13. What Is a Miracle?
1. A miracle is a correction. It does not create, nor really change at all.
- correction [kərékʃən] : 「訂正、修正、是正」
- create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
- not at all : 「 全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "A miracle ~ "「奇跡とは修正することだ」。"It does not ~ "「奇跡は創造することはないし、実際、何も変化させない」。奇跡は何かを生み出すことはないし、変えることもない。奇跡は誤った知覚を修正するだけだ。幻想に過ぎないものを実在していると勘違いする知覚を修正するだけだ。
It merely looks on devastation, and reminds the mind that what it sees is false.
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
- look on : 「〜を見る、〜を観察する」
- devastation [dèvəstéiʃən] : 「荒廃、廃虚」
- remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
- false [fɔ́ːls] : 「誤った、虚偽の、偽の」
❖ "It merely ~ "「奇跡は単に荒廃に目を向け、心に対して見ているものは嘘なのだと思い起こさせることである」。この世の苦と痛み、悲惨な混乱が本当は実相的に存在するものではなく、知覚がそのように見せかけている光景に過ぎないのだと思い出させてくれる。それが奇跡。
It undoes error, but does not attempt to go beyond perception, nor exceed the function of forgiveness. Thus it stays within time's limits.
- undo [ʌndú] : 「元どおりにする、取り消す」
- error [érər] : 「誤り、間違い」
- attempt [ətémpt] : 「〜を試してみる、〜を企てる」
- beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
- exceed [iksíːd] : 「超える、上回る」
- function [fʌ́ŋkʃən] : 「機能、作用、働き、役割」
- forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し」
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って」
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
- limit [límit] : 「限度、制限」
❖ "It undoes ~ "「奇跡は誤りを取り消すが、知覚を超越してその先に行こうとすることはないし、赦しの役割を越えることもない」。奇跡は知覚の誤りを修正し、取り消しにするのだが、その知覚を超越的な知覚 (実相的ヴィジョン)に進化させたり、あるいは実相的な赦しの行為を代行したりすることもない。"Thus it stays ~ "「このように、奇跡は時間という制限の内にとどまっている」。奇跡は時間の存在しない実相世界における現象ではなく、時間の存在するこの幻想世界での出来事だ。奇跡は幻想世界から実相世界へ橋渡しする役割をもっている。
Yet it paves the way for the return of timelessness and love's awakening, for fear must slip away under the gentle remedy it brings.
- pave [péiv] : 「〜を舗装する、覆う」
- pave the way : 「道を開く」
- return [ritə́ːrn] : 「戻る、帰る、返還する」
- timelessness [táimlisnis] : 「時間が存在しないこと」
- awaken [əwéikən] : 「目を覚ます、目覚める」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
- slip away : 「静かに立ち去る、場を外す」
- under [ʌ́ndər] : 「〜のもとに」
- gentle [dʒéntl] : 「優しい、寛大な、穏やかな」
- remedy [rémədi] : 「救済策、治療、療法」
- bring about : 「〜をもたらす、〜を引き起こす」
❖ "Yet it paves ~ "「しかし奇跡は、無時間への回帰と愛の目覚めへの道を開いてくれる」。奇跡は実相を知覚できる開眼へ道を開いてくれる。"for fear must ~ "「なぜなら、奇跡がもたらす優しい癒やしの下(もと)、恐れはその場を立ち去らざるを得ないからだ」。幻想の恐れは癒やされてその姿を隠してしまう。ただし、恐れが消滅するのは赦しが実行されてから。
2. A miracle contains the gift of grace, for it is given and received as one.
- contain [kəntéin] : 「含む、包含する」
- grace [gréis] : 「優雅、神の恩寵、神の愛」
- given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
- receive [risíːv] : 「受け取る、聞く、知る」
❖ "A miracle ~ "「奇跡は神の愛という贈り物を含んでいる」。"for it is ~ "「なぜなら、奇跡は同一のものとして与えられたり受け取られたりするからだ」。知覚の修正である奇跡は神が神の子に遣わせたホーリー・スピリットの導きでなされ、その意味では奇跡は神からの贈り物だ。と同時に、神の子が奇跡をなすことで、神の子は神の愛へ返答することになる。愛は一方向ではなく、一つのものとして、神と神の子の間で交換される。
And thus it illustrates the law of truth the world does not obey, because it fails entirely to understand its ways.
- illustrate [íləstrèit] : 「説明する、解説する」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律」
- obey [oubéi] : 「〜に従う」
- fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
- entirely [entáiərli] : 「全く、完全に」
- understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、分かる」
- way [wéi] : 「方法、やり方、手段、様式」
❖ "And thus ~ "「こうして奇跡は、この世界が従わない真実の法を説く」。この幻想世界は夜見る夢のようなもので、規則も法もなく、ただただ混沌としている。他方、本当に実在するものは実相世界の真実、すなわち神の法に従う。奇跡の存在は、その間の事情を表している。"because it fails ~ "「なぜなら、この世界は真実の法の有り様をまったく理解し損ねているからだ」。幻想を実在だと信じているこの世界は、実相世界の真実がどのような法に従って作用し合っているかまったく理解できない。
A miracle inverts perception which was upside down before, and thus it ends the strange distortions that were manifest.
- invert [invə́ːrt] : 「逆さにする、ひっくり返す」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
- upside down : 「逆さまに」
- before [bifɔ́ːr] : 「前に、先に」
- end [énd] : 「終わらせる、やめる」
- strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変な」
- distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがみ、ねじれ、歪曲」
- manifest [mǽnəfèst] : 「明白に示す、明示する」
❖ "A miracle ~ "「奇跡は、それまで逆さまだった知覚をひっくり返す」。肉体的な知覚は非実在を実在するかのように錯覚させて人を騙してきたが、奇跡はそれをひっくり返して真実だけが実在するという実相的な知覚に修正する。"and thus it ~ "「そして奇跡は、目に見えていた奇妙な歪みを終了させる」。肉体的な知覚が生み出していた幻想や錯覚、この幻想世界の混沌とした歪みを奇跡が修正する。実相的な知覚によって実在する真実が見えてくる。
Now is perception open to the truth. Now is forgiveness seen as justified.
- forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し」
- justify [dʒʌ́stəfài] : 「正当化する」
❖ "Now is perception ~ "「今や知覚は真実へと開かれる」。"Now is forgiveness ~ "「今や赦しは正当なものとして見なされる」。知覚の修正を導く赦しは実相的に正しいことだと認識される。
3. Forgiveness is the home of miracles. The eyes of Christ deliver them to all they look upon in mercy and in love.
- deliver [dilívər] : 「送る、引き渡す」
- look upon : 「〜を見る」
- mercy [mə́ːrsi] : 「慈悲、情け」
❖ "Forgiveness is ~ "「赦しは奇跡の故郷である」。幻想を認識し、受け止め受け流して幻想を赦せば、幻想は消滅して実相世界が知覚され始める。赦しが知覚の修正である奇跡を生み出す。"The eyes of ~ "「キリストの目が、慈悲と愛の中で見るものすべてに、奇跡をもたらす」。キリストの目(実相的ヴィジョン)をもつホーリー・スピリットのように、慈悲と愛をもって世界を見れば、奇跡を覆い隠してきた幻想は剥がれ落ちて真実が見えてくる。
Perception stands corrected in His sight, and what was meant to curse has come to bless.
- stand [stǽnd] : 「立つ、立っている」
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
- sight [sáit] : 「視力、視覚、視野、視界」
- meant [mént] : 「meanの過去・過去分詞形」
- be meant to do : 「〜するように意図されている」
- curse [kə́ːrs] : 「罵りの言葉、のろい」
- bless [blés] : 「〜を祝福する」
❖ "Perception stands ~ "「キリストの視界の中に知覚は修正されて立ち上がる」。"and what was ~ "「呪いを意図されたものは祝福として現れる」。知覚は修復され、天地が逆転する変化が起きる。幻想世界で呪いに思われたものが実相世界では祝福に変わる。たとえば必然だと思われていた命の死は、キリストの目には非存在と見え、永遠の命に取って代わる。
Each lily of forgiveness offers all the world the silent miracle of love.
- lily [líli] : 「ユリ」
- offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる」
- silent [sáilənt] : 「静かな、無言の」
❖ "Each lily ~ "「赦しのユリ一本一本が全世界に愛の静かな奇跡を差し出す」。
And each is laid before the Word of God, upon the universal altar to Creator and creation in the light of perfect purity and endless joy.
- laid [léid] : 「layの過去・過去分詞形」
- lay [léi] : 「置く、横たえる」
- universal [jùːnəvə́ːrsl] : 「全宇宙の、全世界の、普遍的な」
- altar [ɔ́ːltər] : 「祭壇、聖餐台」
- creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
- creation [kriéiʃən] : 「創造、創作物」
- perfect [pə́ːrfikt] : 「完全な、完璧な」
- purity [pjúərəti] : 「純粋さ、無垢さ」
- endless [éndlis] : 「終わりのない、永遠の」
- joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
❖ "And each ~ "「完璧な清純さと永遠の喜びの光の中、一本一本のユリは神の言葉の前に、創造主と創造されたものたちに向けられた全宇宙的な祭壇の前に置かれる」。清いユリの花のような奇跡は、神の子の歓喜の中で、神による真実の言葉とふれ合える祭壇の前に捧げられる。その祭壇は神の祭壇でもあり、神が創造した神の子の祭壇でもある。実相という実在の神聖な舞台だ。
4. The miracle is taken first on faith, because to ask for it implies the mind has been made ready to conceive of what it cannot see and does not understand.
- take [téik] : 「〜を要する、必要とする」
- faith [féiθ] : 「信頼、信じること、信念」
- ask for : 「〜を求める、〜を要求する」
- imply [implái] : 「暗示する、ほのめかす」
- make ready [rédi] : 「準備する、備える」
- conceive [kənsíːv] of :「〜を考え出す、〜を心に描く」
❖ "The miracle ~ "「奇跡は最初に、信念の上に取り入れられる」。何らかの証拠があって奇跡が受け入れられるのではなく、信じる心の中に奇跡は芽生える。"because to ask ~ "「なぜなら、奇跡を求めることは、見えないものや理解していないものを描き出そうと、心がすでに準備を整えているということを暗に意味しているからだ」。知覚でとらえることが出来ないものは非存在なのだと決めつけることなく、見えなくても、あるいは見えていたとしてもその裏に、何か本当の真実が存在するかもしれないと信じる心が奇跡を呼び寄せる。
Yet faith will bring its witnesses to show that what it rested on is really there.
- bring about : 「〜をもたらす、〜を引き起こす」
- witness [wítnəs] : 「証拠、証言、証人」
- rest [rést] : 「ある、置かれている」
- rest on : 「〜に基礎を置く」
❖ "Yet faith ~ "「しかし、信じる心は、それが基づいているものが実際そこにあるのだと示す証拠をもたらすことになる」。信じる心は、知覚ではとらえられないものが本当にそこに存在するのだという証拠をもたらす。実相は肉体的な目に見えないが、幻想に隠されているだけであって、実際はそこに存在するのだという証拠を奇跡が運んでくる。キリストのヴィジョンである。
And thus the miracle will justify your faith in it, and show it rested on a world more real than what you saw before; a world redeemed from what you thought was there.
- justify [dʒʌ́stəfài] : 「正当化する」
- redeem [ridíːm] : 「〜を罪から救う、〜を救い出す」
❖ "And thus ~ "「こうして奇跡は、奇跡を信じるあなたの心は正しいのだと証明し、」"and show it ~ "「あなたがそれまで見てきた世界よりもずっとリアルな世界に基礎を置いているのだと示す」。奇跡はこの世界よりずっとリアルな実相世界に基礎を置いている。"a world ~ "「その世界は、あなたがそこに存在していたと思っていた世界から救い出された世界である」。奇跡は知覚を修正し、存在していると思っていた幻想世界からそれまで見えなかった実在の実相世界を救い出して目に見えるようにする。
5. Miracles fall like drops of healing rain from Heaven on a dry and dusty world, where starved and thirsty creatures come to die.
- fall [fɔ́ːl] : 「落ちる、落下する」
- dusty [dʌ́sti] : 「ほこりっぽい、ちりまみれの」
- starved [stάːrvd] : 「飢えた」
- thirsty [θə́ːrsti] : 「喉が渇いた」
- creature [kríːtʃər] : 「生き物、動物、人間」
❖ "Miracles fall ~ "「奇跡は、乾いた塵(ちり)だらけの世界の上に癒やしの雨粒のように降る」。"where starved ~
「その世界では、飢えて喉をからした生き物たちは死を運命づけられている」。
Now they have water. Now the world is green. And everywhere the signs of life spring up, to show that what is born can never die, for what has life has immortality.
- sign [sáin] : 「象徴、しるし、兆候」
- spring up : 「生じる、ひょっこり現れる」
- born [bɔ́ːrn] : 「生まれる、誕生する」
- immortality [ìmɔːrtǽləti] : 「不死、不朽、不滅」
❖ "Now they ~ "「今生きもの達は水を得た」。"Now the ~ "「今や、世界は緑だ」。"And everywhere ~ "「到る所、命の兆しが湧き上がる」。"to show that ~ "「それは生まれたものは死ぬことはないと教えている」。"for what has ~ "「なぜなら、命あるものは不死だからだ」。