●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



W-PI.12.1:1 ~ W-PI.12.6:4

Lesson 12

I am upset because I see a meaningless world.
  • upset [ʌpsét] : 「混乱して、動揺して、気が動転して、取り乱して」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味が分からない、無意味な」
❖ "I am upset ~ "「私は、意味のない世界を見ているから、動揺している」。"meaningless world"「意味のない世界」とは、もちろん、無価値な世界という意味ではなく、存在さえしていない幻想の世界、という意味だ。エゴに支配されたあなた(神の子)の心が、心の外側に投射してつくった幻想の世界である。この幻想世界は二元論世界であって、あらゆる存在が対極する二つの概念に分裂している。愛と憎悪、善と悪、幸と不幸、喜びと悲しみ、得と失、真実と虚偽、生と死、等々の対立する概念がその力を競い合い、そこにダイナミックな変化流動を生む。ところが、幻想の法則(エントロピー増大の法則)とでも言おうか、変化流動は必ず崩壊と死へ向かう。形あるものは必ず壊れるのだ。形のない愛さえも、それが愛と憎悪に分裂した二元論の愛である限り、必ず変化し死ぬ。偽りの愛に過ぎない。こうして、崩壊と死に向かう幻想世界は常に苦と痛みを生み出すのだ。だから、「私は、意味のない世界を見ているから、動揺している」のは当然のことであって、動揺していること自体に問題があるのではない。問題は、その動揺の原因を見極め、そこから解放されたいという意思を、あなたが持つか持たないか、なのだ。



1. The importance of this idea lies in the fact that it contains a correction for a major perceptual distortion. 
  • importance [impɔ́ːrtəns] : 「重要性、大切さ、重大さ」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • fact [fǽkt] : 「事実、真相、現実、実際」
  • contain [kəntéin] : 「含む、包含する」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、訂正個所、矯正、修正、是正」
  • major [méidʒər] : 「大きい、多い、重要な、主要な、大規模な」
  • perceptual [pərséptʃuəl] : 「知覚の」
  • distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがみ、ねじれ、歪曲、ねじ曲げ」
❖ "The importance of ~ "「今日のものの見方の重要な点は、that以下の事実の中にある」。"that it contains ~ "「このものの見方が、主要な知覚の歪みを修正することを含んでいる」事実にある。あなたの肉体的な感覚器官が、ありもしない幻想をあたかも実在するかのようにあなたに知覚させているので、その問題の知覚の歪みを修正することが今日のものの見方の重要な点であり目的である。これには時間がかかる。何しろ、あなたが目にするものは圧倒的にリアルであり、目に見えるだけでなく、触れば固さもあるし、存在を否定する矛盾がどこにも見つからないからだ。これほど精緻な幻想を、あなたの心は生み出しているのであり、それをあなたの知覚が支えている。この幻想の堅牢な牙城を崩す作業は非常に困難でもあり、相当の時間がかかる。



You think that what upsets you is a frightening world, or a sad world, or a violent world, or an insane world. 
  • frightening [fráitniŋ] : 「恐ろしい、怖い、ゾッとするような」
  • sad [sǽd] : 「悲しげな、悲しそうな」
  • violent [váiələnt] : 「暴力的な、乱暴な、凶暴な、暴力による」
  • insane [inséin] : 「精神障害の、ばかげた、愚かな、常軌を逸した」
❖ "You think that ~ "「あなたは、あなたを動揺させているものが、恐ろしげな世界であり、悲しげな世界であり、暴力の世界、正気を失った世界だと思っている」。あなたを取り囲み、あなたと対峙している実在のこの世界が、あなたを動揺させ悩ませていると思っている。だから、あなたは世界と戦おうとするし、戦いに負けて絶望を味わう。たとえ勝利したとしても、それは長続きすることはなく、やがて衰弱し崩壊する。まさにこの世は、『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす』、なのだ。
仏教では、五蘊盛苦 ( ごうんじょうく )と言う。色・受・想・行・識の五蘊への執着(しゅうじゃく)に躍らされて、盛大なる苦を味わうのである。いわゆる煩悩であり、煩悩からの解脱(げだつ)が仏教における最大のテーマとなる。そして、悟りを開いて(幻想を排し、真実を知って)、煩悩を吹き消し心の騒ぎを寂滅させることが涅槃(ねはん)、ニルヴァーナ(nirvana)である。



All these attributes are given it by you. The world is meaningless in itself.
  • attribute [ǽtribjùːt] : 「特質、特性、性格、属性」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • in itself: 「それ自体で、本質的に」
❖ "All these attributes ~ "「これらの属性のすべては、あなたによって(世界に)与えられたのだ」。恐ろしく、悲しく、暴力的で、正気を失ったかに見える、そういう世界の属性のすべては、あなたの心が幻想の世界に与えたものなのだ。"The world is ~ "「世界は、それ自体、意味がない」。世界は存在さえしていないので、世界のもつ属性も存在しない。あなたの感覚が、あたかも世界は恐ろしく、悲しく、暴力的で、正気を失っていると錯覚しているだけである。



2. These exercises are done with eyes open. Look around you, this time quite slowly. 
  • exercise [éksərsàiz] : 「練習、訓練、課題、学課」
  • done [dʌ́n] : 「doの過去分詞」
  • look around : 「周りを見回す、見て回る、周囲に気を付ける」
  • this time : 「今度こそは、今回は」
  • quite [kwáit] : 「かなり、なかなか、とても、非常に」
  • slowly [slóuli] : 「ゆっくり、のろのろと」
❖ "These exercises are ~ "「今日のエクササイズは、目を開いて行うように」。"Look around ~ "「今回は、極めてゆっくりと、あなたの周りを見渡しなさい」。あなたの心の中を探るのではないので、目を開けて行う。



Try to pace yourself so that the slow shifting of your glance from one thing to another involves a fairly constant time interval. 
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
  • pace [péis] : 「調整する、一定にする、一定の速度で歩く」
  • so that : 「〜できるように」
  • slow [slóu] : 「遅い、のろい、ゆったりした」
  • shifting [ʃíft] : 「転移、移動」
  • glance [ɡlάːns] : 「ひと目、ちらりと見ること、一瞥」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
  • involve [invάlv] : 「含む、取り込む、〜を伴う」
  • fairly [fέərli] : 「公平に、平等に、かなり、相当に、極めて」
  • constant [kάnstənt] : 「不変の、一定な」
  • time interval [íntərvəl] : 「時間間隔」
❖ "Try to pace ~ "「〜できるように、あなた自身のペースを保つように努めなさい」。"so that the slow ~ "「極めて一定の時間的間隔で、一つの物から次の物へとあなたの目がゆっくり移動していくことができるように、」あなた自身のペースを保つように努めなさい。風景の映像を撮っているカメラのつもりで、ゆっくりカメラを移動させていく、そんな感じ。急がない、焦らない。



Do not allow the time of the shift to become markedly longer or shorter, but try, instead, to keep a measured, even tempo throughout. 
  • allow [əláu] : 「許す、許可する」
  • shift [ʃíft] : 「交代、変更、変化、転換」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • markedly [mάːrkidli] : 「著しく、きわだって」
  • instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ、そうしないで」
  • keep [kíːp] : 「保つ、〜の状態にしておく」
  • measured [méʒərd] : 「律動的な、規則的な」
  • even [íːvən] : 「等しい、同等の、均等な、均一な、一様な」
  • tempo [témpou] : 「テンポ、速度」
  • throughout [θruːáut] : 「初めから終わりまで、完全に」
❖ "Do not allow ~ "「(物から物へ)移っていく時間を、極端に長くしたり短くしたりしないように」。"but try, instead ~ "「そうせずに、始めから終わりまで、規則的な平均したテンポを保つように努めなさい」。つまり、目に止まったものに感情移入することなく、区別や差別を極力避けるのだ。カメラの目となって、淡々と情景を映し出していくこと。



What you see does not matter. You teach yourself this as you give whatever your glance rests on equal attention and equal time. 
  • matter [mǽtər] : 「重要である」
  • teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する、学ばせる、悟らせる」
  • whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも」
  • rest [rést] : 「休む、休息する、ある」
  • equal [íːkwəl] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
  • attention [əténʃən] : 「注意、留意、注目」
❖ "What you see ~ "「あなたが何を見るか、それは重要ではない」。何を目にしても構わない。"You teach yourself ~ "「あなたが、目に止まった物なら何に対してでも、等しい注意と等しい時間を与えることによって、あなたはこのことを自分自身に教えるのだ」。見る対象を区別差別せず、すべて、重要ではないと認識するために、注意時間を平均化する。



This is a beginning step in learning to give them all equal value.
  • beginning [biɡíniŋ] : 「最初の、始まったばかりの、初歩の」
  • step [stép] : 「一歩、歩み、階段」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち」
❖ "This is a beginning ~ "「これは、見る物すべてに等しい価値を与えるという学びの最初のステップである」。"equal value"「等しい価値」とあるが、等しく価値がない、という意味合いである。幻想は、それがどんなに価値があるように見えても、実相的な視点から見れば、すべて価値がない。とは言え、もし札束を目の前にしたら、決心はぐらついてしまうだろう。そんな時は、イエスならどうするか、と思ってみればいい。イエスは札束に目がくらむだろうか? イエスならこうするだろうとあなたが想像するように、あなたもイエスを真似ればいいのだ。



3. As you look about you, say to yourself:

        I think I see a fearful world, a dangerous world, 
        a hostile world, a sad world, a wicked world,a crazy world,

and so on, using whatever descriptive terms happen to occur to you. 
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、ものすごい」
  • dangerous [déindʒərəs] : 「危険な、危険を伴う、物騒な」
  • hostile [hάstl] : 「敵意を持った、敵対性の」
  • wicked [wíkid] : 「ひどく悪い、不道徳な、危険な、物騒」
  • crazy [kréizi] : 「気が狂って、正気でない、正気を失って」
  • descriptive [diskríptiv] : 「記述的な、分類する、説明する」
  • term [tə́ːrm] : 「言葉遣い、言い回し、表現、用語」
  • happen [hǽpən] : 「たまたま〜する、偶然〜する」
  • occur [əkə́ːr] : 「頭に浮かぶ、思い付く、気付く」
❖ "As you look about ~ "「あなたの周りを見ながら、次のようにあなたに自身に言いなさい」。"I think I see ~ "「私は、恐ろしげな世界、危険な世界、悪意ある世界、悲しげな世界、不道徳な世界を見ていると思っているだけだ」。見てはいるが、世界にそんな属性を与えているのはあなた自身である。だから、"I think I see ~ "は「見ていると思っているだけだ」、「見ていると思っているだけで、本当はそこに何も存在しない」というニュアンスになる。"and so on, using ~ "「というように、どんな言い回しでも、あなたの心に浮かんだ言葉を使えばいい」。たとえば、醜い世界、歪んだ世界、不平等な世界、混乱の世界、戦いの世界、死の世界、等々。



If terms which seem positive rather than negative occur to you, include them. 
  • positive [pάzətiv] : 「前向きな、楽天的な、建設的、肯定的な」
  • rather than : 〜「よりはむしろ、かえって」
  • negative [néɡətiv] : 「拒否の、後ろ向きの、否定的な、悲観的な」
  • include [inklúːd] : 「含める、含有する、包含する」
❖ "If terms which seem ~ "「もし、ネガティヴと言うよりはむしろポジティヴと思える言葉が浮かんだら、それも含めるように」。逆に、美しい世界でもいい。調和の世界、美の世界、色彩豊かな世界、やさしい世界、麗しき世界、温かい世界、等々でもいい。それが真実か虚偽かの判断はしないこと。感じたままを思った言葉で表せばいい。そして、そう見ていると思っているだけだ、と結論する。



For example, you might think of "a good world," or "a satisfying world." If such terms occur to you, use them along with the rest. 
  • for example : 「例えば、例として」
  • satisfying [sǽtisfàiiŋ] : 「満足させる、満足感を与える」
  • along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜に加えて」
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
❖ "For example, you ~ "「たとえば、あなたは、『良き世界』とか『満足のいく世界』と思うかもしれない」。"If such terms ~ "「もし、そんな言葉が思い浮かんだら、残りの言葉と合わせて、それを使えばいい」。判断、評価をしない。価値付けをしない。序列を作らない。淡々と、静かな心で見渡していけばいい。



You may not yet understand why these "nice" adjectives belong in these exercises but remember that a "good world" implies a "bad" one, and a "satisfying world" implies an "unsatisfying" one. 
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • nice [náis] : 「良い、素晴らしい、すてきな、快い」
  • adjective [ǽdʒiktiv] : 「形容詞」
  • belong [bilɔ́ːŋ] : 「属する、所属する」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす」
  • unsatisfying [ʌnsǽtisfàiŋ] : 「満足のいかない、満足感の得られない」
❖ "You may not yet ~ "意訳する、「あなたはまだ、なぜ、これらの『ポジティヴな』形容詞が今日のエクササイズに適用出来るか、理解出来ないかも知れない」。"but remember that ~ "「でも、『良き世界』は、『悪しき』世界を暗にほのめかしており、『満足のいく世界』は『満足のいかない世界』を暗示しているということを覚えておきなさい」。"imply"を「暗にほのめかしている」と訳してみたが、対極の世界の存在を認めている、という意味合いである。この幻想世界は二元論世界であり、すべての概念が対立する二極の概念に分裂している。愛と憎悪、善と悪、幸と不幸、喜びと悲しみ、という具合である。したがって、たとえば、愛と憎悪は一本に糸で繋がった概念であり、愛を想定すれば結果的に憎悪も想定されてしまうのである。あなたが『良き世界』と言うとき、それは『悪しき世界』の存在を想定して発言していることになるのだ。結局、『良き世界』も『悪しき世界』も、共に幻想であって、存在などしていない。世界の圧倒的なリアルさにあなたは騙されているだけだ。実相的には『良き』も『悪しき』もないのだ。実相世界は一元論世界であり、対極概念をもたない純粋な概念だけが存在している世界なのだから。



All terms which cross your mind are suitable subjects for today's exercises. Their seeming quality does not matter.
  • cross [krɔ́s] : 「〜を横断する、渡る」
  • suitable [súːtəbl] : 「ふさわしい、適切な」
  • subject [sʌ́bdʒikt] : 「主題、題目、議題、題材、被写体」
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せ掛けの、うわべの」
  • quality [kwάləti] : 「質、性質、品質、本質、属性」
❖ "All terms which ~ "「あなたの心を横切った言葉すべてが、今日のエクササイズの対象にふさわしい」。"Their seeming ~ "「その対象の見掛けの質は問題でないのだ」。良し悪しとか、美醜などといった質は問題でない。もともと対象が幻想であって実在していないのだから、その見掛けも幻想に過ぎないのだ。そんな幻想の質に騙されてはいけない。



4. Be sure that you do not alter the time intervals between applying today's idea to what you think is pleasant and what you think is unpleasant. 
  • sure [ʃúər] : 「確信して、確信している、固く信じている」
  • alter [ɔ́ːltər] : 「変える、変更する、改める」
  • interval [íntərvəl] : 「隔たり、間隔、合間」
  • between [bitwíːn] A and B: 「AとBとの間に、AないしB」
  • applying [əpláiiŋ] : 「適用、活用」
  • pleasant [plézənt] : 「楽しい、愉快な」
  • unpleasant [ʌnplézənt] : 「不愉快な、嫌な、気に障る、気色が悪い」
❖ "Be sure that you ~ "「あなたが快いと思うことに今日のものの見方を適用する時間と不快だと思うことにかける時間を変えたりしなように気を付けないさい」。区別、差別は禁物。言うなれば、楽観視も悲観視も、実は幻想的なものの見方なのだ。喜劇的な夢も悲劇的な夢も、幸福な夢も不幸な夢も、夢としてはみな同等である。



For the purposes of these exercises, there is no difference between them. 
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • difference [dífərəns] : 「相違点、異なる部分、特異点」
❖ "For the purposes of ~ "「今日のエクササイズの目的にとって、快不快の間に違いはない」。どちらも、幻想に騙された知覚を修正する目的のためには有効なのだ。



At the end of the practice period, add:

        But I am upset because I see a meaningless world.
  • at the end of : 「〜の終わり」
  • practice [prǽktis] : 「練習、訓練、演習」
  • period [píəriəd] : 「期間、時期」
  • add [ǽd] : 「加える、付け足す、言い足す」
❖ "At the end of ~ "「練習の最後に、次のように付け加えればいい」。"But I am upset ~ "意訳する、「しかし、意味のない世界を見ているからこそ、私は動揺しているに過ぎない」。たとえば、まったく意地の悪い世界であり、私の心はむしゃくしゃしているが、世界が私に不快感を与えているのではなく、ありもしない世界に対して私が勝手にむしゃくしゃした思いを抱いているだけなのだ。世界が幻想である限り、私のむしゃくしゃも幻想であるに違いない。そのように知ったのだから、この不快な思いを赦してやろう。さあ、不快感よ、さようなら。



5. What is meaningless is neither good nor bad. Why, then, should a meaningless world upset you? 
  • neither [níːðər] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
❖ "What is meaningless ~ "「意味のないものは、良くもなく悪くもない」。存在していないものに、良し悪しがあるわけない。"Why, then, should ~ "「ならば、なぜ、意味のない世界があなたを動揺させたり出来るだろうか」。あなたは、存在しない世界のイメージを絵の具にして、動揺を描き出しているだけだ。



If you could accept the world as meaningless and let the truth be written upon it for you, it would make you indescribably happy. 
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる] 
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • written [rítn] : 「writeの過去分詞」
  • indescribably [ìndiskráibəbl] : 「言いようもなく、言葉では言い表せないで」
❖ "If you could accept ~ "「もしあなたが、この世界を意味がないと受け入れることが出来、その世界の上に、真実があなたのために書かれるようにすることが出来たなら、」"it would make ~ "「世界はあなたを、言い様もなく幸せに出来るだろう」。仮定法過去であることに注意。今はそうではないが、もし仮にそうなら、という意味合いである。仮に、世界の幻想性を認識し、その幻想をあるがままに赦すことができたら、幻想はあなたの目の前で消滅し、その空(くう)なる場所に、実在する実相世界が見えてくる。あなたは無上の幸せを感じるだろう。そこは、対極の概念を持たない、純粋な一元論の世界である。幸せは実在するが不幸は存在しない。喜びと愛は実在するが、悲しみと憎悪は存在しない。その本当の実相世界に、今あなたは、このエクササイズを通じて誘(いざな)われているのだ。そして、その誘いを受け入れ、選択し、決断することが、あなたがこの世に生まれてきた最大の目的である。それが滑稽(こっけい)に感じるなら、即刻このACIMを立ち去るべきだ。この世の快楽と享楽を浴びて生きることはどれほど面白いことか。それをとことん満喫する人生を歩めばよい。誰もあなたを責めはしない。



But because it is meaningless, you are impelled to write upon it what you would have it be. It is this you see in it. 
  • impel [impél] : 「〜を駆り立てる、押し進める、無理に〜させる」
❖ "But because it ~ "「しかし、この世界に意味がないからこそ、」この世界が存在せず、空(くう)だからこそ、"you are impelled ~ "「あなたは、この世界の上に、あなたがそうあって欲しいと望むものを描くように駆り立てられているのだ」。あなたは、この世の空(くう)なる場所に、是が非でも自分の望む物を、つまり色(しき)を描き出しているのだ。幻想しているのである。"It is this ~ "「それこそが、あなたが世界に見ているものである」。言うまでもなく、色即是空、空即是色、なのである。



It is this that is meaningless in truth. Beneath your words is written the Word of God. 
  • in truth : 「実のところ、実際には」
  • beneath [biníːθ] : 「下に、下方に、下位に」
❖ "It is this that is ~ "「これこそが、本当の意味で、意味のないことなのだ」。空(くう)に色(しき)を描いていること自体が、文字通り、意味のないことなのだ。夢の世界を彷徨(さまよ)っているのである。しかし、"Beneath your words ~ "「あなたの言葉の、その下に、神の言葉が書かれている」。あなたの肉体的な感覚器官が知覚し、言葉を駆使して思考し、様々な絵の具で描き出したこの幻想世界の、その下に、神の言葉で創造された真実の実相世界が実在している。それを感知するために、あなたの歪んだ知覚を修正しなくてはならない。幻想と錯覚に慣れ親しんだ知覚を正し、それを実相の叡智(knowledge)に昇華しなくてはならないのだ。



The truth upsets you now, but when your words have been erased, you will see His. That is the ultimate purpose of these exercises.
  • erase [iréis] : 「消す、消去する、抹消する、削除する」
  • ultimate [ʌ́ltəmət] : 「最高の、究極の、根本的な」
❖ "The truth upsets ~ "「今でこそ、真実はあなたを苛立たせているかも知れない」。"but when your ~ "「しかし、あなたの言葉が払拭(ふっしょく)されたとき、」"you will see ~ "「あなたは、神の言葉を見るであろう」。"That is the ultimate ~ "「それこそが、このWorkbookのエクササイズの究極の目標なのだ」。あなたが目にする物は実在しない、無意味なのだと言われると、あなたはその真実に苛立ちを覚えるかも知れない。しかし、その幻想が消滅すれば、そこに神の実相世界が立ち現れる。真実が見えてくるのだ。それがこのWorkbookの最終の目的である。実相世界への回帰である。



6. Three or four times is enough for practicing the idea for today. 
  • enough [inʌ́f] : 「十分な、足りる」
  • practice [prǽktis] : 「〜を練習する、〜を実行する」
❖ "Three or four times ~ "「今日のものの見方を練習するには、日に3〜4回で十分だ」。過ぎたるは及ばざるがごとし。



Nor should the practice periods exceed a minute. You may find even this too long. 
  • exceed [iksíːd] : 「超える、上回る、突破する」
  • find [fáind] : 「発見する、見いだす、気付く、理解する」
❖ "Nor should the practice ~ "「また、一回の練習時間を1分以上にすべきでない」。"You may find ~ "「それでも、あなたは長過ぎると思うかも知れないので」。今日のものの見方に限らず、否定的アファメーションは、あなたの心に大きなストレスをかける。だから、心がストレスに慣れるまでは、短時間でアファメーションを済ませるのである。



Terminate the exercises whenever you experience a sense of strain.
  • terminate [tə́ːrmənèit] : 「〜を終わらせる、終結させる、終了させる、打ち切る」
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • strain [stréin] : 「緊張、精神的緊張、緊張の色、負担、重圧」
❖ だから当然、"Terminate the exercises ~ "「あなたが精神的緊張を経験したら、エクササイズを終了するように」。ストレスを感じたら、練習を即刻止めること。ACIMはこのWorkbookを、殊更に瞑想だとは言ってないが、非常に強烈な瞑想(meditation)であることは事実である。過度な瞑想によって精神に異常を来す例は、古今東西、例を挙げれば切りがない。しかも、瞑想による精神疾患は、それが精神の中枢に関わることだけに、回復は非常に困難を極める。したがって、ACIMの忠告、進言を軽視することなく、1分以内に終わらせよと言われたら、その通りにすべきだのだ。さらに、これは自学自習の講座である。だれもあなたに指導を与えてはくれない。だからこそ、自主的な自己管理は是非とも必要なのだ。決して焦らないこと。急がないこと。熱中し過ぎないこと。リラックスすること。楽しむこと。心に疲れやストレスを感じたら、すぐにエクササイズを中止すること。なあに、明日があるさ。
 
 
 


W-pI.11.1:1 ~ W-pI.11.4:3

Lesson 11

My meaningless thoughts are showing 
me a meaningless world.
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味が分からない、無意味な」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、思想、考え」
  • show [ʃóu] : 「示す、表す、表示する」
❖ "My meaningless ~ "「私の意味のない考えが、私に、意味のない世界を見せている」。"meaningless thoughts"「意味のない考え、思い、思考」とは、価値のない、つまらない考えという意味ではなく、存在さえしない幻想の考えということ。いわば、夢の中で考えたり思ったりしている思考、という意味。そんな夢の中の思いが、この世界を描き出している。当然、この世界も意味のない世界であり、存在せず、幻想なのだ。



1. This is the first idea we have had that is related to a major phase of the correction process; the reversal of the thinking of the world. 
  • relate [riléit] : 「結び付ける、関連付ける」
  • major [méidʒər] : 「重要な、主要な、一流の」
  • phase [féiz] : 「段階、局面、面、相」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、訂正個所、矯正、修正、是正」
  • process [prάses] : 「一連の行為、進行、経過、推移」
  • reversal [rivə́ːrsəl] : 「逆転、逆戻り、反転、取り消し、破棄」
❖ "This is the first idea ~ "「これは、修正作業の主要な段階に関連した、私たちが試みる最初のものの見方である」。"the reversal of ~ "「つまり、世界に対する考え方をひっくり返すのである」。我々の知覚が空(くう)なる場所に色(しき)を描き出しているということを学んだが、描き出された色(しき)としてのこの世界もまた、当然ながら、幻想なのだ。圧倒的にリアルな存在として、世界は我々の知覚に映し出されているのだが、世界は実在してはいないという考えへ向けた修正作業を行うのである。今、その修正作業の重要な局面に差しかかってきた。



It seems as if the world determines what you perceive. Today's idea introduces the concept that your thoughts determine the world you see. 
  • as if : 「あたかも〜かのように、〜と言わぬばかりに」
  • determine [ditə́ːrmin] : 「決定する、決心させる」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • introduce [ìntrədjúːs] : 「導入する、取り入れる」
  • concept [kάnsept] : 「概念、観念」
❖ "It seems as if ~ "「あたかも、世界が、あなたの知覚するものを決めているように思えるだろう」。"Today's idea introduces ~ "「今日のものの見方は、あなたの思いが、あなたの目にする世界を決定しているという概念を導入する」。世界が実在し、そこに実在する物、実在する現象をあなたの感覚器官が知覚しているのだ、と思い込んでいるのだろうが、真実はその逆である。あなたの思いが、つまり、エゴに支配されたあなたの心が、エゴの思考システムに合致するような形で、この世界を形作っているに過ぎない。圧倒的にリアルに見える幻想を描き出しているのだ。



Be glad indeed to practice the idea in its initial form, for in this idea is your release made sure. The key to forgiveness lies in it.
  • glad [ɡlǽd] : 「満足して、うれしく思う」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
  • practice [prǽktis] : 「〜を実行する、順守する、実践する、実施する」
  • initial [iníʃəl] : 「最初の、初めの、初の、初期の」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • initial form : 「初期形状」
  • release [rilíːs] : 「救出、解放」
  • sure [ʃúər] : 「確かな、確実な、確固とした」
  • key [kíː] : 「鍵、解決の鍵、手掛かり、秘訣」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
❖ "Be glad indeed ~ "「このものの見方を、初期の形で練習出来ることを喜びなさい」。"in its initial form"「ものの見方の初期の形で」という箇所は、意味がとり難いのだが、「このものの見方を初めて学ぶことで」という意味にとっておこう。したがって、「あなたの思いが世界を決定しているという概念を、今日、初めて学び、練習することを喜ぼう」といった意味合いになるだろう。"for in this idea ~ "「なぜなら、このものの見方をすることによって、あなたの解放が確実になるからだ」。もちろん、幻想からの解放であり、幻想世界からの解放である。"The key to ~ "「赦しへの鍵が、そこに存在する」。"forgiveness"「赦し」は、ACIMの、最も重要な概念の一つである。あなたが日常使っている『許し』とはまったく異る概念である。ACIMの"forgiveness"「赦し」とは、存在しない幻想をしっかりと幻想と認識し、その事実を受け入れ、そして、それに抵抗せずに受け流してしまうことである。簡単に言えば、夢を見ているんだと認識、夢を夢として受け流してしまうのである。このように、幻想を赦してしまえば、ACIMの言う奇跡が起きて、幻想はあなたの目の前から消滅する。あなたは幻想から"release"「解放」されるのだ。



2 The practice periods for today's idea are to be undertaken somewhat differently from the previous ones. 
  • practice [prǽktis] : 「練習、訓練、演習」
  • period [píəriəd] : 「期間、時期」
  • undertake [ʌ̀ndərtéik] : 「企てる、始める、〜に着手する、〜に取り掛かる」
  • somewhat [sʌ́mhwʌ̀t] : 「いくらか、少々、いくぶんか、やや」
  • differently [dífərəntli] : 「異なって、違って」
  • previous [príːviəs] : 「前の、以前の」
❖ "The practice periods ~ "「今日のものの見方の練習時間では、前の練習とは幾分違った形で練習がとり行われることになる」。具体的には次。



Begin with your eyes closed, and repeat the idea slowly to yourself. Then open your eyes and look about, near and far, up and down,--anywhere. 
  • begin with : 「〜から始める」
  • closed [klóuzd] : 「閉ざされた、閉じた」
  • repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す、〜を繰り返して言う」
  • slowly [slóuli] : 「ゆっくり、のろのろと」
  • look about : 「周りを見回す、見て回る」
  • near [níər] : 「近い場所へ、近くへ、近くに」
  • far [fάːr] : 「遠く離れて、遠くに、遠くへ」
  • anywher [énihwὲər] : 「どこでも、どこかに、どこへでも」
❖ "Begin with your ~ "「目を閉じ、あなた自身に向かって、今日のものの見方をゆっくりと繰り返し述べる」。"Then open your ~ "「その後、目を開けて、周りを見渡す」。"near and far ~ "「近い所、遠い所、上、下、というように、くまなく目を配る」。



During the minute or so to be spent in using the idea merely repeat it to yourself, being sure to do so without haste, and with no sense of urgency or effort.
  • during [djúəriŋ] : 「〜の間ずっと、〜の期間に、〜の間に」
  • spent [spént] : 「spendの過去・過去分詞形」
  • spend [spénd] : 「使う、費やす」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たずに」
  • haste [héist] : 「迅速、急ぐ必要、慌てること、急ぐこと」
  • sense [séns] : 「感覚、知覚、感触、感じ」
  • urgency [ə́ːrdʒənsi] : 「緊急、切迫感、しつこさ、強引さ」
  • effort [éfərt] : 「尽力、努力」
❖ "During the minute ~ "「このものの見方を適用する1分かそこいらの間、あなた自身に向かって、このものの見方をただ繰り返しなさい」。"being sure to do ~ "「慌てることなく、切迫感ももたず、努力することもない、ということを確認しながら行いなさい」。リラックスが肝心。力まない。幻想を受け入れ受け流すには、さりげなさが肝要なのだ。幻想と戦おうとすれば、逆に、幻想のパワーを増強することになってしまう。多くの人がここで勘違いして、本当の赦しを実現出来ない。幻想を殺すのではない。逆に、幻想に対して無抵抗を貫くのだ。それは幻想だと認識して、さりげなく行き過ぎてしまうのである。赦すのだ。



3. To do these exercises for maximum benefit, the eyes should move from one thing to another fairly rapidly, since they should not linger on anything in particular. 
  • maximum [mǽksəməm] : 「最大限、最高限度」
  • benefit [bénəfit] : 「便益、恩恵、利益」
  • move [múːv] : 「移動する、動く」
  • fairly [fέərli] : 「公平に、平等に、かなり、相当、極めて」
  • rapidly [rǽpidli] : 「急速に、迅速に、急激に、どんどん」
  • since [síns] : 「〜なので、〜だから」
  • linger [líŋɡər] : 「長居する、居残る、残存する」
  • in particular [pərtíkjulər] : 「特に、とりわけ、格別に」
❖ "To do these exercises ~ "「最も効果的にこのエクササイズを行うには、一つの物から他の物へと、かなり早く目を移動させるべきだ」。"since they should ~ "「なぜなら、何かに特別に居座ってはいけないからである」。さりげなく受け流していくために、特別な物にこだわってはいけない。幾分速いテンポで、平等に、目を動かしていくこと。



The words, however, should be used in an unhurried, even leisurely fashion. 
  • unhurried [ʌnhə́ːrid] : 「急がない、ゆっくりした、慎重な」
  • leisurely [líːʒərli] : 「くつろいだ、のんびりした、急がない」
  • fashion [fǽʃən] : 「やり方、仕方、方法、流儀」
❖ "The words, however ~ "「しかし、アファメーションの言葉を言うときは、急がずに、くつろいだやり方で言葉を述べること」。自分に言い聞かせるのだから、急ぐ必要も、緊張することもない。言葉を噛みしめながら、宣言すればいい。もちろん、リラックスしながらである。



The introduction to this idea, in particular, should be practiced as casually as possible. 
  • introduction [ìntrədʌ́kʃən] : 「導入、採用、導入部」
  • practice [prǽktist] : 「〜を実行する、順守する、実践する」
  • casually [kǽʒuəli] : 「何げなく、不用意に、平気で」
  • possible [pάsəbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
❖ "The introduction ~ "「今日のものの見方を導入するに当たっては、特に、出来るだけさりげなく、練習を開始すべきだ」。気負ってはいけない。受け流す、そのさりげなさが肝心。賢い母親がその子供の愚行を目にして、あら、バカをやっているのね、と見て見ぬふりをする寛大さが肝要だ。



It contains the foundation for the peace, relaxation and freedom from worry that we are trying to achieve. 
  • contain [kəntéin] : 「含む、包含する」
  • foundation [faundéiʃən] : 「土台、礎、基盤」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平安」
  • relaxation [rìːlækséiʃən] : 「息抜き、気晴らし、緩和、くつろぎ」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • worry [wə́ːri] : 「不安、心配、気掛かり、気苦労、懸念」
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
  • achieve [ətʃíːv] : 「成し遂げる、達成する、成就する、やり遂げる」
❖ "It contains the foundation ~ "「今日のものの見方には、私たちが達成しようと試みている、平和とリラクゼーションと不安からの解放のための基礎が含まれている」。今日のものの見方には、幻想からの解放がもたらす平和や寛ぎの感じ、それを引き出す基礎的な内容が盛り込まれている。



On concluding the exercises, close your eyes and repeat the idea once more slowly to yourself.
  • conclude [kənklúːd] : 「〜を完結する、終える、無事に済ませる」
  • once more : 「もう一度」
❖ "On concluding the exercises ~ "「エクササイズを終えるときは、目を閉じて、今日の宣言をもう一度、あなたに自身に向かってゆっくりと繰り返しなさい」。リラックスしながら、終わりのアファメーションを行うのだ。



4. Three practice periods today will probably be sufficient. 
  • probably [prάbəbli] : 「高い確実性で、十中八九は、恐らく」
  • sufficient [səfíʃənt] : 「十分な、満足な、足りる」
❖ "Three practice ~ "「今日は、一日3回の練習で、おそらく十分であろう」。



However, if there is little or no uneasiness and an inclination to do more, as many as five may be undertaken. More than this is not recommended.
  • uneasiness [ʌníːzinis] : 「不安、心配、困惑」
  • inclination [ìnklənéiʃən] : 「傾向、〜したい気持ち、意向、好み、性向」
  • recommend [rèkəménd] : 「〜を推薦する、〜を薦める」
❖ "However, if there ~ "「とは言え、もし不安が少しも、あるいはまったくなかったら、また、もっとやりたい気持ちがあったなら、5回程度までは行ってもいいだろう」。しかし、"More than this ~ "「これ以上は、お勧め出来ない」。ACIMのエクササイズは、形こそ異れ、瞑想の一種である。座禅が、思考を停止する静的な、あるいは受動的な瞑想だとすれば、ACIMのエクササイズは思考を変容させていく動的な、あるいは能動的な瞑想だと言えよう。その分、非常に強烈な影響を与える瞑想である。瞑想のやり過ぎは、時として精神の異常を引き起こす危険性がある。肉体的な変調は決まって起きる。決して、自分を過信して暴走することがないように。ACIMの指示を、きっちり守るべきである。ACIMの指示とは、ホーリー・スピリットの導きなのだ。それを信じて、まず間違いない。
 
 
 


W-pI.10.1:1 ~ W-pI.10.5:5

Lesson 10



My thoughts do not mean anything.
  • thought [θɔ́ːt] : 「考えること、思考、思索、考え、見解」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
❖ "My thoughts do ~ "「私の思いは、何の意味もない」。重要なことも何も考えていない、という意味ではない。考えていること、思っていることは、実は幻想であって、本当は何も考えていない、この思いは錯覚だ、という意味である。あなたは眠っていて、何かを考えている夢を見ているに過ぎないのだ。どんなに夢の中で考えあぐね、思い悩んでみても、夢は夢に過ぎない。夢から覚めた朝には、本当は何も考えていなかったんだ、夢の中の思いは存在していなかったんだ、と気付くのである。


1. This idea applies to all the thoughts of which you are aware, or become aware in the practice periods. 
  • apply [əplái] : 「当てはまる、妥当する、適用される、適合する」
  • aware [əwέər] : 「気付いている、気が付いて」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • practice [prǽktis] : 「練習、訓練、演習」
  • period [píəriəd] : 「期間、時期」
❖ "This idea applies ~ "「この今日のものの見方は、あなたが気付いていること、練習しながら気付くようになったこと、そのすべての思いに対して適用出来る」。楽しい思いであろうが、悲しい思いであろうが、重大な考えであろうが、ささいな考えであろうが、いつ何時(なんどき)の考え、思いにも、適用出来る見方である。夢の中で考え、思っているだけだから、考えや思いに重要度の序列はない。すべて幻想に過ぎない。考えや思いもまた、空(くう)なのだ。『受想行識亦復如是』である。



The reason the idea is applicable to all of them is that they are not your real thoughts. 
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • applicable [əplíkəbl] : 「適用できる、適切な、応用できる、当てはまる」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "The reason the idea ~ "「どんな思いや考えにも、すべて、今日のものの見方を適用出来る理由は、それらの思いや考えは、あなたの実相的な思いや考えではないからだ」。"real thoughts"は、「現実的な思い、実在する考え、実相的な思いや考え」ということ。つまり、夢から覚めた状態での思いや考え、という意味である。今、あなたはまだ幻想世界に留まり、深い眠りに陥ったまま、夢を見ている状態である。夢を見ている状態での思いや考えはすべて幻想であって、リアルな思いや考えではない。だから、今日のものの見方がすべてに適用出来るし、それによって、幻想的な考えや思いを修正していくのである。



We have made this distinction before, and will do so again. You have no basis for comparison as yet. 
  • distinction [distíŋkʃən] : 「差異、区別、特徴、特質」
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて、この場合もやはり」
  • basis [béisis] : 「土台、基礎、基盤、基準、原理、原則、根拠、理由」
  • comparison [kəmpǽrisn] : 「比べること、なぞらえること、比較、対照、類似」
  • as yet : 「今のところは」
❖ "We have made ~ "「私たちは以前にも、この区別をしたことがあるし、再びそうすることになるだろう」。"this distinction"「この区別」とは、幻想的には思ったり考えたりしているが、実相的には何も思ったり考えたりしていない、という区別。つまり、幻想と実相の区別であり、真実と虚偽の区別である。虚偽に光を当てて、それを修復し、真実に近づいていく、というエクササイズは、今後も続く。"You have no basis ~ "「あなたは今のところ、比較する基盤をもっていない」。あなたは今のところ、まだ、実相と幻想を見分ける基盤、ヴィジョンをまだ習得してはいない。だから、自分で判断評価することなく、言われたままに、淡々とエクササイズを実践していけばいい。やがて、少し眠りから覚めてくると、実相と幻想の比較、区別が、おぼろげながら付けられるようになるだろう。つまり、今自分は夢を見ているんだな、とわかるときが来る。



When you do, you will have no doubt that what you once believed were your thoughts did not mean anything.
  • have no doubt [dáut] : 「少しも疑わない、確信している」
  • once [wʌ́ns] : 「一旦〜すると」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
❖ "When you do ~ "意訳する、「(幻想と実相の区別が)出来るようになれば、あなたは、かつてあなたの思いだと信じていたことが、意味がないことだったと、何の疑いも持つことはなくなるだろう」。幻想という夢から覚めれば、あれこれ考えていたことが、実は夢の中のたわいない思いだったと気付いて、すべて、意味のない幻想だったのだと、疑いなく知ることになる。



2. This is the second time we have used this kind of idea. The form is only slightly different. 
  • second time : 「二度目」
  • use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
  • this kind of : 「この種の、こういう種類の」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • slightly [sláitli] : 「わずかに、ちょっと、少し、若干」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "This is the second time ~ "「この種のものの見方を利用するのは、今回で二度目である」。前回は、目に見える物に対して、今回は目に見えない思いに対して。"The form is only ~ "「形がちょと異るだけだ」。目に見える形か、目に見えないものか、その違いだけだ。しかし、どちらも、幻想という本質は変わりない。



This time the idea is introduced with "My thoughts" instead of "These thoughts," and no link is made overtly with the things around you. 
  • this time : 「今度こそは、今回は」
  • introduce [ìntrədjúːs] : 「取り入れる、取り込む、導入する」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」
  • link [líŋk] : 「結び付けるもの、関連性、相互関係」
  • overtly [ouvə́ːrt] : 「公然と、あからさまに」
  • around [əráund] : 「〜の周りに、〜の周囲に」
❖ "This time the idea ~ "「今回のものの見方は、『これらの思い』と言う代わりに、『私の思い』という言葉で始められている」。"and no link is made ~ "「あなたの周りの物事と、あからさまな関係を付けてはいない」。つまり、客観的な思いに対して適用するのではなく、主観的な思い、考えに対して、今日のものの見方を適用する形になっている。あなたの個人的な感情に極く近い思いや考えに適用すればいいのだ。たとえば、政府が雇用に対して抱いている考えは意味がない、などと宣言するのではない。



The emphasis is now on the lack of reality of what you think you think.
  • emphasis [émfəsis] : 「注目、重要視、重点を置くこと、強調、強意」
  • lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、現実のこと」
❖ "The emphasis is ~ "「今回は、あなたが思っていると思っていることの現実性(実相性)の欠如を強調するのである」。考えていると思ってはいるが、実は何も考えていない、ということを知ることを目的としている。それを強調するエクササイズである。いわば、無知を知ることから始めよ、ということである。



3. This aspect of the correction process began with the idea that the thoughts of which you are aware are meaningless, outside rather than within; and then stressed their past rather than their present status. 
  • aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、特徴、捕らえ方、解釈」
  • correction [kərékʃən] : 「矯正、修正、是正、補正」
  • process [prάses] : 「一連の行為、経過、推移、過程」
  • began [biɡǽn] : 「beginの過去形」
  • begin [biɡín] : 「〜を始める、着手する」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味が分からない、無意味な」
  • outside [áutsáid] : 「外部の、部外の」
  • rather than : 「〜よりはむしろ、かえって」
  • within [wiðín] : 「内部で、内側は、内心は、精神的に」
  • stress [strés] : 「〜を強調する、重視する、強く主張する」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • present [préznt] : 「今、現在」
  • status [stéitəs] : 「状況、情勢、地位、立場」
❖ "This aspect of ~ "「修正過程におけるこの側面は、」知覚や思考の修正を行っていく課程における、今日のレッスンの側面、つまり、あなたの思考は意味がなく、幻想であると認識する側面は、"began with the idea ~ "「that以下の考えで始められる」。"that the thoughts of ~ "「あなたが気が付いている思いは意味がなく、」"outside rather than ~ "「内側に向かった思いというより、外側に向かった思いであって、」"and then stressed ~ "「したがって、現在の状況に向かっているというよりは、過去に重きを置いたものである」という考えで始められる。"outside rather than within"「内向しているというより、むしろ外向している」とは、あなたの思考が、あなた自身の問題に関してというより、外の事象にからんでなされている、ということ。思考の対象が外にある、ということ。たとえば、彼は私を裏切ったから、悪いのは彼であって、罰せられて当然だ、というような思い、考え。その結果、過去の事象に関して思考していることになり、"stressed their past rather than their present status"「現状況よりも過去の思考に重点が置かれる」こととなるのだ。簡単に言えば、あなたの思いや思考は、過去の出来事に関わるものばかりであり、過去の経験の周りをぐるぐる回っている、ということ。そういった思いや思考を、意味はない、幻想であると認識して、知覚や思考の修正を実行していこうとするのが、今日のエクササイズの目的(側面)である。



Now we are emphasizing that the presence of these "thoughts" means that you are not thinking. 
  • emphasize [émfəsàiz] : 「強調する、力説する」
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在」
❖ "Now we are ~ "「今や私たちは、こういった『思い』の存在は、あなたが考えたりしていないことを意味するのだと強調しよう」。過去という時間を機軸にした思いや、それに加えて外向性の思いは、夢の中で思っているのと同様で、意味がない。あなたの心の大半はエゴに支配されており、そのエゴの思考システムに則って思考したり思ったりしていることはすべて幻想である。対して、あなたの心の最も純粋で神聖な部分にホーリー・スピリットが住まい、そこに神の祭壇がある。その祭壇が実相世界へのチャンネルになっていて、実相世界からのメッセージが届く。その純粋で神聖な心が思考し、思うことこそが意味があるのであり、実在する思考なのだ。最終的には、そこに到達したいのである。実相への回帰が最終目的である。



This is merely another way of repeating our earlier statement that your mind is really a blank. 
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す」
  • earlier [ə́ːrliər] : 「より前の」
  • statement [stéitmənt] : 「発言、意見、声明、陳述、供述」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • blank [blǽŋk] : 「空白、白紙、空欄」
❖ "This is merely ~ "「これは単に、以前、あなたの心は実際は空白であると述べたことの、また別の言い換えに過ぎない」。あなたの心の大半はエゴに支配され、エゴの思考は幻想である。つまり、あなたの心は空(くう)なる状態にある。心が空なら、空なる心が考えることもまた、空なのだ。



To recognize this is to recognize nothingness when you think you see it. As such, it is the prerequisite for vision.
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「認める、受け入れる、〜を認識する」
  • nothingness [nʌ́θiŋnis] : 「存在しないこと、無、非実在、無価値」
  • as such : 「そのようなものとして、それ自体は」
  • prerequisite [prirékwəzit] : 「必要条件、必須条件、前提必須条件」
  • vision [víʒən] : 「先見の明、洞察力、想像力、考え方」
❖ "To recognize this ~ "「これを認識することは、あなたが見ていると思っているものは空(くう)であると認識することなのだ」。あなたが見ているもの、あなたの心が感じていること、あなたの心が考えていること、それらは幻想世界に縛られた夢であって、すべて空(くう)である。空性を認識することからすべてが始まる。ただし、空(くう)がすべてで、空こそが実在だというのではない。あなたの知らない実相世界がちゃんと実在する。それを知ることが、あるいはそこに回帰することが、最終的な目的となる。



4. Close your eyes for these exercises, and introduce them by repeating the idea for today quite slowly to yourself. Then add:

        This idea will help to release me from all that I now believe.
  • close [klóuz] : 「閉じる、閉める」
  • introduce [ìntrədjúːs] : 「導入する、取り入れる」
  • repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す、〜を繰り返して言う」
  • quite [kwáit] : 「かなり、なかなか、とても、非常に」
  • slowly [slóuli] : 「ゆっくり、のろのろと」
  • add [ǽd] : 「加える、付け足す、言い足す、書き加える」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする」
❖ "Close your eyes ~ "「今日のエクササイズは、目を閉じて行いなさい」。"and introduce ~ "「今日のものの見方を極めてゆっくりとあなた自身に繰り返し述べて導入して行きなさい」。"Then add: ~ "「そして、次のように付け加えればいい」。"This idea will ~ "「このものの見方は、今私が信じているすべてのことから私を解放する手助けになるだろう」。空性を認識することこそ、幻想から解放される最初のステップであり、実相世界へ目覚めるための重要な鍵となる。焦らずゆっくりと宣言を繰り返し述べ、空性の認識へとあなた自身を導入して行きなさい。



The exercises consist, as before, in searching your mind for all the thoughts that are available to you, without selection or judgment. Try to avoid classification of any kind. 
  • consist [kənsíst] : 「存在する、ある、成る、成り立つ」
  • consist in : 「〜に存する、〜にある」
  • as before : 「以前の通り、従来通り、すでに述べたように、前述同様に」
  • searching [sə́ːrtʃiŋ] : 「捜査、検索、探索、検査」
  • available [əvéiləbl] : 「利用できる、入手できる、得られる」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで」
  • selection [silékʃən] : 「選ぶこと、選択」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる、敬遠する」
  • classification [klæ̀səfikéiʃən] : 「分類、区分、等級」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
❖ "The exercises consist ~ "「以前同様、今日のエクササイズも、あなたが手に入れることの出来るすべての思いを探して、選択や判断をすることなく、あなたの心の中を探査することにある」。"Try to avoid ~ "「いかなる種類の分類も避けること」。今のあなたの選択も判断も分類も、それ自体がエゴの思考システムに支配されており、幻想なのだ。小賢しい理性を排して、ただ淡々と、あなたの心の中の思いを探査していけばいい。



In fact, if you find it helpful to do so, you might imagine that you are watching an oddly assorted procession going by, which has little if any personal meaning to you. 
  • in fact : 「実際に、実のところ」
  • find [fáind] : 「見つける、気付く、理解する」
  • helpful [hélpfəl] : 「役立つ、助けになる、有益な」
  • imagine [imǽdʒin] : 「想像する、思う、心に描く、推測する」
  • watch [wάtʃ] : 「じっと見る、観察する」
  • oddly [άdli] : 「奇妙に、妙に、奇異に、変に」
  • assorted [əsɔ́ːrtid] : 「種類を取りそろえた、種々雑多の」
  • procession [prəséʃən] : 「行進、行列、継続、前進」
  • go by : 「過ぎる、経過する、通る」
  • personal [pə́ːrsənl] : 「私事の、私的な、個人の、個人に関する」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "In fact, if you ~ "意訳する、「実際、もしあなたが、選択も判断も分類も避けることが役に立つと知ったなら、」"you might imagine ~ "「あなたは、種々雑多な奇妙な思いが行列をなして通り過ぎていくのをただ眺めている自分をイメージ出来るだろう」。"which has little ~ "「それらは、あなたにとっては個人的な意味があるかも知れないが、本当は意味などほとんどないのだ」。これまた、ドキュメント映画を見るようなつもりで、あなたの心の中の思いや思考や感情を、淡々と眺めて行けばいい。あたかも、種々雑多な奇妙な思いの行列が目の前を通り過ぎていくように感じるだろう。


As each one crosses your mind, say:

        My thought about ______ does not mean anything.
        My thought about ______ does not mean anything.
  • cross [krɔ́s] : 「横断する、渡る、横切る」
❖ "As each one crosses ~ "「思いがあなたの心を横切るたびに、次のように言いなさい」。"My thought about ~ "「〜についての私の思いは意味がない」。"My thought about ~ "「〜についての私の思いは意味がない」。たとえば、仕事でヘマを仕出かした部下を無能なヤツだと思ったが、そんな私の思いは意味がない。私に無関心な夫を情のない男だと思ったが、そんな私の思いは意味がない。金こそが幸せをもたらすと思っている、その私の思いは意味がない。権力と支配が男のステータスだと信じている思いは、本当は意味がない。



5. Today's thought can obviously serve for any thought that distresses you at any time. 
  • obviously [άbviəsli] : 「明らかに、はっきりと、明白に、明瞭に」
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、果たす、〜に仕える」
  • distress [distrés] : 「〜を苦しめる、悩ます、疲れさせる」
  • at any time : 「いつでも、常に、いつなりと、いつ何時、どんな時にも」
❖ "Today's thought can ~ "「いつ何時(なんどき)、あなたを悩ますどんな思いに対してでも、今日のものの見方は明らかに有用である」。たとえば、最近子供が親に反抗して子育てに悩んでいるが、そんな思いも意味がない。仕事がうまく行かずストレスを感じているが、そんな思いも意味はない。彼女に振られて落胆しているが、そんな思いは意味はない。商売に失敗して負債を抱えて苦しいが、そんな苦しい思いも意味はない。家族の一人を失って悲嘆に暮れているが、そんな悲嘆も意味はない。



In addition, five practice periods are recommended, each involving no more than a minute or so of mind searching. 
  • in addition [ədíʃən] : 「さらに、その上、加えて」
  • recommend [rèkəménd] : 「〜を推薦する、〜を薦める、勧める」
  • minute [mínit] : 「分」
❖ "In addition, five ~ "「加えて、(一日)5回の練習回数が求められる」。"each involving no more ~ "「各回とも、1分かそこらの心の探査を含めばよい」。1分くらい心の中を見つめて、うごめく感情や思いを探し出す。そうしたら、その一つ一つに、意味はない、と宣言してやればいいのだ。



It is not recommended that this time period be extended, and it should be reduced to half a minute or less if you experience discomfort. 
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • reduce [ridjúːs] : 「薄める、少なくする、減らす、縮小する」
  • half [hάːf] : 「半分」
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
  • discomfort [diskʌ́mfərt] : 「不快感、不快症状、戸惑い、不安感」
❖ "It is not recommended ~ "「エクササイズの時間を延長することはお勧め出来ない」。"and it should be ~ "「もしあなたが不快感を経験したら、30秒かそれ以下にエクササイズの時間を短縮すべきである」。リラックスが肝心。緊張やストレスを感じるようなら、練習を切り上げること。また、過ぎたるは及ばざるがごとし、これも肝心。



Remember, however, to repeat the idea slowly before applying it specifically, and also to add:

         This idea will help to release me from all that I now believe.
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • specifically [spisífikəli] : 「特に、明確に、はっきりと、具体的に」
  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また」
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする」
❖ "Remember, however, ~ "「しかし、今日のものの見方を具体的に適用する前に、次の宣言もまた加え、ゆっくりと今日のものの見方を繰り返すことを忘れないように」。"This idea will help ~ "「このものの見方は、今私が信じているすべてのことから私を解放する手助けになるだろう」。幻想によってもたらされる苦や痛み、抑鬱感やストレスから解放する効果を期待しよう。やがてそれが、幻想そのものからの解放へ結びつくのだ。
 
 
 



W-pI.9.1:1 ~ W-pI.9.5:3

Lesson 9 

I see nothing as it is now.
  • as : 「〜のままに」
❖ "I see nothing ~ "「私は何も、今、そのあるがままに見てはいない」。今見ているものを見たままに知覚していない、という意味ではない。時間を超越した実相的なヴィジョンとして、今、目の前にあるものを把握していない、という意味である。実相的には、本当は目の前には何もない。しかし、過去の経験を基盤にして、時間を絡(から)めた幻想として、見たいものを投射によってそこに現実化し、自分の知覚を騙して見ているだけなのだ。たとえて言うなら、超リアルな3D映像をスクリーンに映し出し、あたかも、ものが今そこにあるかのように知覚しているが、本当は、そこには何もない。私は、実は何も真実を見てはいないのだ。真実の『空(くう)』を見てはいない。



1. This idea obviously follows from the two preceding ones. But while you may be able to accept it intellectually, it is unlikely that it will mean anything to you as yet. 
  • obviously [άbviəsli] : 「明らかに、はっきりと、当然、言うまでもなく」
  • follow [fάlou] : 「次に起きる、結果として起きる」
  • follow from : 「〜に続いて起こる、〜から得られ」
  • preceding [prisíːdiŋ] : 「〜に先行する、先立つ」
  • be able to : 「〜することができる、〜し得る、〜が可能である」
  • accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • intellectually [ìntəléktʃuəli] : 「知的に、頭では」
  • unlikely [ʌnláikli] : 「ありそうもない、疑わしい、起こりそうもない」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • as yet : 「今のところは」
❖ "This idea obviously ~ "「このものの見方は、前出の見方から結果されるものである」。前回は、自分は、対象の過去を見ているだけだ、というものであった。過去という幻想を見ているだけなので、実在するものを見ているわけではない。"But while you may ~ "「しかし、頭の中では受け入れることが出来たかもしれないと思っている間は、あなたにとって、今のところ、それは何かの意味があるとは見えないだろう」。理屈で、ああそうなのかと思ってみても、だからどうなのさ、ということになって、その事実のもつ重要な意味が理解出来ないだろう。



However, understanding is not necessary at this point. In fact, the recognition that you do not understand is a prerequisite for undoing your false ideas. 
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • understanding [ʌ̀ndərstǽndiŋ] : 「理解、把握」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • at this point : 「現在のところ、現段階では」
  • in fact: 「実際に、実のところ、それどころか」
  • recognition [rèkəɡníʃən] : 「認識、認証、真価を認めること」
  • prerequisite [prirékwəzit] : 「必要条件、必須条件、要件」
  • undoing [ʌndúiŋ] : 「ほどくこと、解くこと、取り消し」
  • false [fɔ́ːls] : 「正しくない、誤った、本物でない、偽の」
❖ "However, understanding ~ "「しかし、今の時点で、理解する必要はない」。"In fact, the recognition ~ "「事実、あなたが理解していないと認識することは、あなたの誤った考えを取り消しにするための必須条件でさえある」。真実を理解できない自分を認めること。それが、修正への第一歩だ。下手にわかったフリをするほど、理解を遅らせることはない。



These exercises are concerned with practice, not with understanding. 
  • concern [kənsə́ːrn] : 「〜に関係する、〜と関係がある」
  • be concerned with : 「〜に関係している、携わっている、〜に関心がある」
  • practice [prǽktis] : 「練習、訓練、演習」
❖ "These exercises are ~ "意訳する、「今日のエクササイズは、理解に集中するのではなく、その練習に重きを置くべきだ」。無理に理解しようとすることに集中すべきではなく、淡々と練習するだけでいい。理解などは、その後、自然に訪れるものだから。



You do not need to practice what you already understand. It would indeed be circular to aim at understanding, and assume that you have it already.
  • practice [prǽktis] : 「〜を実行する、順守する、実践する」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
  • circular [sə́ːrkjulər] : 「回りくどい、分かりにくい、循環の、循環する」
  • aim [éim] : 「意図する、するつもりである」
  • aim at : 「〜を狙う、〜に狙いを定める、〜を目指す」
  • assume [əsjúːm] : 「〜と仮定する、思い込む、見なす、〜を前提とする」
❖ "You do not need ~ "「あなたには、既に理解していることなど、練習する必要がないではないか」。理解出来ないから練習するのであって、練習を通して、やがて自然に理解が及んでいくのである。たとえば、理屈で理解が出来たらからと言って、はたして、泳ぎが出来るか? 泳ぎを練習して、そして初めて、泳ぎが理解出来るのだ。物事を理解するには、ちゃんと順番がある。"It would indeed ~ "意訳する、「理解することを目的とし、すでに理解をものにしている思い込んでいては、まったく埒(らち)が明かないではないか」。真実を知っていると思い込んでいて、しかも真実を知りたいと思うことは自己矛盾である。一歩も先に進めない。その場で堂々巡り(circular)するようなものだ。



2. It is difficult for the untrained mind to believe that what it seems to picture is not there. 
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「困難な、厳しい」
  • untrained [ʌntréind] : 「訓練されていない、練習を積んでいない、未熟な」
  • picture [píktʃər] : 「〜を描写する、〜を頭の中に描く、想像する」
❖ "It is difficult for ~ "「描かれたものが(本当は)そこにはないと信じることは、訓練されていない心には困難である」。心がその外部に投射して映し出した映像を、本当はそこに何もないのだと理解することは、投射した心にとっては非常に難しいことである。心は自分自身を騙そうとしているのだから、騙そうとしている心が騙されまいとすることは難しいのだ。エゴの狡猾さをつくづく感じてしまう。



This idea can be quite disturbing, and may meet with active resistance in any number of forms. 
  • quite [kwáit] : 「かなり、なかなか、とても、非常に」
  • disturbing [distə́ːrbiŋ] : 「心をかき乱すような、動揺させる」
  • meet with : 「〜と会う」
  • active [ǽktiv] : 「活発な、能動的な、大変な、激しい」
  • resistance [rizístəns] : 「抵抗、反対、妨害」
  • any number of : 「〜がいくらも、どっさり、いくつでも、いくらでも」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿、体つき」
❖ "This idea can be ~ "「今日のものの見方は、まったくイラつかせる可能性がある」。"and may meet ~ "「実際、いろんな形で、抵抗感を生むだろう」。本当はそこにないと言われても、実際目に見えているじゃないか、触ればちゃんと触覚が感じられるじゃないか、なのにどうして、これが存在していないと言えるんだ? そっちの方が自分を騙しているようなものじゃないか。こうして、苛立ちを覚えるのだ。
そんな時は、催眠術を思い出そう。催眠にかけられた人に、「あなたはおいしいモモを手に持っていて、それを食べると、とってもおいしいですよ」と言ってみよう。彼は、有りもしないモモをかじって、とってもおいしいと言う。さらに、催眠から解かれて言うには、自分は実際にモモを手にし、そのモモを実際に食べたし、とっても甘くておいしかったのだと言う。本当にモモはあったのだ、と証言するのである。知覚とは、そういうものである。それほど、感覚は不確かで、騙されやすいものなのだ。ところで、催眠でモモを食べよと言われた被験者は、モモの甘さや質感をどこで手に入れたのだろう? もちろん、過去の経験なのだ。時間依存した経験なしに、モモをその場に再現することは不可能だ。今のあなたは、まさにこれと同じような状況にある。エゴの巧妙な催眠術に、まんまとかけられているのである。そして、その状況を現実だ信じて疑わない。



Yet that does not preclude applying it. No more than that is required for these or any other exercises. 
  • preclude [priklúːd] : 「排除する、除外する、邪魔する」
  • apply [əplái] : 「適用する、応用する、利用する」
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める」
❖ 苛立ちがあったとしても、"Yet that does not ~ "「しかし、苛立ちが、(今日のものの見方の)適用を排除することはない」。苛立ちを除外しようとせず、苛立ちがあっても、とにかく練習してみることだ。"No more than ~ "「適用してみること以上のことを、このエクササイズも、また他のエクササイズも要求してはいない」。苛立ちや抵抗感を排除してから練習せよ、とは要求していない。理解してから練習せよ、とも要求していない。とにかくエクササイズを実行して、ものの見方を適用してみよ、と求められているだけである。まず、実行ありき。



Each small step will clear a little of the darkness away, and understanding will finally come to lighten every corner of the mind that has been cleared of the debris that darkens it.
  • small [smɔ́ːl] : 「小さい、小規模の、少ない、少数の」
  • step [stép] : 「一歩、歩み、段」
  • clear [klíər] : 「取り除く、除去する、一掃する、片付ける」
  • clear away : 「消し去る、取り払う、除去する、一掃する」
  • darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」
  • finally [fáinəli] : 「ついに、最後に、最終的に、とうとう」
  • lighten [láitn] : 「〜を明るくする、〜の色を薄くする」
  • corner [kɔ́ːrnər] : 「角、隅、端、へり」
  • debris [dəbríː] : 「がらくた、破片、残骸、岩屑、がれき類」
  • darken [dάːrkən] : 「〜を暗くする」
❖ "Each small step will ~ "「小さなステップを重ねることが、闇を少しずつ消し去ってくれるのだ」。継続は力なり。"and understanding will ~ "「そして、最終的に、理解が、心を暗くしていたガラクタが取り除かれた心の隅から隅まで照らしてくれるようになるだろう」。幻想によって闇の中に放置されていた心が、やがて、日々の練習によってその闇が徐々に払拭され、実相の光によって照らし出される日が来る。その日が来るまで、黙々とレッスンに勤(いそ)しむべし。



3. These exercises, for which three or four practice periods are sufficient, involve looking about you and applying the idea for the day to whatever you see, remembering the need for its indiscriminate application, and the essential rule of excluding nothing. 
  • practice period : 「練習期間、(ここでは練習回数)」
  • sufficient [səfíʃənt] : 「十分な、満足な、足りる」
  • involve [invάlv] : 「含む、取り込む」
  • look about : 「周りを見回す、見て回る」
  • whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • need [níːd] : 「必要、要求、必要なもの、必需品」
  • indiscriminate [ìndiskrímənət] : 「差別しない、無差別の」
  • application [æ̀pləkéiʃən] : 「適用、応用、活用、利用」
  • essential [isénʃəl] : 「絶対必要な、絶対不可欠な、欠くことのできない」
  • rule [rúːl] : 「規則、ルール、規定、法則、規範」
  • exclude [iksklúːd] : 「〜を排除する、締め出す、〜を除く、除外する」
❖ "These exercises, ~ "「今日のエクササイズは、日に3〜4回の回数で十分だが、あなたの周りを見渡してみることと、見たものなら何にでも今日の見方を適用させてみることを含んでいる」。いつも通りの手順で進めばいい。"remembering the need ~ "「区別や差別をせずに適用することが必要であることと、そして、何も除外しないというルールが必須であることを覚えておこう」。前出のエクササイズに求められていることと同様である。



For example:

        I do not see this typewriter as it is now. 
        I do not see this telephone as it is now. 
        I do not see this arm as it is now.
  • for example [iɡzǽmpl] : 「例えば、例として」
  • typewriter [táipràitər] : 「タイプライター」
❖ "For example: ~ "「たとえば、私はこのタイプライターを、今、あるがままには見てはいない」。"I do not see ~ "「私はこの電話機を、今、あるがままには見ていない」。"I do not see ~ "「私はこの腕を、今、あるがままには見ていない」。実相的には(本当は、現実的には)、今、それはそこに存在していないにもかかわらず、私は、過去の経験に基づいて、幻想としてそれを見ているに過ぎない、という意味を込めて宣言すればいい。



4. Begin with things that are nearest you, and then extend the range outward:

        I do not see that coat rack as it is now. 
        I do not see that door as it is now. 
        I do not see that face as it is now.
  • begin with : 「〜から始める」
  • nearest : 「最寄りの、最も近い」
  • extend [iksténd] : 「広げる、伸ばす、拡張する、拡大する」
  • range [réindʒ] : 「域、範囲、距離、限界」
  • outward [áutwərd] : 「外側へ、外へ」
  • coat rack : 「コート掛け」
❖ "Begin with things ~ "「身近なものから始め、その後、外側に範囲を広げなさい」。"I do not see ~ "「私はあのコート掛けを、今、あるがままに見てはいない」。"I do not see ~ "「私はあのドアを、今、あるがままには見てはいない」。"I do not see ~ "「私はあの顔を、今、あるがままには見てはいない」。




5. It is emphasized again that while complete inclusion should not be attempted, specific exclusion must be avoided. 
  • emphasize [émfəsàiz] : 「強調する、力説する」
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて、この場合もやはり」
  • while [hwáil] : 「その上、さらに、おまけに」
  • complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な、全部の」
  • inclusion [inklúːʒən] : 「含めること、包含、含有、包括」
  • attempt [ətémpt] : 「〜を試してみる、〜を企てる」
  • specific [spisífik] : 「具体的な、詳しい、曖昧でない」
  • exclusion [iksklúːʒən] : 「排除、除外、排他、排斥」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる」
❖ "It is emphasized ~ "「that以下をもう一度強調しておこう」。"that while complete ~ "「さらに、完璧にすべてを網羅しようと試みてはいけなし、特別なことを排除しようとすることは避けなくてはならない」ということをもう一度強調しておこう。これも、前回同様だ。幻想は、形こそ異れ、すべて幻想であることには変わりなく、その意味で、幻想には序列はないのだ。



Be sure you are honest with yourself in making this distinction. You may be tempted to obscure it.
  • sure [ʃúər] : 「確信して、確信している、固く信じている」
  • honest [άnist] : 「正直な、誠実な、素直な 」
  • be honest with oneself : 「自分自身に正直である」
  • distinction [distíŋkʃən] : 「差異、区別」
  • tempt [témpt] : 「〜する気にさせる、〜を誘惑する」
  • obscure [əbskjúər] : 「〜を曖昧にする、見えなくする」
❖ "Be sure you are ~ "「このような区別をしようとするときは、あなた自身に正直であることを確信しなさい」。区別しそうになったら、率直に、まだまだ修業が足らんな、と思えばいいのだ。へ理屈をこねずに、自分に正直であればいい。言われた通りに、淡々とエクササイズを実行すること。"You may be tempted ~ "「(さもなければ)、あなたは、対象を曖昧にしてしまいたい誘惑に駆られてしまうかもしれないから」。これは特別扱いしてしまおう、などと思えば、その対象の幻想性、空性を曖昧にしてしまうことになる。幻想を実在と信じ込ませようと策略するエゴの手中にはまってしまいかねない。
 
 
 


W-pI.8.1:1 ~ W-pI.8.6:3

Lesson 8


My mind is preoccupied with past thoughts.
  • preoccupied [priάkjupàid] : 「すでに占有されている、頭がいっぱいで」
  • past [pǽst] : 「過去の、これまでの」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考えること、思考、思索、考え、見解」
❖ "My mind is ~ "「私の心は、過去の思いで占領されている」、「私の心は、過去の思考でいっぱいだ」。過去の思考に基づかない思考はない。物自体も、過去の思考に基づいて、心が幻想し、再体験しているものであったが、思いもまた過去に縛られている。そもそも、思考は言葉をもって行うものであることを考えれば、過去の学習によって、つまり、過去の経験によって、思考は構築されるものであることがわかる。
時間依存しない思考も、さらに時間依存しない感情もない。たとえば、あなたがこの世界で感じる喜びは、決して永遠に持続しない。時間と共に、喜びは減衰していく。したがって、あなたがこの世で感じる喜びは、実相に近いとは言え、やはり幻想なのだ。あなたがこの世で抱く愛も時間と共に変化し、実相に近いとは言え、本当の愛ではない。もちろん、怒りや憎悪は時間と共に増したり減ったりするから、当然、幻想である。そもそも、実相世界には、怒りや憎悪といった概念は存在さえしないのだが。



1. This idea is, of course, the reason why you see only the past. No one really sees anything. He sees only his thoughts projected outward. 
  • of course: 「もちろん、確かに、言うまでもなく、当然」
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • past [pǽst] : 「過去、昔、過去のこと」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • project [prάdʒekt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
  • outward [áutwərd] : 「外側へ、外へ」
❖ "This idea is, of course ~ "「今日のものの見方は、もちろん、なぜあなたが過去だけを見ているかという理由を示している」。時間依存した過去の経験を基盤にして思考しているから、あなたは事象に対して、その過去を見ているだけなのだ。再現ビデオを見ているようなものだ。"No one really ~ "「誰も、本当は、何も見てはいない」。"He sees only ~ "「彼は、外部に投射した彼の思いを見ているに過ぎないのだ」。あなたは、過去の経験を基盤にして思考し、その思いを外部世界に投射し、あたかもそこに何かが存在しているかのように錯覚しているだけだ。空(くう)なる場に、色(しき)を幻想しているのだ。過去、現在、未来、という時間が畳み込まれたホログラフィックな無時間の内在世界にあって、幻想の時間を打ち立て、幻想の空間の中に、時間依存した思考と、思考によって生み出される物体を配置し、過去の現象を再体験しているに過ぎない。それが外在世界というわけである。



The mind's preoccupation with the past is the cause of the misconception about time from which your seeing suffers. 
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
  • misconception [miskənsépʃən] : 「誤認、誤解、勘違い、思い違い」
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、経験する、不快な経験をする」
❖ "The mind's preoccupation ~ "「過去に占領された心は、時間に関する誤った概念の原因になっており、それによって、あなたのものの見方が被害を受けている」。時間は実在し、すべての存在は時間の流れに束縛されているという思い込みが心にある。それが心の中心にあるものだから、ものの見方もまた、時間に縛られて幻想化してしまうのである。



Your mind cannot grasp the present, which is the only time there is. 
  • grasp [ɡrǽsp] : 「〜を握る、つかむ、把握する、理解する」
  • present [préznt] : 「今、現在」
❖ "Your mind cannot ~ "「あなたの心は、現在という瞬間を捉えることが出来ない」。"which is the only ~ "「しかし、この瞬間だけが存在しているのだ」。過去、現在、未来、という時間の捉え方が誤っているである。時間は存在せず、しかし、あえて時間の概念で表現するなら、今という瞬間しか存在していない。むしろ、今という瞬間は、永遠という言葉に置き換えるべきだろう。時間さえ空(くう)であり、時間の空性(くうせい)が、永遠ということになる。空なる時間が絡(から)まり付いた物の存在も、思考の存在も、感情の存在も、すべて空であり、幻想に過ぎないのだ。



It therefore cannot understand time, and cannot, in fact, understand anything.
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる、把握する」
  • in fact : 「実際に、実のところ」
❖ "It therefore cannot ~ "「したがって、あなたの心は、時間を理解出来ないし、事実、何も理解出来ない」。幻想の時間、幻想の過去がこびりついたあなたの心は、時間が空であり、存在などしていないと理解することが出来ない。時間の空性が理解出来ないのだから、時間依存したすべての事象の空性も理解出来ない。これが、心の『無明』である。そして、心の無明からすべての苦と痛みが生じて来るのである。苦と痛みの世界が地獄であり、何のことはない、この世界が地獄なのだ。そして、無明であるから、この世界は闇なのである。



2. The one wholly true thought one can hold about the past is that it is not here. To think about it at all is therefore to think about illusions. 
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の、実際通りの」
  • hold [hóuld] : 「〜を手に持つ、握る、心に抱く、保持する」
  • at all : 「仮にも、いやしくも、全く〜ない、全然〜ない」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
❖ "The one wholly ~ "「過去に対してあなたが持ち得るたった一つの完全に正しい思いは、過去などここにはない、ということである」。あなたに正しい知覚があるなら、過去は幻想だとわかるはずであり、わからなくてならない。そのためのエクササイズだ。"To think about ~ "「したがって、仮にも過去について考えてしまうということは、幻想を考えてしまうということなのだ」。時間は存在しない。過去も、もちろん、存在しない。単なるビデオを再生して見ている過ぎない。そのビデオさえ、実録ではなく、あなたの頭が妄想した映像に過ぎない。ならば、過去を考えることは、幻想を考えていることに過ぎないではないか。フィクションに過ぎないテレビドラマにのめり込んで、そのビデオを見ながら、これが私の現実だと思っている狂人、それが、今のあなたなのだ。



Very few have realized what is actually entailed in picturing the past or in anticipating the future. 
  • few [fjúː] : 「少数の人達」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • actually [ǽktʃuəli] : 「実際は、本当は、実は、実のところ」
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
  • picture [píktʃər] : 「〜を描写する、心の中に描く、想像する」
  • anticipate [æntísəpèit] : 「〜を予測する、〜を見込む、〜を期待して待つ」
  • future [fjúːtʃər] : 「未来、将来、今後、先行き、将来像」
❖ "Very few have realized ~ "「過去を映像化したり、未来を思い描いたりすることで、現実に、何が引き起こされるか、ほとんどの人は認識していない」。時間に捕われた心が、結果として、何を引き起こすか、わかっている者はほとんどいない。もちろん、時間に捕われた心は幻想を生み出すのだ。生み出された幻想は、ことごとく時間依存する。幻想という言葉を使っているが、幻覚でも構わないし、錯覚と思ってもいい。妄想と考えてもいい。いずれにしても、空(くう)に色(しき)を描き出す、狂った心の仕業である。まあ、すごい才能だと言えば言えなくもないが、それが狂信なのだ。狂おうしく信じていることすら自覚出来ないのだから、恐ろしくもある。



The mind is actually blank when it does this, because it is not really thinking about anything.
  • blank [blǽŋk] : 「空虚な、空白の、白紙の」
❖ "The mind is actually ~ "「心が過去や未来を描いているときは、実際には、心は空白なのだ」。"because it is ~ "「なぜなら、心は、実際には、何も考えていないからだ」。過去や未来、つまり、時間依存した内容を思っているときは、心は夢を見ているだけであって、本当は何も考えていない。夜見る夢の中で、あなたはいろいろ思いを巡らし、考えていると感じるだろうが、夢から覚めれば、実は何も考えていないと気付くはずだ。それと同じである。あなたは、今、いろいろ考え、思い、見て、感じて、これが現実だと信じているだろうが、実は、あなたは夢の中にいる。実相的な心は何も考えていない。眠っているのだ。実相的な心は深い眠りに陥り、空白のなかで、様々な幻想の花を咲かせているに過ぎない。そのリアルなこと、どうしてこれが夢なの?、とあなたは言うに違いない。それほどに、エゴ(ego)の催眠術はすごい。あなたは、被催眠者として、完全にエゴの手中にある。そこから脱する方策が、このレッスンであり、このエクササイズなのだ。



3. The purpose of the exercises for today is to begin to train your mind to recognize when it is not really thinking at all. 
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • begin [biɡín] : 「〜を始める、〜に取り掛かる、着手する」
  • train [tréin] : 「教え込む、教育する、訓練する」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「認める、受け入れる、認識する」
❖ "The purpose of ~ "「今日のエクササイズの目的は、どんな時に心は実際には何もまったく考えていないのか、それを認識するための心の訓練を始めることである」。"mind"「心」、この単語が、実はくせ者である。ものを思い、考える心は、この二元論世界では、文字通り二つに分裂してる。『Text』によれば、心の大半はエゴに支配され、具体的には、肉体的な頭脳による理性的な判断、思考を遂行している。これが、時間と空間を認識し(幻覚し)、物体の実在性を基盤にして、思い、感じ、考えているのだ。ところが一方、心の最も純粋で神聖な部分にホーリー・スピリット(holy spirit)が住まい、その心の一部分が、実相的な真実を直覚的に把握する役割を果たしている。この本当の心の存在に気付いていないために、エゴの支配する心の思考が、思考のすべてだと錯覚してしまうのである。
仏教の禅では、この小賢しいエゴの心を滅することを第一と考えている。無我とは、無エゴのことであり、心の否定ではない。エゴを滅して、本当の心の働き、ホーリー・スピリットの思考システムを復活させる方法論が禅である。



While thoughtless ideas preoccupy your mind, the truth is blocked. 
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • thoughtless [θɔ́ːtlis] : 「軽率な、不注意な、思慮のない」
  • preoccupy [priάkjupài] : 「〜を夢中にする、〜の心を奪う」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • block [blάk] : 「遮る、妨害する、阻む、妨げる」
❖ "While thoughtless ideas ~ "意訳する、「本当は何も考えていない思いが、あなたの心を占領している間は、真実はブロックされている」。"thoughtless"は「無思慮な」という意味だが、ここでは文字通り「考えていない」と解釈した。したがって、"thoughtless ideas"は「思考していない思い」、「思考停止状態の思考」というよな、矛盾語的な意味合いになる。幻想のエゴだけが思考していて、実相の心の部分が思考停止しているという状態である。したがって、実相の心が眠っているから、真実がブロックされて、真実が見えてこないのだ。



Recognizing that your mind has been merely blank, rather than believing that it is filled with real ideas, is the first step to opening the way to vision.
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • rather [rǽðər] than : 「〜よりはむしろ、かえって」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • be filled with : 「〜でいっぱいである、〜で満たされている」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • vision [víʒən] : 「洞察力、想像力、見通し、展望、視覚、視力」
❖ "Recognizing that ~ "「あなたの心が実在の思いで満たされていると信じるよりはむしろ、ただ単に空白であると認識することが、ヴィジョンへの道を開く最初のステップになる」。"real ideas"「実在する思い」と訳したが、現実的に思考している思い、ということ。あなたの心はエゴの思考システムに支配され、一見、思考しているかに見えるが、エゴの思考システム自体が幻想なので、実相的には何も思考していないのだ。つまり、今のあなたの心は空白であり、眠っている。ホーリー・スピリットの思考システムは稼働していない。また、"vision"「ヴィジョン」とは、肉体的な知覚を超越した視覚、視野のことで、実相的な叡智(knowledge)による直覚的、全的な把握のとこである。真実を有りのままに捉えることが出来る叡智が描いて見せる風景だ。



4. The exercises for today should be done with eyes closed. 
  • done [dʌ́n] : 「doの過去分詞」
  • closed [klóuzd] : 「閉ざされた、閉じた」
❖ "The exercises ~ "「今日のエクササイズは、目を閉じて行うべきだ」。理由は以下。



This is because you actually cannot see anything, and it is easier to recognize that no matter how vividly you may picture a thought, you are not seeing anything. 
  • actually [ǽktʃuəli] : 「実際は、本当は、実のところ」
  • easy [íːzi] : 「たやすい、容易な、困難がない」
  • no matter how : 「どんなに〜であろうとも」
  • vividly [vívidli] : 「生き生きと、鮮やかに、活発に」
  • picture [píktʃər] : 「〜を描写する、絵に描く、心の中に描く、想像する」
❖ "This is because ~ "「これは、実際的にあなたは何も見ることが出来ないからであり、」"and it is easier ~ "「あなたがどんなに生き生きと思いを描いてみたところで、本当は何も見ていないのだと認識することを容易にしてくれるからだ」。次のように考えてみてはどうだろうか。あなたは、未来のコンピューター映像を見ている。それは、ホログラフィック映像であって、目の前に3次元映像が現実のように立ち上がり、しかも、あなたの感覚器官や運動器官と接続されており、あたかも、あなた自身がその3次元映像に参加し、自在に操れるというわけだ。しかし、どんなに生き生きとしてリアルに見えようが、それは作り上げられた映像に過ぎない。現実ではなく、本当は、そこに何もないのだ。



With as little investment as possible, search your mind for the usual minute or so, merely noting the thoughts you find there. 
  • investment [invéstmənt] : 「投資、出資」
  • possible [pάsəbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
  • search [sə́ːrtʃ] : 「探す、捜索する、探査する」
  • usual [júːʒuəl] : 「通常の、通例の、普通の、いつもの」
  • minute [mínit] : 「分」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • note [nóut] : 「〜に気付く、〜に気が付く、〜に注意する」
  • find [fáind] : 「見つける、探し出す、発見する」
❖ "With as little ~ "「出来るだけ、思い入れを避け、」熱中し過ぎることなく、のめり込むことなく、"search your mind ~ "「いつも通りに、数分間、あなたの心の中を探査すること」。"merely noting ~ "「単に、あなたが心の中に見出した思いの名前を挙げていけばいい」。判断、評価するのではなく、気付いた思いを列挙していくのだ。



Name each one by the central figure or theme it contains, and pass on to the next. 
  • name [néim] : 「〜に名をつける、〜に名前をつける、〜の名前を挙げる」
  • central [séntrəl] : 「中心の、主要な、中心となる、重要な」
  • theme [θíːm] : 「話題、論題、テーマ、主題」
  • pass on to : 「〜に移る、〜に繋ぐ」
  • next [nékst] : 「次のもの」
❖ "Name each one ~ "「その思いが含む中心人物や出来事の一つ一つの名前を挙げていき、次に移ること」。たとえば、彼女が好きだ、あいつは嫌いだ、ご飯がうまい、彼に嘘をつかれて悔しい、私って奇麗ね、等々、思いが湧き出すままに、文章化していけばいい。



Introduce the practice period by saying:

        I seem to be thinking about ______.
  • introduce [ìntrədjúːs] : 「導入する、紹介する、取り入れる」
  • practice [prǽktis] : 「練習、訓練、演習」
  • period [píəriəd] : 「期間、時期」
  • seem [síːm] : 「〜のように見える、〜するように思われる」
❖ "Introduce the practice ~ "意訳する、「練習に入る前に、次のように言って導入したらいいだろう」。"I seem to be ~ "「どうやら私は、〜について考えているらしい」。まずは、あなたの思いの大枠(おおわく)を捉えてみればいい。たとえば、どうやら私は、昨日の彼との喧嘩を考えているようだ。



5. Then name each of your thoughts specifically, for example:

        I seem to be thinking about [name of a person], about 
        [name of an object], about [name of an emotion],

and so on, concluding at the end of the mind-searching period with:

        But my mind is preoccupied with past thoughts.
  • then [ðén] : 「その次に、それから、次に、その」
  • specifically [spisífikəli] : 「特に、明確に、はっきりと、具体的に」
  • for example [iɡzǽmpl] : 「例えば、例として」
  • person [pə́ːrsn] : 「人、人間、人物」
  • object [άbdʒikt] : 「物、物体」
  • emotion [imóuʃən] : 「感情、感性」
  • and so on : 「〜など」
  • conclude [kənklúːd] : 「〜と結論を出す、〜を完結する、終える」
  • at the end of : 「〜の終わりに」
  • period [píəriəd] : 「終わり、終止符、完結文」
❖ "Then name each ~ "「その後で、具体的に、あなたの思いの名前を一つ一つ挙げていきなさい」。"for example: ~ "「たとえば、どうやら私は、(人の名前)について、(対象の名前)について、(感情の名前)について、考えているようだ、という具合である」。"concluding at the end ~ "「そして、心の探査が終わったなら、次のように宣言して終える」。"But my mind ~ "「しかし、私の心は、過去の思いに占領されているだけだ」。たとえば、どうやら私は、昨日の彼との喧嘩を考えているようだ。彼が嘘をついたことで怒りを覚えているようだ。だから、コップを投げて憂さをはらしたようだ。しかし、そのすべては過去の出来事であり、時間がからんだものなので、幻想に過ぎない。私の心は過去に占領されていたんだ。真実を見るヴィジョンはまだ眠っていて、だから、私の心は空っぽだ。



6. This can be done four or five times during the day, unless you find it irritates you. If you find it trying, three or four times is sufficient. 
  • done [dʌ́n] : 「doの過去分詞」
  • during [djúəriŋ] : 「〜の間ずっと、〜の期間に、〜の間に」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • irritate [írətèit] : 「苛立たせる、じらす、怒らせる、刺激する」
  • trying [tráiiŋ] : 「苦しい、つらい、耐え難い、疲れる」
  • sufficient [səfíʃənt] : 「十分な、満足な、足りる」
❖ "This can be done four ~ "「エクササイズがあなたを苛立(いらだ)たせない限り、日に4〜5回、エクササイズを行うことが可能だろう」。"If you find it ~ "「もし、辛(つら)いと感じたら、3〜4回で十分だ」。過去にはいい思い出もあるわけで、それも幻想だと宣言することに苛立ちを覚えるかも知れない。そんなときは、こだわる必要なく、さっさと次に移るか、回数を減らしてしまえばいい。あくまでも、リラックスが肝心だ。



You might find it helpful, however, to include your irritation, or any emotion that the idea for today may induce, in the mind searching itself.
  • helpful [hélpfəl] : 「役立つ、助けになる、有益な、参考になる」
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • include [inklúːd] : 「含める、含有する、包含する」
  • irritation [ìrətéiʃən] : 「焦燥、苛立ち、立腹」
  • induce [indjúːs] : 「誘導する、誘発する」
❖ "You might find it ~ "「しかしながら、あなたの苛立ちや、あるいは〜をも、(このエクササイズに)含めてしまうことは、有益だとわかるようになるだろう」。"or any emotion that ~ "「心を探査する中で、今日のももの見方が引き起こすいかなる感情をも、」(このエクササイズに)含めてしまうことは、有益だとわかるようになるだろう。たとえば、どうや私は、心の中を探査することに抵抗感を覚えているらしい。だから、苛立ちを覚えてしまうらしい。過去の出来事に八つ当たりしているからか。でも、過去は幻想であって、いつまでも忌むべきものではないらしい。こだわりは、心が過去に占領されることなんだから。過去に占領された心は、空っぽなんだ。と、こんな風に思ったらどうだろうか。
 
 
 


W-pI.7.1:1 ~ W-pI.7.5:3

Lesson 7 



I see only the past.
  • past [pǽst] : 「過去、昔、過ぎたこと、過去のこと」
❖ "I see only ~ "「私は、過去を見ているだけに過ぎない」。人間の知覚は、過去の経験に深く依存している。物体を、その色、形、重さ、感触、等々で把握しているのだが、加えて、過去の経験記憶が、物の存在を安定化させている。過去の経験記憶なくしては、知覚は安定化しないのだ。ところで、物は知覚の錯覚が生み出した幻に過ぎない。その色、形、重さ、感触、等々も幻想である。『色即是空、空即是色、受想行識亦復如是』である。ならば、過去の経験記憶自体も幻想なのだ。突き詰めると、時間自体が幻想である。実相は無時間である。過去も現在も未来もない。今という瞬間があるのみ。その瞬間が、いわば、永遠に持続するのだ。実相世界は無時間無空間の世界であるが、厳密には、時間や空間がホログラフィック的に畳み込まれている。組み込まれ、織り込まれているのだ。神の子が実相世界で夢を見るとき、その畳み込まれた時空が亡霊のように息を吹き返し、時間と空間が幻想として立ち上がる。神の子は、立ち上がった時空間に様々な物体を幻想して配置し、夢のドラマを繰り広げるのである。苦と痛みのドラマが始まるのだ。



1. This idea is particularly difficult to believe at first. Yet it is the rationale for all of the preceding ones.
  • particularly [pərtíkjulərli] : 「特別に、かなりの程度、非常に」
  • difficult [dífikʌ̀lt] : 「困難な、厳しい」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • at first : 「最初は、初めは、当初は」
  • rationale [ræ̀ʃənǽl] : 「論理的根拠、論拠、理論的解釈」
  • preceding [prisíːdiŋ] : 「〜に先行する、先立つ」
❖ "This idea is ~ "「このものの見方は、初めのうちは、特に信じがたいものである」。"Yet it is the rationale ~ "「しかし、このものの見方は、前出のものの見方すべてにとっての理論的根拠になっている」。過去の経験記憶、時間の存在の錯覚が、今までのものの見方の根拠となっている。つまり、時間と空間という幻想の座標軸を設けた上で、その座標系に、幻想の物体、事物、感覚、思い込み、思考、等々を配置し、展開させているに過ぎないのだ。




         It is the reason why nothing that you see means anything.
        It is the reason why you have given everything you see all the 
        meaning that it has for you.
        It is the reason why you do not understand anything you see.
        It is the reason why your thoughts do not mean anything, 
        and why they are like the things you see.
        It is the reason why you are never upset for the reason you think.
        It is the reason why you are upset because you see something 
        that is not there.
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、重要性を持つ、大事である」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • upset [ʌpsét] : 「動揺して、気が動転して、取り乱して、狼狽して」
❖ "It is the reason ~ "「それが(過去しか見てないことが)、あなたが目にする物すべてが意味を持たない理由である」。幻想の時間軸を遡って、過去の経験を頼りに物を見ているに過ぎないから、そんなものは意味を持たないのだ。以下、同様に、"It is the reason ~ "「それが(過去しか見てないことが)、あなたが目にするすべてに、あなたのためだけの意味をあなたが与えた理由である」。あなたは、そうあって欲しいと思った物に、あなただけに意味のある価値を与え、それを幻想した。時間の中で消滅してしまわないように、過去の経験に意味を与えたのだ。しかし、あなたが勝手に意味を与えても、所詮、幻想は幻想であって意味などない。"It is the reason ~ "「それが(過去しか見てないことが)、あなた目にするものを理解出来ない理由である」。過去という幻想に取り憑かれているから、真実が見えてこないのだ。時間軸を消したら、幻想のすべては消滅する。そんな幻想を理解など出来るはずはない。"It is the reason ~ "「それが(過去しか見てないことが)、あなたの思いが何の意味もない理由であり、あなたが目にするものと似たり寄ったりである理由だ」。あなたの思いすら、時空の枠の制限を受けている。過去の思いを今に引きずっている、その思いに意味があるか? 有りもしない幻想の過去の経験を、大切な思いとして引きずり回しているだけだ。だから、あなたの過去の思いは、あたかも古びた茶わんのように、あるいは、古びた記念品のように、様々な時代を思わせる物品と似てくるのだ。"It is the reason ~ "「それが(過去しか見てないことが)、あなたが思う理由のせいで、あなたは決して動揺などしないという理由である」。あなたが思う理由は過去事象である。過去に意味がないように、過去の理由にも意味はない。意味ないことで動揺することなどないのだ。"It is the reason ~ "「それが(過去しか見てないことが)、そこに存在していない何かを見たがために動揺している理由である」。存在さえしない幻想の過去によって、あなたは動揺しているに過ぎないのだ。要するに、あなたはあなたの登場するビデオを再生して見ているだけであって、その再生された画面には時間と空間が存在しているように見えるが、所詮、単なる映像であって幻想に過ぎない。ビデオの中の物体も、登場人物の思いも、過去の思い出も、感動も動揺も、すべてビデオの中の出来事であって幻想に過ぎない。



2. Old ideas about time are very difficult to change, because everything you believe is rooted in time, and depends on your not learning these new ideas about it. 
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • root [rúːt] : 「〜を植え付ける、根付かせる」
  • depend on : 「〜によって決まる、〜次第である、〜に頼る」
❖ "Old ideas about ~ "「時間についての古い考え方を変えるのは、非常に難しい」。"because everything ~ "「なぜなら、あなたが(存在していると)信じるあらゆるものは、時間に根ざしているからであり、」"and depends on ~ "「あなたが、時間についての新しい考え方を学ぼうとしないことにも原因がある」。ニュートン力学の時代では、時間は普遍的に、また不変的に、経過していくものと考えられていた。ご存知のように、この考えを覆(くつがえ)したのが、アインシュタインの相対性原理である。時間は速度依存し、観測者に対して速度をもつ物体の時間は遅れる。ところが、相対論と同時代の量子論は、極微の世界(素粒子の世界)の奇妙な振る舞いに気付いた。観測それ自体の奇妙な役割であり、存在それ自体の奇妙な振る舞いである。量子論の最先端を走っていたアメリカの物理学者デビッド・ボーム(David Bohm)は、この世界(宇宙)が、明在系(explicate order)と暗在系(implicate order)の二つに分けられ、明在系を構成するあらゆる情報が暗在系に記録されていて、暗在系の上に明在系が立ち上がっているというモデルを提唱した。いわば、あらゆる情報がホログラフィック的に記録され、その記録された情報が逆変換されることで、この世界が生み出されていると言うのだ。したがって、ホログラフィック・ユニバースには、空間も時間も畳み込まれて、表面上は存在しない。無時間無空間の暗在系から、時間と空間が存在する明在系が生み出されるのである。もちろん、これはデビッド・ボームの仮説に過ぎず、物理学会から認められた理論ではない。しかし、この論が誤りであったとしても、今までの時空間論では、物理的な説明が行き詰まってしまうことは確かであって、新しい空間と新しい時間の考え方が求められていることだけは確かだ。



Yet that is precisely why you need new ideas about time. This first time idea is not really so strange as it may sound at first.
  • precisely [prisáisli] : 「正確に、精密に、まさに、はっきり」
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに」
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • sound [sáund] : 「〜に聞こえる、〜に思われる」
  • at first : 「最初は、初めは」
❖ "Yet that is precisely ~ "「しかしそれこそ、まさに、あなたが時間についての新しい考え方を必要としている理由である」。つまり、古い時間概念に縛られていたあなたが、新しい時間についての考え方を学ぶことで、知覚の不確定性や知覚の幻想性を知る必要があるのだ。"This first time ~ "「この初めて学ぶ(時間についての)考え方は、実際、当初感じていたほどには奇妙でなくなる」。地球が平面ではなく球体であると学んだ昔人、あるいは、地球が太陽の周りを回っていると学んだ昔人が、学んだ当初は、新しい考えを奇妙に思っただろうが、今では何の不思議もない考え方である。同様に、無時間の実相世界から、時間依存のこの世界が幻想されているという新しい考え方も、時間が経てば、その奇妙さを失うだろう。まずはとりあえず、時間と感覚の密接な結びつきを学べばいいのだ。



3. Look at a cup, for example. Do you see a cup, or are you merely reviewing your past experiences of picking up a cup, being thirsty, drinking from a cup, feeling the rim of a cup against your lips, having breakfast and so on? 
  • look at : 「〜に目を向ける、〜を見る」
  • for example [iɡzǽmpl] : 「例えば、例として」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • review [rivjúː] : 「もう一度見る、見直す、洗い直す、振り返る」
  • past [pǽst] : 「過去の、これまでの」
  • experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験、見聞」
  • pick up : 「持ち上げる、拾い上げる、手に取る」
  • thirsty [θə́ːrsti] : 「喉が渇いた、飲み物を欲しがる」
  • rim [rím] : 「縁、枠、へり、周縁」
  • against [əɡéinst] : 「接して、押しつけて、あてがって」
  • lip [líp] : 「唇」
  • breakfast [brékfəst] : 「朝食」
❖ "Look at ~ "「たとえば、カップを見てみなさい」。"Do you see ~ "「あなたは、カップを見ているのか」。"or are you merely ~ "「あるいは単に、咽が渇いていて、カップを持ち上げ、カップから水を飲み、あなたの唇がカップの縁に当たる感触を覚え、朝食を摂ろうとしている、とか何とかの経験を、あなたは再現して見ているだけなのか」。時間的な過去の経験が、事物の存在を確信させている。物を見ているのではなく、物を見た経験を再現しているのだ。実相的には、そこにカップは存在しない。空(くう)なのだ。だから、あなたの知覚が正しいのなら、あなたはカップを見ないはずだ。しかし、過去の経験に基づいて、そこにカップを再現し、幻想のカップを再体験しているのである。これが、『色即是空、空即是色』である。



Are not your aesthetic reactions to the cup, too, based on past experiences? 
  • aesthetic [esθétik] : 「美の、感覚の、感覚的な、感性による」
  • reaction [riǽkʃən] : 「反応、応答、態度」
  • based on : 「〜に基づいている」
❖ "Are not your aesthetic ~ "「カップに対するあなたの感覚的な反応もまた、過去の経験に基づいていないだろうか」。空(くう)なる場所に、あなたは過去の経験に基づいてカップを再現し、それを見ているのだが、見て感じる、その感じさえも、過去の経験に基づいて幻想しているのではないだろうか。瀬戸物は光沢があり、滑らかで、ひんやりし、ちょっと重く、唇を当てるとホッとする、等々、これらも、あなたが経験に基づいて再現した結果なのだ。



How else would you know whether or not this kind of cup will break if you drop it? 
  • whether [hwéðər] or not : 「〜かどうか、いずれにせよ」
  • break [bréik] : 「壊れる、割れる、折れる、砕ける」
  • drop [drɔ́p] : 「落とす」
❖ "How else would ~ "「そうでなかったら、どうして、この種のカップが落としたら壊れるかどうか、あなたは知っているのだろうか」。あなたは、瀬戸物のカップは床に落とせば壊れると、経験上知っている。そのようにすり込まれているから、カップを落とせば壊れるという現象が再現されるのだ。スプーンは固いと思っているから、曲がらない。



What do you know about this cup except what you learned in the past? 
  • except [iksépt] : 「ただし、〜ということを除いて」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、〜を覚える」
❖ "What do you know ~ "「過去にあなたが学んだものでなかったら、あなたは、このカップについて何を知っているだろうか」。何も知らないのだ。そして、あなたの感覚や思考が、実相的に正しい状態にあるなら、そこにカップは存在しないと認識するのである。経験による思い込みがなかったら、あなたが幻想を再現させることは不可能なのだから。



You would have no idea what this cup is, except for your past learning. Do you, then, really see it?
  • except for : 「〜を除けば、〜を別にすれば」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
❖ "You would have ~ "「あなたの過去の経験がなければ、このカップが何であるか、あなたは何も思いつかないだろう」。"Do you, then ~ "「そこで、(もう一度)、あなたは本当にカップを見ているのか」。カップを見ているのではなく、過去の経験に基づいてカップを再構成し、空(くう)なる場所にそれを幻想してるだけだ。あなたはカップを見てはいない。幻想を見ているだけだ。なぜなら、カップは、実相的に存在し得ないからだ。



4. Look about you. This is equally true of whatever you look at. Acknowledge this by applying the idea for today indiscriminately to whatever catches your eye. 
  • look about : 「周りを見回す、見て回る、目を配る」
  • equally [íːkwəli] : 「同じように、同様に」
  • be true of : 「〜についてもいえる、〜に当てはまる」
  • whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも」
  • acknowledge [æknάlidʒ] : 「認める、承認する、認識する、受け入れる」
  • apply [əplái] : 「適用する、応用する、利用する」
  • indiscriminately [ìndiskrímənət] : 「見境なく、無差別に」
  • catch one's eye : 「〜の目がくぎ付けになる」
❖ "Look about ~ "「あなたに目を移そう」。"This is equally ~ "「このことは、あなたが目にするものならば何にでも、等しく言えることだ」。コップに限りらず、あなたが目にするものなら何でも、過去における経験が基盤となって、あなたの知覚を生み出している。"Acknowledge this by ~ "「あなたの目を捉えたものなら何にでも、今日のものの見方を差別なく適用することによって、この事実を受け入れるようにしなさい」。たとえば、ランプが目に止まったら、あなたは、ランプが灯るという経験を基盤にして、ランプを幻想し、そこにランプを生み出して見ているに過ぎない、と思うのである。過去の現象に基づいてランプという経験を再構成しているのだ。




For example:

        I see only the past in this pencil. 
        I see only the past in this shoe. 
        I see only the past in this hand. 
        I see only the past in that body. 
        I see only the past in that face.
  • pencil [pénsəl] : 「鉛筆」
  • shoe [ʃúː] : 「靴」
❖ "For example: ~ "「たとえば、」"I see only ~ "「このペンシルに、私は過去を見ているだけだ」。"I see only ~ "「この手に、私は過去を見ているだけだ」。"I see only ~ "「あの肉体に、私は過去を見ているだけだ」。"I see only ~ "「あの顔に、私は過去を見ているだけだ」。過去を再現しているだけであって、実相的には、そこには何もない。まったくの空(くう)である。空(くう)に色(しき)を幻想しているだけだ。『空即是色』である。



5. Do not linger over any one thing in particular, but remember to omit nothing specifically. 
  • linger [líŋɡər] : 「長居する、居残る、ぐずぐずする」
  • linger over : 「ダラダラ長引く、〜に残る」
  • in particular : 「特に、とりわけ、格別に、詳細に、特別に」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
  • omit [oumít] : 「除く、除外する、入れない、含めない」
  • specifically [spisífikəli] : 「特に、明確に、はっきりと、具体的に」
❖ "Do not linger ~ "「一つのものだけに、特別にこだわって見続けてはいけない」。"but remember ~ "「そうではなく、特定のものを排除しないように気を付けなさい」。区別差別して、特定のものを排除したり、それ一つにこだわったりしないこと。淡々と、目を移動させていけば良い。



Glance briefly at each subject, and then move on to the next. Three or four practice periods, each to last a minute or so, will be enough.
  • glance [ɡlάːns] : 「ちらりと見る」
  • glance at : 「〜をチラッと見る」
  • briefly [bríːfli] : 「簡潔に、ちょっとの間、つまり、短く、簡単に」
  • subject [sʌ́bdʒikt] : 「題材、被写体、対象者、主題、題目」
  • move on to : 「〜に進む」
  • practice [prǽktis] : 「練習、訓練、演習 」
  • period [píəriəd] : 「期間、時期、時間」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」
  • enough [inʌ́f] : 「十分な、足りる」
❖ "Glance briefly ~ "「一つ一つの対象を、手短に見ては、次に移るようにしなさい」。"Three or four practice ~ "「一日に3〜4回、それぞれ1分かそこらの練習で十分である」。これもまた、過ぎたるは及ばざるが如し。熱中し過ぎないこと。さりげなく、淡々とレッスンすればいい。
 
 
 


W-pI.6.1:1 ~ W-pI.6.3:6

Lesson 6


I am upset because I see something that is not there.
  • upset [ʌpsét] : 「動揺して、気が動転して、取り乱して、狼狽して」
❖ "I am upset ~ "「そこにありもしないものを見たがために、私は動揺している」。「動揺しているに過ぎない」といったニュアンス。つまり、本当は存在しない幻想を見て、私は動揺しているに過ぎないのであって、動揺する必要なんてないんだ、という意味合い。



1. The exercises with this idea are very similar to the preceding ones. 
  • similar [símələr] : 「似ている、よく似た、同じような」
❖ "The exercises with ~ "「このものの見方のエクササイズは、前出のエクササイズととてもよく似ている」。前回は、"I am never upset for the reason I think"「私が思っている理由で、決して動揺したりしない」であった。心が抱く思いもまた幻想に過ぎないのだから、幻想に動揺することはない、ということ。つまり、前回も今回も、自分は幻想に振り回されて動揺しているだけであって、いわば、夢にうなされているだけなのだ、という宣言(affirmation : アファメーション)であ


Again, it is necessary to name both the form of upset (anger, fear, worry, depression and so on) and the perceived source very specifically for any application of the idea. 
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • name [néim] : 「〜に名をつける、〜の名前を挙げる」
  • both A and B : 「AもBも、ABいずれも」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ」
  • anger [ǽŋɡər] : 「怒り、憤り」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • worry [wə́ːri] : 「不安、心配、気掛かり、気苦労、懸念、憂慮」
  • depression [dipréʃən] : 「落ち込み、意気消沈、絶望、鬱」
  • and so on : 「〜など」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
  • specifically [spisífikəli] : 「特に、明確に、はっきりと、具体的に」
  • application [æ̀pləkéiʃən] : 「適用、応用、活用、利用、充当」
❖ "Again, it is ~ "「今回も、ものの見方を適用するに当たって、動揺の、(あるいは、怒り、恐れ、不安、落ち込み、等々)の形と、知覚されるその源の両方を、具体的に名指しすることが必須となる」。前回同様、動揺の原因と結果を具体的に特定して、両者を言葉に表す必要がある。



For example:

        I am angry at ______ because I see something that is 
        not there.
        I am worried about ______ because I see something 
        that is not there.
  • for example : 「例えば、例として」
  • be worried [wə́ːrid] about : 「〜が心配だ、〜に胸を痛めている、〜で悩んでいる」
❖ "For example: ~ "「たとえば、そこにありもしないものを見たがために、私は〜に対して怒りを感じている」。"I am worried ~ "「そこにありもしないものを見たがために、私は〜を心配している」。ここも、本当は原因は幻想なのだから、怒りを覚えることも心配することも必要ない、というニュアンスである。



2. Today's idea is useful for application to anything that seems to upset you, and can profitably be used throughout the day for that purpose. 
  • useful [júːsfəl] : 「役立つ、便利な、有益な、価値ある」
  • upset [ʌpsét] : 「動揺させる、苦しめる、困らせる」
  • profitably [prάfitəbli] : 「利益に、ためになる」
  • throughout [θruːáut] : 「〜の至るところに、〜の間中」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
❖ "Today's idea is ~ "「今日のものの見方は、あなたを動揺させていると思われるものなら何にでも適用出来て有用であり、」"and can profitably ~ "「その目的のために、一日を通じて有効に利用出来る」。回りくどい言い回しをしているが、要するに、毎日の生活の中で、ちょっと動揺したりしたら、「私はありもしないものに動揺している」と宣言してみればいいのだ。そうすることは、非常に有効だと言っている。



However, the three or four practice periods which are required should be preceded by a minute or so of mind searching, as before, and the application of the idea to each upsetting thought uncovered in the search.
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • practice [prǽktis] : 「練習、訓練、演習」
  • period [píəriəd] : 「期間、時期」
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める」
  • precede [prisíːd] : 「〜に先行する、先んじる、先立つ」
  • minute [mínit] : 「分」
  • searching [sə́ːrtʃiŋ] : 「捜査、検索、探索、検査」
  • as before : 「以前の通り、従来通り、依然」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考えること、思考、思索」
  • uncover [ʌnkʌ́vər] : 「発見する、見いだす、明らかにする」
  • search [sə́ːrtʃ] : 「捜索、探査、追求、検査、調査」
❖ "However, the three ~ "意訳する、「しかし、(一日に)3〜4回の練習が要求されるのだが、前回同様、それに先立って、一分かそこら心の中を調べて、(その後で)、調べてわかった動揺している思いの一つ一つに、今日のものの見方を適用するようにすべきだ」。いきなりアファメーションに入るのではなく、心の中を吟味して、動揺の具体的な原因と結果を把握した上で、今日の宣言に入るようにすればいい。とは言え、1分かそこいら、短時間の探査でいい。



3. Again, if you resist applying the idea to some upsetting thoughts more than to others, remind yourself of the two cautions stated in the previous lesson:

        There are no small upsets. They are all equally
        disturbing to my peace of mind.
                 And:
        I cannot keep this form of upset and let the 
        others go. For the purposes of these exercises, then,
        I will regard them all as the same.
  • resist [rizíst] : 「〜に抵抗する、〜に反抗する」
  • apply [əplái] : 「当てはまる、妥当する、適用される、適合する」
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • caution [kɔ́ːʃən] : 「注意、用心、警戒、警告」
  • state [stéit] : 「述べる、はっきり言う」
  • previous [príːviəs] : 「前の、以前の」
  • small [smɔ́ːl] : 「小さい、小規模の、小ぶりの」
  • upset [ʌ́pset] : 「混乱、騒動、興奮状態」
  • equally [íːkwəli] : 「同じように、同様に」
  • disturbing [distə́ːrbiŋ] : 「心をかき乱すような、動揺させる、気掛かりな、不穏な」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平安」
  • let go : 「放す、手放す、捨てる、あきらめる」
  • regard [riɡάːrd] : 「見なす、思う、考える」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
❖ "Again, if you resist ~ " 「(前回同様)再び、もしあなたが、ある動揺している思いに対して、他の思いに対してよりも、(今日の)ものの見方を適用することに抵抗感を感じたら、」"remind yourself of ~ "「前回のレッスンで述べられた二つの注意事項を思い出しなさい」。すなわち、"There are no ~ "「小さな動揺なんてない」。"They are all equally ~ "「動揺はすべて、私の心の平安を等しくかき乱している」。そして、"I cannot keep this form ~ "「この動揺の形を保持したまま、他の動揺を放棄することは出来ないのだから、したがって、私は、動揺をすべて同じものと見なそう」。こう宣言して、ある種の動揺に対する抵抗感を除去してしまえばいい。幻想に大小も軽重もないのだ。等しく妄想である。ありもしないものに悩みを抱く必要はまったくない。・・・とは言え、言うは易(や)く行うは難し、である。
もしあなたが、重い病に侵されて苦しんでいるとしよう。病を軽く見よと、誰に言えよう。しかし、健常者の肉体さえ幻想なのだから、あなたの病の肉体もまた幻想に過ぎない。病は幻想である。その幻想を放棄しない限り、病の肉体も健常な肉体も、共に等しく死に至る。そこに、何の差もない。もちろん、病を克服するための治療を放棄する必要はない。病を治そうと努力することは正当である。だが、病と闘うことと、病を幻想と見なすことは、また、まったく別問題である。そして、希望を持つべきなのだ。つまり、肉体も病も幻想として受け入れて、それを赦すとき、ACIMは奇跡が起きると断言する。病もろとも、肉体は消滅するのだ。あなたは純粋な心として復活するのである。それを実現させようとするのが、ACIMの教える奇跡のコースである。このレッスンなのだ。あなたは、奇跡への第一歩を踏み出したのである。希望を持つべきだ。真実は必ず現実化するのだから。
 
 
 


W-pI.5.1:1 ~ W-pI.5-6:1

Lesson 5


I am never upset for the reason I think.
  • upset [ʌpsét] : 「混乱して、動揺して、取り乱して」
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
❖ "I am never upset ~ "「私が思っている理由で、決して動揺したりしない」。心に抱いた思いを理由にして、気持ちが動揺することはない、という宣言(affirmation : アファメーション)。心が抱く思いもまた幻想に過ぎないのだから、幻想に動揺することはない、ということ。



1. This idea, like the preceding one, can be used with any person, situation or event you think is causing you pain. 
  • preceding [prisíːdiŋ] : 「〜に先行する、先立つ」
  • person [pə́ːrsn] : 「人、人間、人物」
  • situation [sìtʃuéiʃən] : 「状況、情勢、事態」
  • event [ivént] : 「出来事、事件、成り行き」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、招く、〜の原因になる」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
❖ "This idea, like ~ "「このものの見方も、前のものと同様、あなたに苦痛を感じさせているとあなたが思う誰に対しても、どんな状況に対しても、どんな出来事に対しても、適用することが出来る」。心に痛みを感じさせるような人や状況や出来事に対して、それを理由に気持ちが動揺することはない、と宣言するのである。



Apply it specifically to whatever you believe is the cause of your upset, using the description of the feeling in whatever term seems accurate to you. 
  • apply [əplái] : 「適用する、応用する、利用する」
  • specifically [spisífikəli] : 「特に、明確に、はっきりと、具体的に」
  • whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由、動機」
  • upset [ʌ́pset] : 「混乱、騒動、興奮状態、気の動転、動揺」
  • description [diskrípʃən] : 「記述、説明、描写、表現」
  • feeling [fíːliŋ] : 「感触、感覚、感じ、感情、気持ち」
  • term [tə́ːrm] : 「用語、言葉、言葉遣い、言い回し、表現」
  • accurate [ǽkjurət] : 「正確な、正しい、的中した」
❖ "Apply it specifically ~ "「今日のももの見方を、あなたの動揺の原因となっていると信じるものなら何にでも、具体的に、適用しなさい」。"using the description ~ "「あなたにとって正確だと思われる言葉なら何でもいいので、それを使って、感じていることを表せばいい」。漠然と、抽象的に動揺した感情を表すのではなく、具体的に、正確に感情を表現するように、ということ。誰に対して、どうして、どのような感情を抱き、動揺しているのか、具体的に把握することだ。



The upset may seem to be fear, worry, depression, anxiety, anger, hatred, jealousy or any number of forms, all of which will be perceived as different. 
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • worry [wə́ːri] : 「不安、心配、気掛かり、気苦労、懸念、憂慮」
  • depression [dipréʃən] : 「落ち込み、意気消沈、絶望、鬱」
  • anxiety [æŋzáiəti] : 「心配、不安、懸念、悩み、心配事」
  • anger [ǽŋɡər] : 「怒り、憤り」
  • hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪、毛嫌い」
  • jealousy [dʒéləsi] : 「ねたみ、嫉妬、ジェラシー」
  • any number of : 「〜がいくらも、どっさり、いくつでも、いくらでも」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、種類」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "The upset may ~ "「動揺は、恐れかも知れないし、心配、落ち込み、不安、怒り、嫌悪、嫉妬、あるいは、様々な形をとっていて、そのすべてが、異るものとして知覚されるかも知れない」。動揺を具体的に見て、正確な言葉で表現していくと、すべてが様々な形をとっていて、異っているように感じるだろう。



This is not true. However, until you learn that form does not matter, each form becomes a proper subject for the exercises for the day. 
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • until [əntíl] : 「〜までは…しない、〜になってやっと」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜であると分かる」
  • matter [mǽtər] : 「重要である、大きな違いがある」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • proper [prάpər] : 「妥当な、適当な、ふさわしい、相応の」
  • subject [sʌ́bdʒikt] : 「題材、被写体、的」
❖ しかし、"This is not ~ "「これは正しくない」。様々な動揺は、形こそ異れ、本当は根っこは全部同じだ。"However, until ~ "「しかし、あなたが、形は問題ではないと学ぶまでは、一つ一つの動揺の形は、今日のエクササイズにとって適切な材料となる」。形あるものはすべて幻想であるから、様々な形をとって現れる動揺は、実は根っこが同じものなのだが、形は幻想であると学び取るまでは、今はとりあえず、一つ一つ具体的な動揺を抽象化せずに、具体的なままにして、エクササイズの題材に選らんでいけばいい。



Applying the same idea to each of them separately is the first step in ultimately recognizing they are all the same.
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • separately [sépərətli] : 「離れて、独立して、別々に、分かれて」
  • ultimately [ʌ́ltəmətli] : 「最後に、最終的に」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる、認識する」
❖ "Applying the same ~ "「動揺の一つ一つに対して、別々に、(今日の)同じものの見方を適用していくことは、最終的に、すべての動揺はみな同じものなのだと認識する最初のステップである」。具体的に、個々別々にエクササイズを適用させていくうちに、最終的には、形ある動揺はすべて同一なのだと認識出来るようになる。抽象化され、すべてが幻想であると認識出来るようになるのだ。それまでは、無理に抽象化する必要はないし、それはエクササイズとして適当ではない。



2. When using the idea for today for a specific perceived cause of an upset in any form, use both the name of the form in which you see the upset, and the cause which you ascribe to it. 
  • specific [spisífik] : 「具体的な、詳しい、曖昧でない、明確な」
  • in any form : 「いかなる種類のものであれ」
  • both  [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも」
  • ascribe [əskráib] : 「ものとみなす、帰する、せいにする」
❖ "When using ~ "「どんな形であれ、具体的な、知覚された動揺の原因に対して、今日のものの見方を適用するとき、あなたが動揺と見て取った形の名前と、そのせいだとあなたが思った原因の両方を利用しなさい」。動揺の原因と結果を具体的に言葉に表して、今日のものの見方を適用し、エクササイズしなさい。


For example:

        I am not angry at ______ for the reason I think.
        I am not afraid of ______ for the reason I think.
  • example [igzǽmpl] : 「例、実例、実施例、用例」
  • for example : 「例えば、例として」
  • angry [ǽŋɡri] : 「腹を立てて、立腹して、怒って、憤りを感じて」
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
❖ "For example ~ "「たとえば、私が思っている理由で、私は〜に対して怒っているわけではない、とか、私が思っている理由で、私は〜に対して恐れを抱いているわけではない」。"for the reason I think"「私が思っている理由のせいで」とあるが、ここは、簡単に、理由の具体的な内容を表してもいいだろう。たとえば、「私は騙されたから、怒っているわけではない」とか、「私は嫌われるのではないかと、恐れているわけではない」。また、「〜わけではない」と訳してみたが、もっと端的に、「私は騙されたけど、怒ってなどいない」、とか、「私は嫌われるのではないかと、恐れてたりしない」と宣言してもいいだろう。



3. But again, this should not be substituted for practice periods in which you first search your mind for "sources" of upset in which you believe, and forms of upset which you think result.
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて、この場合もやはり」
  • substitute [sʌ́bstətjùːt] : 「〜を代わりにする、代用する、置き換える」
  • practice [prǽktis] : 「練習、訓練、演習」
  • period [píəriəd] : 「期間、時期」
  • search [sə́ːrtʃ] : 「探す、捜索する、探し出す」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
  • result [rizʌ́lt] : 「生じる、起こる、帰着する、〜の結果となる」
❖ "But again, this ~ "「しかし、再び言うが、まず最初に、あなたが信じる動揺の『源』を心の中に探し出したり、それが結果したのだとあなたが思う動揺の形を探し出したりする練習時間を差し置いて、このエクササイズを代用してしまってはいけない」。まわりくどい言い方をしているのだが、要するに、今日のものの見方、今日のアファメーションを実行する前に、心の中をじっくり探査して、動揺の原因と結果をしっかり把握する時間を設けなさい、ということ。



4. In these exercises, more than in the preceding ones, you may find it hard to be indiscriminate, and to avoid giving greater weight to some subjects than to others. 
  • hard [hάːrd] : 「難しい、困難な、つらい」
  • indiscriminate [ìndiskrímənət] : 「差別しない、区別しない、無差別の」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する」
  • great [ɡréit] : 「大きい、大きな、巨大な、主要な」
  • weight [wéit] : 「重さ、重量、重み、重要さ、重要性、影響力」
❖ "In these exercises ~ "「これらのエクササイズでは、前のエクササイズにも増して、あなたは、差別しないことや、何かの題材を他の題材より比重を重くしたりすることを避けるのが難しいと思うかも知れない」。あなたの気分を重くしている事例に対して、序列を設けないことは非常に難しい。どうしても、悩みに対して、重い軽いの比重をかけてしまいがちだ。しかし、心の苦しみは、所詮、幻想から生み出されて来るものなので、本来はみな同じ穴のムジナである。極力、差別区別をすべきではない。そこで、自分の動揺している姿、その原因と結果を、あたかも夜見る夢の中で眺めているような気持ちで、あるいは、映画のスクリーンを見ているような気持ちで、それに対峙すればいいのだ。スクリーン上の自分は〜が原因ですごく怒っているが、それを見ている本当の自分は、決して怒ってなんかいないよ、と宣言すればいい。



It might help to precede the exercises with the statement:

        There are no small upsets. They are all 
        equally disturbing to my peace of mind.
  • precede [prisíːd] : 「〜に先行する、先んじる、先立つ」
  • statement [stéitmənt] : 「述べること、発言すること、発言、意見」
  • small [smɔ́ːl] : 「小さい、小規模の、つまらない、取るに足りない」
  • equally [íːkwəli] : 「均等に、等しく、同じように、同様に、平等に、公平に」
  • disturbing [distə́ːrbiŋ] : 「心をかき乱す、動揺させる、気掛かりな、不穏な」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平安、静けさ、静謐」
❖ "It might help ~ "「エクササイズに先立って、次のように述べることは、その手助けになるかも知れない」。次のように宣言することは、差別や区別を避ける助けになるかもしれない。"There are no ~ "「小さな動揺なんてない」。自分にとっては、動揺はどれも大きな関心事だ。"They are all equally ~ "「それらはどれも、私の心の平和を等しくかき乱している」。と宣言して、あれもこれも、差別したり区別したりすることなく、その動揺と対峙すればいい。



5. Then examine your mind for whatever is distressing you, regardless of how much or how little you think it is doing so.
  • examine [iɡzǽmin] : 「観察する、調べる」
  • distress [distrés] : 「〜を苦しめる、悩ます、疲れさせる」
  • regardless [riɡάːrdlis] of : 「〜にかかわらず」
❖ "Then examine ~ "「その後で、〜にかかわらず、あなたを悩ませているものなら何であれ、あなたの心の中を調べてみなさい」。"regardless of how ~ "「すごくあなたを悩ませているか、少しだけあなたを悩ませているかにかかわらず、」あなたを悩ませているものなら何であれ、あなたの心の中を調べてみなさい。こうすることで、ある一つの悩みに拘泥(こうでい)することを避けることが出来るわけだ。



6. You may also find yourself less willing to apply today's idea to some perceived sources of upset than to others. 
  • less [lés] : 「より少なく」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に前向きである」
❖ "You may also find ~ "「あるいはまた、あなたは、知覚される動揺の原因の何かに対して、他のものに対してよりも、今日のものの見方を適用したくないと思っているあなた自身を見出すかも知れない」。動揺の原因と結果に対しては、あるものと他のものの区別を付けることがなくなったとは言え、さて、エクササイズを実行しようと思うと、何か抵抗感を覚えてしまうものがあるかも知れない。たとえば、怒りの原因がわかったとして、それに対して自分は怒ったりしないと宣言することに抵抗感を覚えてしまうようなことがあるかも知れない。つまり、赦してしまうことに抵抗感を感じてしまうのだ。



If this occurs, think first of this:

        I cannot keep this form of upset and let the others 
        go. For the purposes of these exercises, then, I will 
        regard them all as the same.
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持す」
  • let go : 「放す、手放す、解放する、捨てる、あきらめる」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • regard [riɡάːrd] : 「見なす、思う、考える」
❖ "If this occurs ~ "「もし、このようなことが起こったら、まず最初に次のように思いなさい」。"I cannot keep ~ "「私は、この動揺の形を保ったまま、その他の動揺を解放することは出来ない」。動揺の一つを赦せないとして心に保ったまま、その他の動揺を手放して解放されることは不可能だ。"For the purposes ~ "「このエクササイズの目的を(達成させる)ために、それなら、動揺のすべてをみんな同じものと見なそう」。恐れ、心配、落ち込み、不安、怒り、嫌悪、嫉妬、等々の動揺は、原因や結果、それが表わす形が違っていても、どれも幻想であって、特別にこだわる必要はない。幻想を赦して手放すために、区別や差別をせずに、特別な思い入れを排除しよう。



7. Then search your mind for no more than a minute or so, and try to identify a number of different forms of upset that are disturbing you, regardless of the relative importance you may give them. 
  • no more than : 「たった、わずか」
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる」
  • identify [aidéntəfài] : 「特定する、〜を同一視する、同定する」
  • disturb [distə́ːrb] : 「乱す、破る、かき乱す、不安にさせる、動揺させる」
  • regardless [riɡάːrdlis] of : 「〜にかかわらず」
  • relative [rélətiv] : 「相対的な」
  • importance [impɔ́ːrtəns] : 「重要性、大切さ、重大」
❖ "Then search your ~ "「その後、一分かそこら、〜にかかわらず、あなたの心を調べてみて、あなたを悩ませている、多くの、異った形の動揺を同定してみなさい」。"regardless of ~ "「あなたが与えた相対的な重要性に関わらず、」あなたの心を調べてみて、あなたを悩ませている、多くの、異った形の動揺を同定してみなさい。理性による評価判断を中断して、虚心坦懐に、あなたの心の中の悩める動揺を、それが何であるか、原因はどこにあるのか、同定しなさい。



Apply the idea for today to each of them, using the name of both the source of the upset as you perceive it, and of the feeling as you experience it. 
  • both [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • feeling [fíːliŋ] : 「感じ、感触、感覚、感情、気持ち、印象」
  • experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する、〜に悩む」
❖ "Apply the idea ~ "「あなたが知覚したままの動揺の原因とその名前の両方を使って、そして、あなたが経験したままの動揺のフィーリングを使って、一つ一つの動揺に対して、今日のものの見方を適用しなさい」。ここでもまた、評価判断を下さずに、見たまま、感じたままに、具体的な名前やフィーリングを使って、エクササイズを行えばいい。



Further examples are:

        I am not worried about ______ for the reason I think. 
        I am not depressed about ______ for the reason I think.
  • be worried about : 「〜が気になる、〜が心配だ、〜に胸を痛めている」
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • depressed [diprést] : 「精神的に沈んだ、意気消沈した、元気のない」
❖ "Further examples ~ "「さらなる例は、次のようになる」。"I am not worried ~ "「私が思っている理由で、私は心を痛めているのではない」。"I am not depressed ~ "「私が思っている理由で、私は意気消沈しているのではない」。ここも、"for the reason I think"「私が思っている理由で」の部分を具体的に言い表していい。たとえば、仕事がうまく行かなかったから、とか、悪口を言われたから、とか。また、「心を痛めているのではない」、「意気消沈しているのではない」と訳してみたが、「心を痛めていることはない」「意気消沈したりしない」と宣言してみてもいい。受動的な表現より、こちらの方が能動的で、アファメーションは強い。



8. Three or four times during the day is enough.
  • during [djúəriŋ] : 「〜の間ずっと、〜の期間に、〜の間に」
  • enough [inʌ́f] : 「十分な、足りる」
❖ "Three or four ~ "「(エクササイズは)、一日に3〜4回で十分だ」。決して、やり過ぎないこと。熱中し過ぎないこと。過ぎたるは及ばざるがごとし、である。ACIMの赦しは、幻想を幻想として認識し、それを受け入れ、『受け流して』しまうことなのだ。さりげなく、手放してしまうことが肝要である。こだわって考え過ぎ、悩むことはご法度である。なぜなら、所詮、幻想に過ぎないからだ。夢にこだわって、夢に飲み込まれてしまってはいけない。
 
 
 


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❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
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❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
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❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

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