●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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W-pI.22.1:1 ~ W-pI.22.3:9

Lesson 22 



What I see is a form of vengeance.
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
❖ "What I see is ~ "「私が見ているものは、復讐の形である」。神の子が神から分離した後、神の子は自らも分裂し、多数の神の子となった。自己と他者に別れたのだ。さらに、分離を象徴するこの世界を幻想し、その中にエゴを祭り上げて、エゴの思考システムを採用した。エゴの思考システムは、分離を維持し、あるいは分離を加速するシステムであって、得るためには奪え、攻撃される前に攻撃せよ、殺される前に殺せ、自己防衛のためなら殺人もやむなし、等々を謳(うた)う思考システムである。したがって、エゴの思考システムに準じている限り、分離を維持するために攻撃、あるいは分離を維持するための防衛、分離を維持するための復讐、それらが、世界を構成するあらゆるものの背後に控えた基本原理となるのだ。たとえば、生物体の免疫機構を見れば、その原理が明白にわかる。本文は、"vengeance"「復讐」とあるが、攻撃と復讐の連鎖の中の「復讐」という意味合いであって、"attack"「攻撃」という言葉に置き換えてもいい。
少々くどくなるが、分離が攻撃性を生むメカニズムを説明する。分離を象徴するこの幻想世界は二元論世界であって、あらゆる存在が二元に分離し、二項対立の形態をとる。一つの概念は対極の概念をもつのである。たとえば、愛は対極に憎悪という概念をもつ。そして、この二つの概念のベクトルが力を競い合って、そこに変化流動というダイナミズムが生み出される。愛は奪ったり奪われたりしながら、あるいは愛は裏切ったり裏切られたり、愛によって支配したり支配されたりしながら、憎悪へと変化する可能性が生み出されるのだ。この変化流動を生み出す基本的な力は攻撃的力であって、概念と対極概念の間の力のせめぎ合い、その基本原理が攻撃ということになる。したがって、攻撃性は二元論世界の必然なのだ。



1. Today's idea accurately describes the way anyone who holds attack thoughts in his mind must see the world. 
  • accurately [ǽkjurətli] : 「正確に、正しく、きちんと、的確に」
  • describe [diskráib] : 「言い表す、説明する、描写する、表現する」
  • hold [hóuld] : 「心に抱く、〜であると考える、保持する」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え」
❖ "Today's idea accurately ~ "「今日のものの見方は、攻撃的な思いをい抱いている者なら誰でも、世界をそのように見ているという、その見方を、正確に描写している」。エゴの思考システムを採用して、攻撃や復讐や防衛を正当化する者は誰でも、世界をそのための舞台だと見ている。逆に、この世界を弱肉強食の舞台だと見ている者は、同時に、攻撃と復讐と防衛は必須だと信じているのだ。これが、エゴの策略である。弱肉強食の世界にあって、攻撃と復讐と防衛に明け暮れしているかぎり、神の子の分離は安泰である。エゴの望む幻想は維持されるのだ。たとえば、国家という幻想が、軍事力を持つことで、あたかも独立を維持しているかに見える様もまた、同様の原理による。



Having projected his anger onto the world, he sees vengeance about to strike at him. 
  • project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
  • anger [ǽŋɡər] : 「怒り、憤り」
  • about to : 「まさに〜しようとしている」
  • strike [stráik] : 「攻撃を開始する、襲う、飛びかかる」
❖ "Having projected ~ "「彼の怒りを世界の上に投射することで、彼は、復讐がまさに彼を襲おうとしているように見えるのだ」。"he"「彼」とは、"anyone who holds attack thoughts"「攻撃的な思いを抱いている者」。攻撃的な思いを抱いている者は、心に怒りを抱いている。その怒りを、世界の上に投射する、つまり、八つ当たりするのだ。物に対してでも、人に対してでも構わない。怒りを投げつけ、攻撃態勢に入る。そうすると、逆に、世界は彼に対して防衛的な、あるいは復讐的な態勢に入る。彼は、世界が今にも攻撃して来るに違いないと見るのである。ここに恐れが生まれる。恐れは防衛本能を呼び覚まし、更なる攻撃性を求める。



His own attack is thus perceived as self defense. 
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • defense [diféns] : 「防衛、防御」
❖ "His own attack ~ "「彼自身の攻撃は、こうして、自己防衛であるかのように知覚される」。世界が攻撃しかけてくるから、今度は、自分は防衛しなくてはならないと信じる。お分かりのように、堂々巡りなのだ。攻撃、防衛、復讐は、果てしなく堂々巡りを繰り返す。まさに、エゴの思うツボなのだ。



This becomes an increasingly vicious circle until he is willing to change how he sees. 
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • increasingly [inkríːsiŋli] : 「ますます、だんだんと、次第に」
  • vicious circle [víʃəs sə́ːrkl] : 「悪循環、いたちごっこ」
  • until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
  • be willing to : 「進んで〜する、〜に前向きである、〜に気乗りする」
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
❖ "This becomes ~ "「彼が(世界の)見方を変えようと意思しない限り、この(流れ)は、次第に悪循環になってしまう」。攻撃、防衛、復讐の堂々巡りは、恐れを介して悪循環と化し、当然ながら、すべては崩壊と死に向かう。人の命を奪わなかった戦争はないし、人の命を救った戦争もない。その悪循環の輪を断ち切るには、あなたのものの見方、世界に対する見方を変えなくてはならない。つまり、エゴの思考システムから脱却する必要があるのだ。分離を断ち切るホーリー・スピリットの思考システムを是が非でも採用する必要がある。



Otherwise, thoughts of attack and counter-attack will preoccupy him and people his entire world. What peace of mind is possible to him then?
  • otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え」
  • counter-attack : 「逆襲、反撃」
  • preoccupy [priάkjupài] : 「〜の心を奪う、〜に偏見を抱かせる、〜を先取りする」
  • entire [intáiər] : 「全体の、全部の」
  • possible [pάsəbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
❖ "Otherwise, thoughts ~ "ここの"people his entire world"は"people will preoccupy his entire world"として、「さもなければ、攻撃や逆襲という思いは、彼の心を占領するであろうし、人々が彼の世界全体を占領するであろう」。彼は、四六時中、攻撃と復讐の考えを抱き、その攻撃復讐の対象となる人々、つまり、攻撃してくるかも知れない人や彼が復讐しようとしている人のことが、彼の世界、彼の頭の中を占領してしてしまうのだ。"What peace of mind ~ "「そうなれば、いったいどんな心の平和が、彼にとって可能であろう」。攻撃と復讐の思い、そして、その対象となる人達によって、彼の心と頭が占領されてしまったら、どうして心の平和が得られようか。エゴの思考システムに従って世界を見ている限りは、真の心の平和は得られない。原理的に不可能なのだ。



2. It is from this savage fantasy that you want to escape. 
  • savage [sǽvidʒ] : 「凶暴な、残酷な、野蛮な、残忍な、殺伐とした」
  • fantasy [fǽntəsi] : 「想像、空想、妄想、幻覚」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける」
❖ "It is from this savage ~ "強調構文、「あなたが抜け出したいと望むのは、この野蛮な妄想からなのだ」。抜け出したいと願いつつも、抜け出せずに今日に至った、というのが現実であろう。そしてあなたは、このACIMに出会った。



Is it not joyous news to hear that it is not real? Is it not a happy discovery to find that you can escape? 
  • joyous [dʒɔ́iəs] : 「うれしい、喜びに満ちた、楽しい」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • discovery [diskʌ́vəri] : 「発見」
  • find [fáind] : 「発見する、見いだす、気付く、理解する」
❖ "Is it not joyous ~ "「野蛮な妄想は現実ではないと耳にすることは、喜ばしいニュースではないだろうか」。"Is it not a happy ~ "「野蛮な妄想からあなたは抜け出せるのだと知ることは、幸せな発見ではないだろうか」。攻撃も復讐も、そして防衛も、エゴが分離を維持するために画策した幻想であって、現実でも真実でもない。それを知ることが、脱出の第一歩である。ACIMは、真の意味で、福音書なのである。



You made what you would destroy; everything that you hate and would attack and kill. All that you fear does not exist.
  • destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、粉砕する、荒廃させる」
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
  • kill [kíl] : 「殺す、葬る、始末する」
  • fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
❖ "You made what you ~ "「あなたが破壊したいと思うことを、あなたは作ったのだ」。攻撃して破壊したいと思う相手を、あなたは勝手に妄想したのだ。"everything that you ~ "「あなたが嫌い、攻撃して殺したいと思うものすべては、あなたが作り出したものである」。弱肉強食のこの世界のすべて、あなたが敵だと思う者すべて、攻撃し破壊したいと望むものすべては、あなたがエゴの思考システムに騙されて、幻想、妄想した非現実である。"All that you fear ~ "「あなたが恐れるすべては、存在さえしない」。恐れそれ自体も、したがって、幻想であり、非実在である。



3. Look at the world about you at least five times today, for at least a minute each time. 
  • at least : 「少なくとも、最少に見ても」
❖ "Look at the world ~ "「今日は、日に少なくとも5回、その度に少なくとの1分間、あなたの周りの世界を見渡しなさい」。



As your eyes move slowly from one object to another, from one body to another, say to yourself:

        I see only the perishable.
        I see nothing that will last. 
        What I see is not real.
        What I see is a form of vengeance.
  • move [múːv] : 「動かす、移動する」
  • object [άbdʒikt] : 「物、物体」
  • another [ənʌ́ðər] : 「もう一つ、もう一人」
  • perishable [périʃəbl] : 「傷みやすい、腐りやすい、壊れやすい」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
❖ "As your eyes move ~ "「視線をゆっくりと、物から物へ、人から人へ移しながら、あなた自身に次のように言い聞かせる」。"I see only  ~ "「私は、壊れゆくものを見ている」。"I see nothing ~ "「私は、永続出来ないものを見ている」。"What I see ~ "「私が見ているものは実在ではない」。"What I see ~ "「私の見ているものは、復讐の形をしている」。あなたが見ている世界は、物も肉体も、常に変化流動するものであって、変化流動は崩壊と死に向かう。壊れやすく、長続きするものではない。したがって、それは幻想であり、実在する現実ではない。この世界は分離を象徴する幻想で構成されており、いわば、攻撃と復讐を象徴する形、イメージをもっている。あなたが目にするものは、その攻撃と復讐のイメージなのだ。



At the end of each practice period, ask yourself:

        Is this the world I really want to see?

The answer is surely obvious.
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • surely [ʃúərli] : 「疑いなく、しっかりと、確かに、確実に」
  • obvious [άbviəs] : 「明らかな、疑う余地のない」
❖ "At the end of ~ "「各練習の終わりには、あなた自身に次のように問いかけなさい」。"Is this the world ~ "「これは、私が本当に見たいと思っている世界だろうか」。"The answer is surely ~ "「答えは、自ずから明らかだ」。あなたが欲しているのはこの幻想世界ではない。意識しようが意識しまいが、あなたが求めている世界は実相世界なのだ。
 
 
 


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