●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



Lesson 155




I will step back and let Him lead the way.
  • step back : 「後に下がる、後退する」
  • lead [líːd] : 「案内する、導く」
❖ "I will step ~ "「私は一歩下がって、ホーリー・スピリットに道案内をしてもらおう」。一歩下がるとは、頭脳による理性的評価判断を中断するという意味合い。判断をホーリー・スピリットに委ねるのである。判断はホーリー・スピリットに委ねるとしても、ホーリー・スピリットを選択するのはあなたの自由意志である。道とは、神への道、天の王国への道、夢から覚醒に至る道、赦しと贖罪の道、等々。



1. There is a way of living in the world that is not here, although it seems to be. 
  • way [wéi] : 「方法、やり方、様式」
  • although [ɔːlðóu] : 「〜ではあるが」
❖ "There is a way ~ "「存在しているように見えてはいるが、ここには存在しない世界にあっても、生き方はある」。この世界は心が投射によって作り出した幻想であって、存在しているように見えるが、本当は存在していない。しかし、その中にあっても、覚醒へ至る正しい生き方というものは存在する。



You do not change appearance, though you smile more frequently. Your forehead is serene; your eyes are quiet. 
  • appearance [əpíərəns] : 「外観、外見、見掛け」
  • smile [smáil] : 「ほほ笑み、笑顔」
  • frequently [fríːkwəntli] : 「頻繁に、たびたび」
  • forehead [fɔ́ːrhèd] : 「額、前額部」
  • serene [səríːn] : 「静かな、穏やかな」
  • quiet [kwáiət] : 「静かな、平穏な、穏やかな」
❖ "You do not ~ "「あなたがより頻繁に微笑むことがあっても、外見は変わらない」。ここは、文の流れから言って「あなたの外見は変わらないが、以前よりも頻繁に微笑むようになる」という意味合い。"Your forehead is ~ "「あなたの額は穏やかであり、目は静(しず)やかだ」。



And the ones who walk the world as you do recognize their own. 
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める」
❖ "And the ones ~ "「あなたと供にこの世界を歩む者達は、彼ら自身(の生き方)を認識する」。あなたが心穏やかな生き方をするとき、それを見た同胞達もまた、そういう生き方が自分自身の生き方だと認識するようになる。同胞達はあなたと同類の自分を受け入れるのだ。



Yet those who have not yet perceived the way will recognize you also, and believe that you are like them, as you were before.
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "Yet those who ~ "「しかし、まだ(正しい)生き方に気付いていない者達でさえあなたを認識し、あなたが以前そうであったように、あなたが彼らと似ているはずだと信じる」。ホーリー・スピリットの導きによる穏やかな生き方に気付いていない者達も、あなたの生き方を目撃して、自分もまたあなたと同類であるに違いないと思うようになる。彼らの心の中のホーリー・スピリットがあなたの心の中のホーリー・スピリットと共鳴し合うのだ。それは、あなたが自分の心の中のホーリー・スピリットに気付く前と同じ過程である。



2. The world is an illusion. Those who choose to come to it are seeking for a place where they can be illusions, and avoid their own reality. 
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる」
❖ "The world is ~ "「この世界は幻想である」。"Those who choose ~ "「この世界にやって来ることを選択した者は、自分が幻想になり得る場所を探し、自分自身の実存を回避する」。この幻想世界で生きることを選択した者は、自分自身も幻想の一部として幻想に参加することを求めている。いわば夢の中の自分を演じるのだ。そして、幻想から目覚めた本当の自分を求めることを回避する。



Yet when they find their own reality is even here, then they step back and let it lead the way. 
  • find [fáind] : 「発見する、見いだす、気付く」
❖ "Yet when they ~ "「しかし、彼らが自分自身の実存はこの世界の中にさえ存在し得ると知ったとき、彼らは一歩退いてその実存に道案内してもらう」。幻想世界にあって自らも幻想として生きているにもかかわらず、本当の自分自身、スピリットという実存に気付いたとき、彼は幻想の自己から一歩退いて、実存たるスピリットに道を譲る。あなたの実存たるスピリットとは、とりもなおさず、ホーリー・スピリットである。



What other choice is really theirs to make? To let illusions walk ahead of truth is madness. 
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • ahead [əhéd] : 「前方に、前途に」
  • madness [mǽdnis] : 「狂気、熱狂」
❖ "What other choice ~ "「実際、それ以外のどんな選択が出来るだろうか」。"To let illusions ~ "「真実の前方に幻想を歩かせることは狂気である」。真実より幻想を優先させるような生き方は狂気の沙汰だ。



But to let illusion sink behind the truth and let the truth stand forth as what it is, is merely sanity.
  • sink [síŋk] : 「沈む、沈没する」
  • behind [biháind] : 「〜の後ろに、後方に」
  • forth [fɔ́ːrθ] : 「前へ、先へ、前方へ」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
❖ "But to let ~ "「しかし、真実の後方に幻想を沈め、真実をあるがままに幻想の前方に立たせることは、まったく正気なことである」。幻想を消滅させ真実として生きることは正しい。



3. This is the simple choice we make today. The mad illusion will remain awhile in evidence, for those to look upon who chose to come, and have not yet rejoiced to find they were mistaken in their choice. 
  • simple [símpl] : 「簡素な、易しい」
  • remain [riméin] : 「とどまる、残る、残存する」
  • awhile [əhwáil] : 「しばらくの間」
  • evidence [évədəns] : 「証拠、痕跡」
  • in evidence : 「はっきり見えて」
  • those to do : 「〜する人々」
  • rejoice [ridʒɔ́is] : 「うれしがる、喜ぶ」
❖ "This is the simple ~ "「これは、今日私達がなす簡単な選択である」。"The mad illusion ~ "「狂気の幻想は、もうしばらくの間、はっきり見えるままであろう」。"for those to look ~ "「なぜなら、(この世界に)やって来て、誤った選択をしたことを知って喜びを感ずることがまだ出来ない人々が(この世界を)見ているからだ」。幻想から目覚めていない同胞がまだ投影を続けているので、もうしばらく、幻想世界はあなたの目の前に存続するだろう。その同胞はこの幻想世界に生まれることを選択したのであるが、それは誤った選択であって、本当は実相世界を選択すべきだったと気付いて喜びを感じることがまだ出来ていない。



They cannot learn directly from the truth, because they have denied that it is so. 
  • directly [diréktli] : 「直接に、真っすぐに」
  • deny [dinái] : 「否定する、認めない、信じない」
❖ "They cannot learn ~ "「彼らは真実から直接学ぶことが出来ない」。"because they have ~ "「なぜなら、彼らはそうだということを否定しているからだ」。目覚めていない同胞達は、真実を真実から直接学ぶことが出来ない。つまり、真実の総体である叡智の泉から真実をくみ取ることが出来ないのだ。幻想というフィルターを通して学ぶことに奔走し、真実を直視することを拒否しているからだ。



And so they need a Teacher Who perceives their madness, but Who still can look beyond illusion to the simple truth in them.
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を見抜く」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて」
❖ "And so they ~ "「そこで、彼らは彼らの狂気を見抜く教師が必要なのだ」。もちろん、ホーリー・スピリットのこと。"but Who still can ~ "「ホーリー・スピリットはそれでも、幻想を見透かして、彼らの心の中のシンプルな真実を見ることが出来る」。彼らの狂気的な幻想をホーリー・スピリットは知覚するのだが、その狂気の向こうに、彼らの真実を見抜くことが出来る。その真実は仰々しい難解なものではなく、いたってシンプルな真実である。たとえば、彼らは神が創造した神の子であって、完全に無辜である、等々。



4. If truth demanded they give up the world, it would appear to them as if it asked the sacrifice of something that is real. 
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • give up :  「あきらめる、断念する」
  • appear [əpíərəns] : 「〜のように見える」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、犠牲にすること」
❖ "If truth demanded ~ "「もし真実が、彼らが世界を諦めることを求めたなら、」"it would appear ~ 「それは、彼らにとって、まるで真実が現実的な何かの犠牲を求めているかのように見えるだろう」。この世の現実的な幸せや豊かさなどを犠牲にしてしまえと言われているように感じるだろう。



Many have chosen to renounce the world while still believing its reality. 
  • chosen [tʃóuzn] : 「chooseの過去分詞形」
  • renounce [rináuns] : 「放棄する、断念する」
❖ "Many have ~ "「多くの者はこの世界を放棄することを選択したが、同時にこの世界の現実性をまだ信じている」。言われるがままにこの世界を放棄するが、この世界が幻想に過ぎないとは信じ切れない。いわば、我慢してこの世界を放棄しているようなものだ。



And they have suffered from a sense of loss, and have not been released accordingly. 
  • suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、苦痛を感じる」
  • sense [séns] : 「感覚、感触、感じ」
  • loss [lɔ́s] : 「失うこと、喪失」
  • releas [rilíːs] : 「 〜を解放する、自由にする」
  • accordingly [əkɔ́ːrdiŋli] : 「それに応じて、それゆえ」
❖ "And they have ~ "「そして、彼らは喪失感に苦しみ続け、したがって、解放されたとは言えない」。この世の現実的なものを犠牲にしたと感じる限り、喪失感は必然だ。犠牲にしたように見えるものが単なる夢の中のものだと理解できるまで、この幻想世界からの本当の解放は現実化しない。



Others have chosen nothing but the world, and they have suffered from a sense of loss still deeper, which they did not understand.
  • deep [díːp] : 「深い、深さがある」
❖ "Others have chosen ~ "「また他の者は、この世界だけを選択した」。この世の犠牲を拒否したわけだ。"and they have ~ "「そして、彼らはさらに深い喪失感に苦しんできたのだが、彼らはそれを理解できなかった」。この世の幻想性に気付いていないので、この世界にしがみついてはみるが、なぜ喪失感だけが付きまとうのか、理解できない。



5. Between these paths there is another road that leads away from loss of every kind, for sacrifice and deprivation both are quickly left behind. 
  • path [pǽθ] : 「道筋、方向、生き方」
  • away from : 「〜から離れて」
  • deprivation [dèprəvéiʃən] : 「剥奪、奪うこと、喪失」
  • quickly [kwíkli] : 「速く、すぐに」
  • left [léft] : 「leaveの過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、ある状態のままにしておく」
  • behind [biháind] : 「〜の後ろに、後方に」
❖ "Between these paths ~ "「これらの道以外に、いかなる喪失へも導かないまた別の道がある」。"for sacrifice and ~ "「なぜなら、その道は、犠牲も喪失も速(すみ)やかに後方へ残してしまうからだ」。第三の道には犠牲も喪失もない。神への回帰の道である。



This is the way appointed for you now. You walk this path as others walk, nor do you seem to be distinct from them, although you are indeed. 
  • appoint [əpɔ́int] : 「決める、指定する、定める」
  • distinct [distíŋkt] : 「はっきりと区別できる」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに」
❖ "This is the way ~ "「これは、今あなたに指定されている道である」。"You walk this ~ "「あなたは、他者が歩むと同時にこの道を歩む」。"nor do you ~ "「あなたは他者とはっきり区別できないように見えるだろう」。"although you ~ "「もっとも、あなたは確かにあなたなのだが」。他者は犠牲や喪失の道を歩み、あなたは犠牲や喪失と無縁の道を歩む。見かけは、あなたと他者の間に違いはない。しかし、あなたの内面は、彼らとまったく違っている。



Thus can you serve them while you serve yourself, and set their footsteps on the way that God has opened up to you, and them through you.
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、〜に仕える」
  • footstep [fútstèp] : 「足跡、歩み」
  • open up : 「打ち明ける」
❖ "Thus can you ~ "「こうして、あなたがあなた自身に仕える間、彼らに仕えることが出来、神があなたに開いた道を、そして、あなたを通して彼らにも開かれ道を、彼らは歩むことが出来るのだ」。あなたが犠牲や喪失と無縁な道を自ら歩む限り、つまり、自分自身(スピリット)に仕えてる限り、犠牲や喪失の道を歩んでいた他者にもその道を教え、同じ道を彼らとともに歩むことが出来る。



6. Illusion still appears to cling to you, that you may reach them. Yet it has stepped back. 
  • cling [klíŋ] : 「しがみつく、くっついて離れない」
  • step back : 「後ずさりする、後退する」
❖ "Illusion still ~ "「幻想はまだあなたにくっついて離れていないように見えるので、彼らに手が届くかもしれない」。幻想が完全には消滅していないので、分離もまだ消滅しておらず、手を伸ばせば彼らに触れることが出来るように思われるかもしれない。"Yet it has ~ "「しかし、幻想は後退している」。もうすぐ幻想は消滅し、分離も消える。その時、あなたと彼らは自他一如なのだと知ることが出来る。



And it is not illusion that they hear you speak of, nor illusion that you bring their eyes to look on and their minds to grasp. 
  • speak of : 「〜を口にする、〜のことを話す」
  • look on : 「〜を見る」
  • grasp [ɡrǽsp] : 「〜を握る、把握する、理解する」
❖ "And it is not ~ "意訳する、「そして、あなたが話すのを彼らが聞くことは幻想ではなく、彼らの目が見えるようにし、彼らの心が理解できるようにすることも幻想ではない」。彼ら(同胞)とあなたはまだ分離した状態にあるが、幻想が退縮しつつある今、あなたが話す真実に彼らが耳を傾けたり、彼らが真実を目撃したり、彼らの心がそれを理解できるようにすることは出来る。それは幻想ではない。



Nor can the truth, which walks ahead of you, speak to them through illusions, for the road leads past illusion now, while on the way you call to them, that they may follow you.
  • ahead [əhéd] : 「前方に、前途に」
  • on the way : 「途中で」
  • call to : 「〜に声をかける」
  • follow [fάlou] : 「〜の後について行く、〜に従う」
❖ "Nor can the truth ~ "「また真実は、あなたの先を行っているのだが、幻想を通して彼らに語りかけることは出来ない」。あなたはまだ真実の総体である叡智にたどり着いてはいないが(真実はあなたの先を行っているが)、それでも、真実に目覚めたあなたは幻想を通してではなく、あなたの知った真実を通して彼らに語りかけることが出来る。"for the road ~ "「なぜなら、あなたが彼らに、あなたの後をついて来るようにと呼びかけている間に、道は今や幻想を通り過ぎてしまったからだ」。真実へ向かう旅の途中ではあるが、幻想の黒雲を通り越して、今や晴れ上がった空の下をあなたは歩いている。そしてあなたは、同胞にあなたの後を追うようにと呼びかけている。



7. All roads will lead to this one in the end. For sacrifice and deprivation are paths that lead nowhere, choices for defeat, and aims that will remain impossible. 
  • in the end : 「結局、ついに」
  • path [pǽθ] : 「小道、道筋、方向」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
  • defeat [difíːt] : 「敗北、挫折」
  • aim [éim] : 「目標、目的」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、あり得ない」
❖ "All roads will ~ "「究極的に、すべての道はこの道につながる」。すべての道は、今あなたが歩んでいる真実への道につながる。"For sacrifice and ~ "「なぜなら、犠牲と剥奪はどこにも導くことない道であり、挫折の選択、そして、不可能のままにとり残される目的だからだ」。



All this steps back as truth comes forth in you, to lead your brothers from the ways of death, and set them on the way to happiness. 
  • forth [fɔ́ːrθ] : 「前へ、先へ、前方へ」
  • come forth : 「現れる、出てくる」
❖ "All this steps ~ "「真実があなたの心の中に現れるにしたがい、犠牲と剥奪の道はすべて後退し、あなたは死への道からあなたの同胞を導き出し、幸せへ続く道を歩ませる」。



Their suffering is but illusion. Yet they need a guide to lead them out of it, for they mistake illusion for the truth.
  • suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ」
  • mistake A for B : 「AをBと間違える」
❖ "Their suffering ~ "「彼らの苦しみは幻想に過ぎない」。"Yet they need ~ "「しかし彼らは、苦しみから抜け出す導きをしてくれるガイドを必要としている」。"for they mistake ~ "「なぜなら、彼らは幻想を真実と取り違えているからだ」。幻想と真実の見極めが出来ていない同胞は、自分の苦しみが幻想であることをまだ知らない。あなたは真実へのガイド役となって、彼らを真実への道に招くのである。これがあなたの実相的な役割であり、あなたがキリストとなって世界を救うという神の計画の第一歩となる。仏教的な言い方をすれば、菩薩業である。



8. Such is salvation's call, and nothing more. It asks that you accept the truth, and let it go before you, lighting up the path of ransom from illusion. 
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い」
  • let go : 「放す、手放す、解放する、捨てる」
  • let it go : 「あきらめる」
  • ransom [rǽnsəm] : 「身代金、受け戻し、身請け、解放」
❖ "Such is salvation's ~ "「救いを求めるとはそういうことであって、それ以上のものではない」。"It asks that ~ "「救いは、あなたが真実を受け入れ、真実があなたの前を行くようにさせることを求めている」。"lighting up the ~ "「そうすれば、真実は幻想からの解放の道を照らし出してくれる」。ここで"ransom"という言葉を使っているが、幻想によって拘束されたあなたを解放し身請けするという意味合いである。いわば、あなたは幻想の人質(ひとじち)になっているわけだ。



It is not a ransom with a price. There is no cost, but only gain. Illusion can but seem to hold in chains the holy Son of God. 
  • cost [kɔ́st] : 「費用、経費、原価」
  • gain [géin] : 「利益、得ること、獲得」
❖ "It is not ~ "「それは対価を支払う解放ではない」。身代金も犠牲も伴わない解放である。"There is no ~ "「対価を支払うことはなく、むしろ得るだけだ」。"Illusion can ~ "「幻想は、神聖な神の子を鎖で拘束しているように見せかけることが出来るだけなのだ」。そんな夢から目覚めるだけなので、代償も犠牲も伴わない。



It is but from illusions he is saved. As they step back, he finds himself again.
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
❖ "It is but from ~ "「神の子が救われるのは幻想からである」。"As they step ~ "「幻想が後退すれば、神の子は再び自分自身を見出すのだ」。



9. Walk safely now, yet carefully, because this path is new to you. 
  • safely [séifli] : 「安全に、支障なく、無事に」
  • carefully [kέərfəli] : 「注意深く、丁寧に、慎重に」
❖ "Walk safely ~ "「今、安全に、しかし注意深く歩きなさい」。"because this ~ "「なぜなら、この道はあなたにとって初めてなのだから」。



And you may find that you are tempted still to walk ahead of truth, and let illusions be your guide. 
  • tempt [témpt] : 「〜を誘惑する、〜を唆す」
  • ahead [əhéd] : 「前方に、前途に」
❖ "And you may ~ "「真実の前を歩き、あなたの案内を幻想にやってもらいたいという誘惑に駆られるかもしれない」。エゴの誘惑に負けそうな自分を発見するかもしれない。



Your holy brothers have been given you, to follow in your footsteps as you walk with certainty of purpose to the truth. 
  • follow [fάlou] : 「〜の後について行く、〜に追随する」
  • footstep [fútstèp] : 「足跡、歩み」
  • certainty [sə́ːrtnti] : 「確実、確実性、間違いないこと」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標」
❖ "Your holy brothers ~ "「あなたが目的の確実性を抱きながら真実に向かって歩むとき、あなたの歩みに追随する神聖な同胞をあなたは得た」。本文は受動的な表現になっているので、あなたが強引に同胞を勧誘したのではなく、同胞の自由意志によってあなたに追随することを選択するのだと理解できる。ACIMは勧誘を良しとしない。



It goes before you now, that they may see something with which they can identify; something they understand to lead the way.
  • identify [aidéntəfài] : 「〜を同一視する、同定する」
❖ "It goes before ~ "「今、真実はあなたの前を行くので、同胞が自己同定出来る何か、正しい道だと理解できる何かを、彼らは目にすることが出来るだろう」。真実はあなたの行く先に立って、道を照らし出してくれる。その光の中で同胞達は、自分は何者なのか、その道がどんな道なのか、目にすることも出来、理解することも出来る。つまり、自分が神の子であって、実相への道を歩んでいることを受け入れるのである。



10. Yet at the journey's ending there will be no gap, no distance between truth and you. 
  • journey [dʒə́ːrni] : 「旅、旅行」
  • gap [ɡǽp] : 「すき間、隔たり」
  • distance [dístəns] : 「距離、間隔、隔たり」
❖ "Yet at the journey's ~ "「しかし、旅の終わりでは、真実とあなたの間に少しのギャップも隔たりもなくなる」。あなたは真実そのものとして存在することになる。あなた自身が道を照らす光となるのだ。



And all illusions walking in the way you travelled will be gone from you as well, with nothing left to keep the truth apart from God's completion, holy as Himself. 
  • travel [trǽvəl] : 「進む、旅する」
  • as well : 「同じに、その上」
  • left [léft] : 「leaveの過去・過去分詞形」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
  • completion [kəmplíːʃən] : 「完成、完了、完全さ」
❖ "And all illusions ~ "「そして、あなたが旅をしている道中付きまとっていた幻想のすべては、同時にあなたから立ち去って行き、神自身のように神聖な神の完全性から真実を引き離しておくようなものは何も残らない」。幻想は消滅し、あなたは神のように神聖な、神のように完成した存在となる。それを遮るものは何もなく、あなたの真実を神の神聖さや完全性から遠ざけるものも何もない。



Step back in faith and let truth lead the way. You know not where you go. But One Who knows goes with you. Let Him lead you with the rest.
  • in faith : 「本当に、疑いもなく、実に」
  • rest [rést] : 「残り、残りの部分、残余」
❖ "Step back in ~ "「信じて一歩退き、真実に道案内させなさい」。自分で真実の先を行こうとせずに、ホーリー・スピリットに道案内してもらいなさい。"You know not ~ "「あなたは、どこに行くのか知らない」。"But One Who ~ "「しかし、それを知っているホーリー・スピリットがあなたと供に歩んでくれる」。"Let Him lead ~ "「残りの道のりは、ホーリー・スピリットに案内してもらになさい」。



11. When dreams are over, time has closed the door on all the things that pass and miracles are purposeless, the holy Son of God will make no journeys. 
  • pass [pǽs] : 「通り過ぎる、通過する」
  • purposeless [pə́ːrpəslis] : 「目的のない、無益な」
❖ "When dreams are ~ "「夢が終わるとき、時間は、過ぎゆくものすべての扉を閉じ、奇跡は目的なきものとなる」。時間が過ぎゆくものの扉を閉じるとは、時間依存する現象を停止させる、つまり、時間が消滅する、ということ。幻想(夢)が消滅したので、もはや奇跡は不必要なり、奇跡は目的なきものとなる。"the holy Son ~ "「神聖な神の子はもはや旅をすることはない」。覚醒への旅は終わるのだ。



There will be no wish to be illusion rather than the truth. And we step forth toward this, as we progress along the way that truth points out to us. This is our final journey, which we make for everyone. 
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • forth [fɔ́ːrθ] : 「前へ、先へ、前方へ」
  • toward [təwɔ́ːd] : 「〜の方へ、〜に向かって」
  • progress [prάɡres] : 「進む、前進する」
  • point out : 「〜を指摘する、指し示す」
  • final [fáinl] : 「最後の、最終の、確定的な」
❖ "There will be ~ "「真実より幻想を望むこともなくなる」。"And we step ~ "「私達は、真実が私達に指し示す道に沿って前進しながら、これに向けて歩みを進める」。これとは、幻想より真実を望むこと。"This is our ~ "「これが、最後の旅路であり、私達はみんなのためにその旅を行く」。後に続く同胞のためにも、最後の旅を実行する。



We must not lose our way. For as truth goes before us, so it goes before our brothers who will follow us.
  • lose one's way : 「道に迷う、迷子になる」
❖ "We must not ~ "「私達は決して道に迷うことはない」。"For as truth ~ "「なぜなら、真実が私達の前を行くように、真実は、私達の後を追う同胞達の前を行くからだ」。真実が私達の先頭に立って道案内をしてくれるので、道に迷うことはない。もちろん、道案内をしてくれる真実とはホーリー・スピリットのこと。あるいは、イエス本人と考えてもいい。



12. We walk to God. Pause and reflect on this. Could any way be holier, or more deserving of your effort, of your love and of your full intent? 
  • pause [pɔ́ːz] : 「休止する、一息つく」
  • reflect [riflékt] on : 「〜を熟考する、思案する」
  • deserving [dizə́ːrviŋ] : 「〜に値する」
  • deserving of : 「〜を受けるべき、〜に値する」
  • effort [éfərt] : 「尽力、努力、取り組み」
  • intent [intént] : 「意図、意志」
❖ "We walk ~ "「私達は神へと向かって歩みを進める」。"Pause and ~ "「立ち止まって、このことをよく考えてみなさい」。"Could any way ~ "「いったいどんな道がこれ以上に神聖で、あなたの努力、あなたの愛、あなたの漲(みなぎ)る意志に値するだろうか」。



What way could give you more than everything, or offer less and still content the holy Son of God? 
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、〜を提供する」
  • content [kάntent] : 「〜を満足させる」
❖ "What way could ~ "「どんな道が、すべて以上をあなたに与え得るだろうか」。神への道がすべてをあなたに与えてくれる、ということ。"or offer less ~ "「あるいは、どんな道がより少なく与え、しかも神聖な神の子を満たしてくれるだろうか」。それ以外の道はわずかなものを与えるかもしれないが、神の子を満たすことは出来ない、ということ。



We walk to God. The truth that walks before us now is one with Him, and leads us to where He has always been. What way but this could be a path that you would choose instead?
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ」
❖ "We walk ~ "「私達は神へと向かって歩みを進める」。"The truth that ~ "「私達の前を歩む真実は神と一体であり、神がいつもいる場所へと私達を導いてくれる」。ホーリー・スピリットは神と一体であり、天の王国へと私達を導いてくれる。"What way but ~ "「この道を除いてどんな道が、あなたが代わりに選択できる道になり得るだろうか」。あなたが選択できる唯一の道は神への道である。



13. Your feet are safely set upon the road that leads the world to God. Look not to ways that seem to lead you elsewhere. 
  • safely [séifli] : 「安全に、支障なく、無事に」
  • set upon : 「進む、促進する」
  • look to : 「〜に目をやる、〜に目を向ける」
  • elsewhere [élshəwὲər] : 「ほかの場所に、ほかのどこかで」
❖ "Your feet are ~ "「あなたの足は、この世界を神へと導く道の上に安全にセットされている」。幻想世界から実相世界へ移行する道の上をあなたが歩むことが出来るように、あなたは足はその道の上にある。"Look not to ~ "「それ以外の場所へ導くように見える道に目を向けてはいけない」。



Dreams are not a worthy guide for you who are God's Son. 
  • worthy [wə́ːrði] : 「尊敬すべき、価値ある」
❖ "Dreams are not ~ "「夢は、神の子であるあなたにとって価値のあるガイドではない」。幻想はあなたを真実へ導いてはくれない。幻想は神の子であるあなたにとって何の価値もない。



Forget not He has placed His Hand in yours, and given you your brothers in His trust that you are worthy of His trust in you. He cannot be deceived. 
  • forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、〜を思い出せない」
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」
  • worthy [wə́ːrði] of : 「〜にふさわしい」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、裏切る」
❖ "Forget not He ~ "「神が神の手をあなたの手の中に置いていることを忘れてはいけない」。"and given you ~ "「そして、あなたは神の信頼に値するという、その神の信頼の下で、神があなたに同胞を委ねたことを忘れてはいけない」。



His trust has made your pathway certain and your goal secure. You will not fail your brothers nor your Self.
  • pathway [pǽθwèi] : 「小道、進路」
  • certain [sə́ːrtn] : 「確実な、確かな、信頼できる」
  • secure [sikjúər] : 「不安のない、安全な、しっかりした」
  • fail [féil] : 「〜を裏切る、〜を失望させる」
❖ "His trust has ~ "「神の信頼は、あなたが歩む道を確かなものとし、あなたが目的地に到着できることを確実にする」。"You will not ~ "「あなたは、あなたの同胞もあなた自身も、失望させることはない」。



14. And now He asks but that you think of Him a while each day, that He may speak to you and tell you of His Love, reminding you how great His trust; how limitless His Love. 
  • a while [hwáil] : 「しばらくの間、ちょっとの間」
  • remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
  • limitless [límitlis] : 「制限のない、無限の」
❖ "And now He ~ "「今、神は、毎日少しの間でもいいから、あなたが神を思うことを求めている」。"that He may ~ "「そうすれば、神はあなたに語りかけ、神の愛についてあなたに話すだろう」。"reminding you ~ "「そして、神の信頼がどんなに大きいか、神の愛がどんなに無限であるか、あなたに思い出させるだろう」。



In your Name and His Own, which are the same, we practice gladly with this thought today:

        I will step back and let Him lead the way, 
        For I would walk along the road to Him.
  • practice [prǽktis] : 「練習する、実践する、実施する」
  • gladly [ɡlǽd] : 「喜んで、喜々として」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思い、考え、思考」
  • walk along : 「歩く」
❖ "In your Name ~ "「あなたの名と神自身の名において、それは同じなのだが、私達は今日、次の考え方を喜んで練習する」。
"I will step ~ "「私は一歩下がって、ホーリー・スピリットに道案内をしてもらおう」。"For I would ~ "「なぜなら、私は神への道を歩んで行きたいからだ」。







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