくなる」。肉体的感覚が麻痺してしまう、という意味ではない。あなたの心が肉体を脱ぎ捨た当然の結果に過ぎない。あなたは肉体的存在を超越したのである。



No response at all is in the mind to what the body does. Its usefulness remains and nothing more.
  • response [rispάns] : 「反応、返答、回答」
  • usefulness [júːsfəlnis] : 「役に立つこと、実用性」
  • remain [riméin] : 「とどまる、残る、生き残る」
❖ "No response ~ "「肉体がなすことに対して、あなたの心の中では、何の反応も生じない」。"Its usefulness ~ "「肉体のもつ有用性は已然として残るが、それ以上のものではない」。幻想の肉体を超越したとは言え、あるいは幻想の肉体が消滅したとは言え、この幻想世界に住んでいる限り、その肉体があなたの目の前から消え去ってしまうわけではない。あなたの肉体は、脱ぎ捨てたコートのように、そこにあることには変わりない。だが、それだけのことであって、脱ぎ捨てたコートには意味がないのだ。
蛇足になるが、こういうイエスの発言を踏まえた上で、イエスの磔刑を考え直さなくてはいけない。キリスト教徒の多くは、イエスが十字架上で痛みと苦しみのうちに死んだと思っているが、そうではない。イエスは既に肉体を超越していたのだ。十字架上のイエスは、イエスが脱ぎ捨てたコートに過ぎず、肉体から離れたイエスの心は、その様子を静かに見ていたことだろう。もちろん、肉体は肉体としての機能を果たすのだから、十字架上のイエスの肉体は血を流し、痛みにもだえ苦しんだように見えたことだろう。それは確かなのだが、肉体を離れたイエス自身は、痛みも苦も、何も感じなかった。感じる分けがないのだ。あなたが脱ぎ捨てたコートを燃やしたところで、あなたは炎の熱さを感じるだろうか?



18. Perhaps you do not realize that this removes the limits you had placed upon the body by the purposes you gave to it. 
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、除去する」
  • limit [límit] : 「限度、制限、限界」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
❖ "Perhaps you ~ "「こうしたことが、あなたが目的を肉体に与えることで肉体に課した制限を取り除くことを、あなたは多分気付いていないだろう」。たとえば、なぜ肉体が痛みを感じるかというと、肉体を物理的に守ろうとするからだ。肉体を防御する目的のために、肉体に痛みという制限を加えているわけだ。しかし、あなたが肉体的な防御は不必要だと知ったとき、肉体的な感覚は消失し、痛みなどの制限も同時に取り除かれる。



As these are laid aside, the strength the body has will always be enough to serve all truly useful purposes. 
  • laid [léid] : 「layの過去・過去分詞形」
  • lay aside : 「やめる、捨てる、放棄する」
  • enough [inʌ́f] : 「十分な、足りる」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、〜に仕える」
❖ "As these are ~ "「制限が放棄されるにしたがい、肉体のもっている力は、常に、本当に有用な目的のすべてに対して十分役立つことが出来るだろう」。肉体を、真実の学びのための補助装置として利用することが出来る。肉体的な結びつきを利用して、心と心の結合を達成することも可能だろう。



The body's health is fully guaranteed, because it is not limited by time, by weather or fatigue, by food and drink, or any laws you made it serve before. 
  • health [hélθ] : 「健康、保健、健全」
  • fully [fúlli] : 「十分に、完全に」
  • guarantee [gæ̀rəntíː] : 「保証する、請け合う」
  • weather [wéðər] : 「天気、悪天候、嵐」
  • fatigue [fətíːɡ] : 「疲れ、疲労」
❖ "The body's health ~ "「肉体的な健康は、十分に保証される」。病という制限が放棄されたのだから、肉体は健康になる。"because it is ~ "「なぜなら、肉体はもはや、時間や天候や疲労、食べ物や飲み物、あるいは以前あなたが肉体に役立つようにでっち上げた法によって、制限されることはないからだ」。



You need do nothing now to make it well, for sickness has become impossible.
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、できない」
❖ "You need do ~ "「今やあなたは、肉体を健康にするために、何もする必要はない」。"for sickness ~ "「なぜなら、病は不可能となったからだ」。



19. Yet this protection needs to be preserved by careful watching. 
  • protection [prətékʃən] : 「保護、擁護、防御」
  • preserve [prizə́ːrv] : 「〜を保つ、〜を維持する」
  • careful [kέərfəl] : 「注意深い、用心深い」
❖ "Yet this protection ~ "「しかし、このような保護は、注意深く見守ることで維持される必要がある」。肉体は病から解放されたからといって、その後は放っておいていいわけではない。逆戻りしてしまわないように、注意深く見守る必要がある。



If you let your mind harbor attack thoughts, yield to judgment or make plans against uncertainties to come, you have again misplaced yourself, and made a bodily identity which will attack the body, for the mind is sick.
  • harbor [hάːrbər] : 「心に抱く、〜をかくまう」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思い、考え、思考」
  • yield to : 「〜に負ける、〜に屈する、〜に従う」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、分別」
  • uncertainty [ʌnsə́ːrtnti] : 「確信のないこと、不確実なこと」
  • misplace [mispléis] : 「置き間違える、置き場所を誤る」
  • bodily [bάdəli] : 「身体上の、肉体の」
  • identity [aidéntəti] : 「正体、身元、独自性」
❖ "If you let ~ "「もしあなたが、あなたの心に攻撃的な思いを抱かせたり、判断に屈したり、未来の不確実性に対して計画を立てたりすれば、」"you have again ~ "「あなたは再び、あなた自身の置き場所を間違えてしまい、肉体を攻撃してしまうような肉体としての自分を作り出してしまうだろう」。"for the mind ~ "「なぜなら、心が病んでしまうからだ」。



20. Give instant remedy, should this occur, by not allowing your defensiveness to hurt you longer. 
  • instant [ínstənt] : 「すぐの、即時の」
  • remedy [rémədi] : 「救済策、救済手段、治療」
  • should [ʃəd] : 「万一〜ならば」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる」
  • allow [əláu] : 「許す、許可する」
  • hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける」
  • no longer : 「もはや〜でない」
❖ "Give instant ~ "「万一こんなことが起こったら、防御があなたを傷つけることを決して許さないようにして、早急に改善措置をとりなさい」。



Do not be confused about what must be healed, but tell yourself:

        I have forgotten what I really am,

        for I mistook my body for myself. 
        Sickness is a defense against the truth.

        But I am not a body. 
        And my mind cannot attack. 
        So I can not be sick.
  • confuse [kənfjúːz] : 「混同する、混乱させる」
  • forgotten [fərɡάtn] : 「forgetの過去分詞形」
  • mistake A for B : 「AをBと間違える」
❖ "Do not be ~ "「次のように、あなた自身に言い聞かせて、何がヒーリングされるべきか、混同しないようにしなさい」。肉体をヒーリングするのではなく、心をヒーリングするのである。"I have forgotten ~ "「本当の私が何であるか、私はずっと忘れていた」。"for I mistook ~ "「なぜなら、私の肉体が私自身であると間違えていたからだ」。"Sickness is ~ "「病は、真実に対する防御である」。"But I am ~ "「しかし、私は肉体ではない」。"So I can not ~ "「だから、私は病になり得ない」。
 
 
 



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