●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



W-pI.167.1:1 ~ W-pI.167.12:7

Lesson 167



There is one life, and that I share with God.
  • share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する」
❖ "There is ~ "「たった一つの命があり、私はそれを神と分かち合っている」。命の分裂はこの世の幻想である。純粋一元論の世界では命は一つであり、神と共にその命を共有している。あえてイメージするなら、大きな樹の幹が神で、神の子がその樹の葉っぱだと見ればいい。どちらも一つの樹の命を共有しているわけだ。



1. There are not different kinds of life, for life is like the truth. It does not have degrees. 
  • different [dífərənt] : 「相違する、異なる」
  • kind [káind] : 「種類」
  • degree [diɡríː] : 「程度、度合い、レベル」
❖ "There are not ~ "「異なる種類の命というものはない」。命には違いはない。"for life is ~ "「なぜなら、命は真実と同じようなものだからだ」。むしろ、命は真実そのものである。ここでは、存在形態が似ている、という意味合いであろう。"It does not ~ "「命は、序列というものをもたない」。小さな命、大きな命、大切な命、不必要な命、等々の差異を命はもたない。命は一つであり、一つのものが序列を持つわけがない。奇跡に序列がないのと同じ。



It is the one condition in which all that God created share. Like all His Thoughts, it has no opposite. 
  • condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思い、考え、思考、思想」
  • opposite [άpəzit] : 「反対、正反対、逆」
❖ "It is the one ~ "「命は、神が創造したものすべてが分かち合う一つの状態である」。神がその思いを現実化し、実在化させた状態が命の根本。"Like all His ~ "「神の思考と同じように、命は対立するものを何ももたない」。神の思考は純粋一元論であり、対立する思考、対抗概念をもたない。命には死が対立しているかのように見えるが、命は実在であり死は幻想である。命と死は根本的に二項対立しない。この世においてのみ、肉体的な命と肉体的な死が対立しているかのように見えるだけ。
 


There is no death because what God created shares His life. There is no death because an opposite to God does not exist. There is no death because the Father and the Son are One.
  • death [déθ] : 「死、死亡」
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生存する」
❖ "There is no ~ "「神が創造したものは神の命を分かち合っているので、いかなる死も存在しない」。"There is no ~ "「神に対抗するものは存在しないので、どんな死も存在しない」。"There is no ~ "「父なる神とその神の子は一体であるから、死は一切存在しない」。実相世界に死という概念はない。死は真実ではないからだ。



2. In this world, there appears to be a state that is life's opposite. You call it death. 
  • appear [əpíərəns] : 「〜のように見える、〜と思われる」
state [stéit] : 「状態、形勢、状況」
❖ "In this world ~ "「この世界では、命と対立する状態が存在しているかのように見える」。"You call it ~ "「あなたはそれを死と呼んでいる」。時空間の存在するこの幻想世界では、あらゆるものが変化流動し、崩壊へと向かう。肉体的な死は免(まぬが)れ得ない。しかしそれは、単なる悪夢の結末であって、実相的な命は決して失われない。



Yet we have learned that the idea of death takes many forms. It is the one idea which underlies all feelings that are not supremely happy. 
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿」
  • underlie [ʌ̀ndərlái] : 「〜の基礎にある」
  • feeling [fíːliŋ] : 「感じ、感覚、感情、感じ」
  • supremely [səpríːmli] : 「最高に」
❖ "Yet we have ~ "「しかし私達は、死という発想が多くの形をとることを学んできた」。"It is the one ~ "「死という発想は、最高に幸せではない感覚のすべての基礎をなす思いの一つに過ぎない」。肉体的な死だけが死ではない。幸せを感じさせないすべての思いの根底に、死という発想が根付いている。



It is the alarm to which you give response of any kind that is not perfect joy. 
  • alarm [əlάːrm] : 「警報、警告、恐怖、不安」
  • response [rispάns] : 「反応、返答、回答」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
  • perfect [pə́ːrfikt] : 「完全な、完璧な」
❖ "It is the alarm ~ "意訳する、「死という発想は、完璧な喜びとは言えないあらゆる種類の反応に対してあなたが与えた恐れなのだ」。次の文に例が挙げられているのだが、たとえば、あなたが何かを失って悲嘆に暮れたとしよう。あなたの悲嘆には喜びのかけらすらない。そのとき、あなたは喪失の悲しみに反応して、不運と不幸への憤り、自分の卑小さへの怒り、将来への不安、生きる望みの喪失、等々の感情を抱き、諦めと恐れを覚える。その不安や恐れこそが死という発想なのだ。喜びを感じ得ない心が死を生み出す。



All sorrow, loss, anxiety and suffering and pain, even a little sigh of weariness, a slight discomfort or the merest frown, acknowledge death. And thus deny you live.
  • sorrow [sάrou] : 「悲しみ、悲哀」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、喪失」
  • anxiety [æŋzáiəti] : 「心配、不安、悩み、心配事」
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しみ、苦痛、苦難」
  • pain [péin] : 「痛み、苦痛」
  • sigh [sái] : 「ため息」
  • weariness [wíərinəs] : 「疲労、退屈」
  • slight [sláit] : 「非常に小さい、ほんのわずかな」
  • discomfort [diskʌ́mfərt] : 「不快、不安、辛苦」
  • mere [míər] : 「ほんの、単なる」
  • frown [fráun] : 「難しい顔つき、渋面」
  • acknowledge [æknάlidʒ] : 「認める、受け入れる」
  • deny [dinái] : 「否定する、認めない」
❖ "All sorrow ~ "「あらゆる悲しみ、喪失、不安と苦しみと痛み、」"even a little ~ "「疲れ果ててふと漏らすため息、ちょっとした不快感、わずかなしかめっ面でさえ、死を受け入れたことになる」。"And thus ~ "「こうして、あなたが生きていることを否定するのだ」。あなたが喜びをもってワクワクしながら生きていない限り、あなたは死を呼び込んでいることになる。喜びをわざとつくろって生きる必要はないが、命に栄養を与えるのは喜びであり、逆に命が本当の命として存在するとき命は喜びを発散する。ただし、喜びを快楽と履き違えてはいけない。刹那的な快楽を求めることは喜びを歪め、死を早めるだけだ。ACIMは快楽主義ではない。



3. You think that death is of the body. Yet it is but an idea, irrelevant to what is seen as physical. 
  • irrelevant [iréləvənt] : 「見当違いの、無関係の」
  • irrelevant to : 「〜にとって無関係な」
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な」
❖ "You think that ~ "「あなたは、死は肉体に関することだと思っている」。"Yet it is ~ "「しかし、死とは想念に過ぎず、肉体的なこととして見えるものとは無関係である」。死は心が生み出す幻想である。心が死という想念を信じる限り、死は肉体的な事象に止(とど)まらず、幻想世界の諸現象に蔓延する。



A thought is in the mind. It can be then applied as mind directs it. But its origin is where it must be changed, if change occurs. Ideas leave not their source. 
  • thought [θɔ́ːt] : 「思い、考え、思考、思想」
  • apply [əplái] : 「適用する、応用する、当てはめる」
  • direct [dirékt] : 「〜に〜するよう指示する」
  • origin [ɔ́ːrədʒin] : 「源、起源」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる」
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜と別れる」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
❖ "A thought is ~ "「想念は心の中にある」。"It can be ~ "「したがって、想念は心が命ずるままに適用され得る」。"But its origin ~ "「しかし、もし想念の変化が起こるとすれば、想念が変えるべき場所であるその源である」。心を変えなければ想念も変わらない。想念や思考の主人である心自体が変化しなければ、心の従者には何の変化も起きない。"Ideas leave ~ "「思考はその源を離れることはない」。



The emphasis this course has placed on that idea is due to its centrality in our attempts to change your mind about yourself. 
  • emphasis [émfəsis] : 「重点を置くこと、強調」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
  • due [djúː] to : 「〜が原因で、〜のせいで 」
  • centrality [sentrǽləti] : 「中心であること、重要性」
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
❖ "The emphasis this ~ "「このコースがそういう思考に重点を起きてきたのは、あなた自身に関するあなたの心を変える試みが中心課題であるからだ」。今あなたが抱いている想念の誤りを指摘しながら、その源である心を正し方向に修正していくことがこのコースの中心課題である。あなた自身に関するとは、本当のあなたは何者なのかという問いかけである。



It is the reason you can heal. It is the cause of healing. It is why you cannot die. Its truth established you as one with God.
  • reason [ríːzn] : 「理由、原因、根拠」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、成立させる」
❖ "It is the reason ~ "「それが、あなたがヒーリング出来る理由である」。あなたの心が真実に目覚めれば、あなたは他者を悪夢から救い出すことが出来る。"It is the cause ~ "「それが、ヒーリングの要因である」。夢から目覚めて真実を見ること、それがヒーリングのすべてだ。"It is why you ~ "「それが、なぜあなたは死ぬことが不可能なのかという理由である」。死は誤った想念であるから、真実に目覚めたあなたは死という想念をもたない。だから、死という幻想は現実化する可能性はなくなってしまう。"Its truth established ~ "「その真実が、神と一体である者として、あなたを確立した」。真実に目覚めた者は、自分が神の子として神と一体であることを再確認できる。神が永遠不変であるように、神の子であるあなたも永遠不変である。幻想の死をもつことはない。神は幻想と一切の関わりをもたないのだ。



4. Death is the thought that you are separate from your Creator. 
  • separate [sépərət] : 「分離した、分けられた」
❖ "Death is the ~ "「死は、あなたを創造した神から分離しているという思考である」。永遠不変の神から分離し、変化流動する幻想世界で生きていると信じているから、変化流動の帰結である死は免(まぬが)れえない。



It is the belief conditions change, emotions alternate because of causes you cannot control, you did not make, and you can never change. 
  • condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況」
  • emotion [imóuʃən] : 「感情、興奮、感性」
  • alternate [ɔ´ːltərnèit] : 「交代する、交互に入れ替える」
  • because of : 「〜のために、〜のせいで」
  • control [kəntróul] : 「操作する、制御する、統制する」
❖ "It is the belief ~ "「それは、状況は変化し、あなたの制御が及ばない原因によって感情はころころ変わり、あなたがそうしようと思ったわけでもなく、また決して変えようはないと信じていることだ」。周りの状況は変化流動し(conditions change)、自分では制御できない原因によって感情は揺れ動き(emotions alternate because of causes you cannot control)、あなたは自分で望んでそんな状況を作り出したわけでもなく(you did not make)、また、状況を変えたくても変えようがない(and you can never change)と思っていること自体が、神から分離した思考であり、死を確実に招く思いである。



It is the fixed belief ideas can leave their source, and take on qualities the source does not contain, becoming different from their own origin, apart from it in kind as well as distance, time and form.
  • fixed [fíkst] : 「固定した、定着した、不変の」
  • leave [líːv] : 「〜から離れる、〜と別れる」
  • take on : 「呈する、帯びる、持つようになる」
  • quality [kwάləti] : 「質、性質、本質、属性」
  • contain [kəntéin] : 「含む、包含する」
  • origin [ɔ́ːrədʒin] : 「源、起源、原因、原点」
  • different [dífərənt] : 「違っている、異なる」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
  • in kind : 「同種のもので、同じやり方で 」
  • as well as : 「〜と同様に」
  • distance [dístəns] : 「距離、間隔、隔たり」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ」
❖ "It is the fixed ~ "「それは、思考はその源から離れることが出来、源が持っていないような性質を帯びることが出来、それ自体の源とは違ったものになり、隔たり同様に、時間と形においても同種のものとかけ離れることが出来るとする固定観念である」。神からの分離は隔たりだけを意味しているものではなく、時間的にも、また持っている性質においても、あなたは神からかけ離れることが出来ると信じている、その固定観念が死を招く誤った思考である。



5. Death cannot come from life. Ideas remain united to their source. 
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである、相変わらず〜である」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
❖ "Death cannot ~ "「死が命からやって来ることは不可能だ」。幻想の死が実相の命の最終結果である可能性はない。"Ideas remain ~ "「想念はその源と一体である状態を保つ」。思いはそれを生み出す心と一体であり、心は神と一体である。切り離すことは出来ない。これ以降、想念が主語になっているのだが、想念と心が一体であることを踏まえて、想念を心と読み替えて解釈するといいだろう。



They can extend all that their source contains. In that, they can go far beyond themselves. 
  • extend [iksténd] : 「広げる、拡張する、拡大する」
  • contain [kəntéin] : 「含む、包含する」
  • go far beyond [bijάnd] : 「〜をはるかに超える」
❖ "They can extend ~ "「想念(心)は、その源が含むものすべてを拡張することが出来る」。あなたの想念は、あなたの心、さらに神の意志のすべてを拡張することが出来る。真実は分かち合われることで拡張増大することを思い出せばいい。"In that, they ~ "「そうする中で、想念(心)は自らをはるかに越えて行くことが出来る」。想念(心)は制限されることなく真実を拡張増大させることが出来る。自らの狭い世界を超越して行く。



But they can not give birth to what was never given them. As they are made, so will their making be. As they were born, so will they then give birth. And where they come from, there will they return.
  • give birth to : 「〜を出産する、〜を産む」
  • return [ritə́ːrn] : 「戻る、帰る、返還する」
❖ "But they can ~ "「しかし想念(心)は、自分に与えられなかったものを新たに生み出すことは出来ない」。心は真実を拡張増大させることは出来るが、新たに真実を生み出すことは出来ない。その必要がないからだ。つまり、真実のすべては神が既に創造してしまっているからだ。"As they are ~ "意訳する、「想念(心)は自らが創られたように、自らもまた創る」。心は神の心の延長上に創造された。つまり、神の拡張が神の子の心である。それとまったく同様に、あなたの心は新たに真実を創り出すのではなく、あなたの心を拡張して行くのだ。実相的な創造とは、真実の拡張に他ならない。"As they were ~ "「想念(心)が生み出されたように、心は想念を生み出して行く」。"And where they ~ "「そして、想念(心)がやって来た場所へ心は帰って行く」。心は神へと回帰する。いわば、生まれ故郷に戻っていくのだ。



6. The mind can think it sleeps, but that is all. It cannot change what is its waking state. 
  • waking [wéikiŋ] : 「起きている、目覚めている」
❖ "The mind can ~ "「心は、眠っていると思うことは可能だが、しかし、それだけのことだ」。"It cannot change ~ "「心は、目覚めた状態がどうであるか、それを変えることは出来ない」。心が目覚めた状態とは、神が創造したままの心の状態であり、それを変えることは不可能だ。



It cannot make a body, nor abide within a body. What is alien to the mind does not exist, because it has no source. 
  • abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
  • alien [éiljən] : 「性質の異なる、異質な」
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生存する」
❖ "It cannot make ~ "「心は肉体を創り出すことも、肉体の中に居座ることも出来ない」。心は、肉体を実相的に実体のあるものとして創造することは出来ないし、その中に留まることも不可能だ。ならば肉体は何なのか? 心が眠りの中で夢に見ている幻想に過ぎない。実体を持たない影である。"What is alien ~ "「心にとって異質であるものは存在しない」。肉体は夢の中の影であって、心とはまったく異質なものである。心は実在するが、影に過ぎない肉体は実在しない。"because it ~ "「なぜなら、肉体はまったく源を持たないからだ」。簡単に言えば、肉体は神が創造したものではない、ということ。もし神が肉体を実体として創造したのであれば、肉体は実在し、心は肉体が夢に見ている幻想に過ぎないだろう。しかし、真実はその逆である。



For mind creates all things that are, and cannot give them attributes it lacks, nor change its own eternal, mindful state. 
  • attribute [ǽtribjùːt] : 「属性、特質、特性」
  • lack [lǽk] : 「〜を欠く、〜が欠けている」
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の」
  • mindful [máindfəl] : 「心にかける、注意深い」
❖ "For mind creates ~ "「なぜなら、心はそこに存在するものすべてを創造するが、心がもっていない属性をそれに与えることも、心自体の永遠性や意識性といった状態を変えることは不可能だからだ」。心は真実を拡張しその場に実体として具現化できるが、真実以外の虚偽を実体化して、新たに創造することは出来ない。なぜなら、心は虚偽(幻想)という属性をもっていないからだ。いわんや、心のもつ永遠性を変えることは出来ない。ここの"mindful state"は微妙な意味合いなのだが、心の満ちた状態ということで、意識性と訳してみた。ヴィジョンを得た心の状態、という意味合いだろう。



It cannot make the physical. What seems to die is but the sign of mind asleep.
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な」
  • sign [sáin] : 「象徴、しるし、証拠」
  • asleep [əslíːp] : 「眠っている状態の」
❖ "It cannot make ~ "「心は肉体を創り出せない」。夢の中で幻の肉体を見るだけだ。"What seems to ~ "「死にゆくように見えるのは、心が眠っている証拠に過ぎない」。肉体はやがて死を迎えるが、それは夢の中の出来事に過ぎない。そもそも、肉体は実相的に存在していないのだから、死それ自体も夢なのだ。もしあなたが死を感じたなら、それは夢を見ている証拠だ。



7. The opposite of life can only be another form of life. As such, it can be reconciled with what created it, because it is not opposite in truth. 
  • opposite [άpəzit] : 「正反対の、逆の」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、現れ、姿」
  • reconcile [rékənsàil] : 「調停する、調和させる」
❖ "The opposite of ~ "「命と正反対のものは、単に、命が別の形をとったものでしかない」。命と正反対の死は、永遠不変の命が変化流動の終着点である死を形あるものとして幻想しているだけであって、命自体が形を変えて死を実在させたものではない。"As such, it ~ "「命と正反対のものはそんなものであるから、それは、それを作り出したものと和解させることが出来る」。死は命が幻想した夢でしかないので、命は死と戦う必要はなく、命は死と和解できる。つまり、死を幻想と認識して受け入れ、赦して消滅させることが出来る。つまり、贖罪である。"because it is ~ "「なぜなら、命と正反対のものは、本当は命と反対のものではないのだから」。死は命と正反対のものとして実相的に創造されたものではないのだから。死は命と正反対の役割を帯びているかに見えるが、命を消し去るだけのパワーなどもっていない。



Its form may change; it may appear to be what it is not. Yet mind is mind, awake or sleeping. 
  • appear [əpíərəns] : 「〜のように見える」
❖ "Its form may ~ "「死の様相は変化するかもしれない」。死は、いろいろな形を伴って夢の中に登場する。"it may appear ~ "「それは、本来の姿ではないように見えることもある」。肉体的な死だけが死ではなく、たとえば、絶望や悲しみも、死という夢がとる死の形である。"Yet mind is ~ "「しかし、目覚めていようが眠っていようが、心は心である」。死という幻想に耽溺する心でさえ、神が創造したままの純粋な心である。命が永遠不変であるとは、そういうことだ。



It is not its opposite in anything created, nor in what it seems to make when it believes it sleeps.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
❖ "It is not its ~ "「創造されたどんなものの中にも、また、心が眠っていると信じている時に心が作り出したものの中にも、正反対なものはない」。神が創造したものの中に正反対同士のものが存在しないのは明白であり、また、心が眠りの中で夢に見て創造した気になっているものの中にも、命や心と正反対の実在物はない。夢の中では正反対に見えるが、実在するものではない。夢から目覚めれば瞬時に消えてしまうからだ。



8. God creates only mind awake. He does not sleep, and His creations cannot share what He gives not, nor make conditions which He does not share with them. 
  • awake [əwéik] : 「目が覚めて、意識がしっかりして」
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況」
❖ "God creates ~ "「神は心を、目覚めた状態でのみ創造した」。眠った状態の心を創造したのではない。"He does not ~ "「神は眠ることはなく、神が創造したものは、神が与えなかったものを共有することは出来ないし、神がそれらと共有しない状況を創り出すことも出来ない」。神の住む世界は純粋一元論の世界であるから、目覚めた状態は存在するがそれと相反する眠った状態は存在しない。したがって、神の子は本来、眠りを実相的に創造することも、それを神と分かち合うことも不可能だ。神の子の心は実相的に常に目覚めているのだが、目覚めながら眠りを偽創造し、眠った気になっているだけなのだ。



The thought of death is not the opposite to thoughts of life. 
  • thought [θɔ́ːt] : 「思い、考え、思考、思想」
  • opposite [άpəzit] : 「反対、正反対、逆」
❖ "The thought of ~ "「死という考えは、命という考えに対抗するものではない」。実相的に実在する命に対抗するために、夢の中で死という考えをひねり出したわけではない。夢自体が死という様相を帯びているだけだ。分離を維持するために事象は変化流動し、生み出された混沌は崩壊へ向かわざるを得ない。それが死である。



Forever unopposed by opposites of any kind, the Thoughts of God remain forever changeless, with the power to extend forever changelessly, but yet within themselves, for they are everywhere.
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • unopposed [ʌ̀nəpóuzd] : 「反対のない、反対者のいない」
  • of any kind : 「いかなる種類の」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • changeless [tʃéindʒlis] : 「変化のない、不変の」
  • extend [iksténd] : 「伸びる、広がる」
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
❖ "Forever unopposed ~ "「いかなる種類の正反対のものにも永遠に対抗されることなく、神の思いは永遠に変化しないままだ」。実相的な真実の思いは、夢の中の虚偽によって変化させられることはない。"with the power ~ "「神の思いは永遠に変化することなく拡張するパワーをもっている」。真実は変化しないが、分かち合われることで拡張増大する。真実の拡張が実相的な創造である。"but yet within ~ "「しかし、神の思いはそれ自体の中に止(とど)まる」。"for they are ~ "「なぜなら、神の思いはすべての場所にあるからだ」。神はすべてを包み込む(all-encompassing)存在であることを思いだそう。神が真実を拡張するとは言っても、すべてを包み込む神の領域をはみ出すことはない。その領域自体が無限であるから、神の思いはその無限の中に止まるのだ。ここは非常に抽象的な言い回しをしているので理解しがたいだろうが、簡単に、真実の思いは真実という領域を越えることなく拡張し続ける、と考えていいだろう。実相世界は、至る所に真実があり、真実しか存在しないのだから。



9. What seems to be the opposite of life is merely sleeping. 
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
❖ "What seems ~ "「命の正反対に見えるものは、単に眠りである」。眠りながら夢の中で命に対抗しているだけだ。そのつもりになっているだけ。



When the mind elects to be what it is not, and to assume an alien power which it does not have, a foreign state it cannot enter, or a false condition not within its Source, it merely seems to go to sleep a while. 
  • elect [ilékt] : 「選ぶ、選択する」
  • assume [əsjúːm] : 「〜と仮定する、思い込む」
  • alien [éiljən] : 「性質の異なる、異質な」
  • foreign [fɔ́ːrən] : 「異質な、無関係な、無縁な」
  • state [stéit] : 「状態、情勢、状況」
  • enter [énter] : 「〜に入る、〜に立ち入る」
  • false [fɔ́ːls] : 「誤った、虚偽の、偽の」
  • condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
  • a while [hwáil] : 「しばらくの間、ちょっとの間」
❖ "When the mind ~ "「心が本来そうではないものを選んだとき、持ってもいない異質なパワーがあるという思い込み、入り込めない異質な状態、心の源にはない誤った状況、等々を選んだとき、心は単に、しばらくの間眠りについているようなものなのだ」。心が実相的な状態で機能していないときはいつでも、心は単に眠って夢を見ているだけだ。



It dreams of time; an interval in which what seems to happen never has occurred, the changes wrought are substanceless, and all events are nowhere. 
  • dream of : 「〜の夢を見る、〜を夢見る」
  • interval [íntərvl] : 「間隔、隔たり、距離、合間」
  • happen [hǽpən] : 「起こる、発生する」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、生じる、現れる」
  • wrought [rɔ́ːt] : 「workの過去過去分詞形、形作られた」
  • substance [sʌ́bstəns] : 「実体、実質、本質、物質」
  • event [ivént] : 「出来事、事件、事象、成り行き」
  • nowhere [nóuhwὲər] : 「どこにも〜ない」
❖ "It dreams of ~ "「心は時間という夢を見る」。"an interval in ~ "「その時間的な隔たりの中で、起こりもしないことが起き、形作られた変化は実体を伴わず、出来事のすべてはどこにも存在しない」。夢とはそういうものだと分かっていながら、今、私達が感じる圧倒的にリアルなこの世界が夢に過ぎないと思うことは少ない。



When the mind awakes, it but continues as it always was.
  • awaken [əwéikən] : 「目覚める、目を覚まさせる」
  • continue [kəntínjuː] : 「続く、継続する」
❖ "When the mind ~ "「心が目覚めたとき、心はいつも通りに、心のままであり続ける」。夢から覚めれば、心はいつも通りに実相世界で生き続ける。夢は忘れ去られるのだ。



10. Let us today be children of the truth, and not deny our holy heritage. Our life is not as we imagine it. 
  • children [tʃíldrən] : 「childの複数形、子どもたち」
  • heritage [héritidʒ] : 「遺産、天性、運命」
  • imagine [imǽdʒin] : 「想像する、思う、心に描く」
❖ "Let us today ~ "「今日、私達は真実の子になろう」。"and not deny ~ "「そして、私達が継承した遺産を否定したりすまい」。神からの贈り物である神の属性のすべてを受け入れよう。"Our life is ~ "「私達の命は、私達が創造するようなものではない」。命は肉体に閉じ込められているものでもなければ、肉体に従属するものでもない。



Who changes life because he shuts his eyes, or makes himself what he is not because he sleeps, and sees in dreams an opposite to what he is? 
  • shut [ʃʌ́t] : 「閉める、閉じる」
❖ "Who changes ~ "「いったい誰が、目を閉じたからといって命を変えられるだろうか」。"or makes himself ~ "「あるいは、本当の自分と正反対の自分を眠りながら夢に見ているとからといって、本当ではない自分に自分を作り変えることがいったい誰に出来るだろうか」。



We will not ask for death in any form today. Nor will we let imagined opposites to life abide even an instant where the Thought of life eternal has been set by God Himself.
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する」
  • in any form : 「いかなる種類のものであれ」
  • abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の」
❖ "We will not ~ "「今日、私達はどんな形の死も求めまい」。"Nor will we ~ "「神自身によってセットされた永遠の命という思いがある場所に、命と正反対に空想されたものを一瞬たりとも止め置くことはすまい」。



11. His holy home we strive to keep today as He established it, and wills it be forever and forever. He is Lord of what we think today. 
  • strive [stráiv] : 「努力する、努める」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、制定する、成立させる」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • lord [lɔ́ːrd] : 「主、権力者、主人」
❖ "His holy home ~ "「今日、私達は神の神聖な住み家を、神がそれを創り、永遠に永久にそのままであってほしいと意図したままに保つように努力をする」。"He is Lord ~ "「神は、今日私達が思いを巡らすことの主人である」。私達の意志と神の意志が調和した今、私達が思うことは神の思うことと一致する。私達の思いは神の思いから発せられているように感じるだろう。私達の思いの主(ぬし)は父なる神である。



And in His Thoughts, which have no opposite, we understand there is one life, and that we share with Him, with all creation, with their thoughts as well, whom He created in a unity of life that cannot separate in death and leave the Source of life from where it came.
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • unity [júːnəti] : 「単一性、一つである状態、調和」
  • separate [sépərèit] : 「離す、分ける、分離する」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、ある状態のままにしておく」
❖ "And in His ~ "「そして、神の思いの中に、その思いは正反対のものを持たないのだが、その神の思いの中に、私達はただ一つの命だけが存在するのだと理解する」。純粋一元論の神の思いには、命という思いはあるが正反対の死という思いはない。その純粋な命は神の命に収斂(しゅうれん)され、命はたった一つなのだと理解される。"and that we ~ "「私達は(たった一つの命を)神と分かち合い、神が創造したものたちすべてと分かち合い、また、彼らの思いと分かち合う」。たった一つの命を分かち合うことで、その命は拡張増大していく。"whom He created ~ "「神は彼らを、死によって切り離されたり出来ないような、そして、命がやって来たその源を置き去りにしないような単一の命として創造した」。神が創造した命は神から分離できるものではない。死によって失われることも、神から一歩たりとも離れることも出来ない。



12. We share one life because we have one Source, a Source from which perfection comes to us, remaining always in the holy minds which He created perfect. 
  • share in : 「〜を分かち合う、〜を共有する」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
  • perfection [pərfékʃən] : 「完全、完璧、完成」
  • remain [riméin] : 「とどまる、残る、生き残る」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常にいつでも」
  • perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に」
❖ "We share one ~ "「私達は一つの源をもっているので、一つの命を分かち合っている」。"a Source from ~ "「その源から完全性が私達の下(もと)へやって来るのであり、神が完璧に創造した神聖な心の中にいつも留まっている」。



As we were, so are we now and will forever be. A sleeping mind must waken, as it sees its own perfection mirroring the Lord of life so perfectly it fades into what is reflected there. 
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • waken [wéikn] : 「目覚める」
  • mirror [mírər] : 「〜を映す」
  • perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に」
  • fade [féid] : 「薄くなる、消えていく、弱まる」
  • reflect [riflékt] : 「〜を映す、示す、反映する」
❖ "As we were ~ "「私達はそうであったし、今もそうだし、未来も永遠にそうであり続ける」。私達の完全性は時間を超越し、永遠に不変である。"A sleeping mind ~ "「心自体の完全性が、命の主をあまりにも完璧に映し出すので、そこに映し出されたものの中に命が溶け込んで消えていくのを目にするとき、眠った心は目覚める」。他者は鏡に映った自分であると何度も書いたが、ここではその他者が神に置き換わっている。あなたは鏡の中にあなたの心の完全性を目にする。それは命の源である神の完全性と同一であり、あなたの完全性が鏡に映し出された神の完全性の中に溶け込んでいく。自他一如という言葉にあやかれば、まさに人神一如の瞬間である。このとき、あなたの心は完全に実相に目覚めるのだ。



And now it is no more a mere reflection. It becomes the thing reflected, and the light which makes reflection possible. No vision now is needed. 
  • no more : 「それ以上〜ない」
  • mere [míər] : 「ほんの、単なる」
  • reflection [riflékʃən] : 「反射、影、反映」
❖ "And now it ~ "「今や、それはもはや単なる反映ではない」。鏡に映されたあなたの心の完全性と神の完全性が融合したのだから、単なる鏡の反映ではなくなる。神の子と神の分離が解かれた瞬間である。だから、心が目覚めた、と表現されている。"It becomes ~ "「それは、映し出されたものとなり」、映し出された神の完全性があなたの完全性になり、"and the light ~ "「反映を可能とした光となる」。あなたの完全性は、真実を映し出す光そのものとなる。あなたは真実の光を放つ光の子となる。"No vision now ~ "「今や、ヴィジョンは必要とされない」。今までは真実を見るために光を借りていたが、今やあなた自身が光を発しているので光を借りる必要はなくなった。ヴィジョンは叡智(Knowledge)へと進化変身したのだ。仏教的に言えば、悟りを開いて般若を獲得した瞬間である。



For the wakened mind is one that knows its Source, its Self, its Holiness.
  • holiness [hóulinis] : 「神聖、神聖さ、高潔」
❖ "For the wakened ~ "意訳する、「なぜなら、目覚めた心は、その源を知っている心と一体となり、本当の心、神聖さそのものとなったのだからだ」。あなたの心は神の心と同一であると知った。神の子の本来の心を取り戻したのだ。それは完全であり、完璧に神聖である。







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