●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



W-pII.What is Sin.1:1 ~ W-pII.What is Sin.5:8

What Is Sin?



1. Sin is insanity. It is the means by which the mind is driven mad, and seeks to let illusions take the place of truth. 
  • insanity [insǽnəti] : 「狂気、精神異常」
  • means [míːnz] : 「手段、方法」
  • drive ~ mad : 「〜の気を狂わせる、〜を発狂させる」
  • seek [síːk] : 「探し求める、捜し出す」
  • take the place of : 「〜に取って代わる」
❖ "Sin is ~ "「罪とは狂気だ」。"It is the means ~ "「罪は、心が正気を失って、幻想に真実の代わりをさせようとするための手段である」。神の子が神なしでも神のように生きていけるはずだと思った瞬間、思いは現実化し深い眠りの中で神なしの世界を幻想し始めた。神を裏切ったという思いが罪の意識の原型となる。卑近な例を言えば、どこぞのどら息子が親を捨てて家出をしたようなもの。親の愛を裏切り、親を捨てたという思いは罪の意識として息子に重くのしかかる。ルカによる福音書15:11~32に放蕩息子の話しが出てくるが、神と神の子の関係を象徴的に描いている。



And being mad, it sees illusions where the truth should be, and where it really is. 
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
❖ "And being ~ "「そして、狂っているので、心は真実があるべき所に、あるいは真実が実際ある場所に幻想を見る」。神と共に生きる世界は真実だけで満たされている世界であって、そこには罪の意識が作り出す幻想の必要性はない。神から分離して、真実を見ることを拒絶した神の子が、神なしで生きるために幻想を作り出さざるを得なかったのだ。これが愚かであり、狂気である。つまり、罪の意識は結果的に神の罰への恐れを生み出し、その恐れをかき消すために、真実から目をそらせる幻想が必要となるわけだ。



Sin gave the body eyes, for what is there the sinless would behold? What need have they of sights or sounds or touch? 
  • for what : 「何のために、どうして、なぜ」
  • sinless [sínlis] : 「罪のない、潔白な」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • sight [sáit] : 「視力、視覚、視野、視界」
  • touch [tʌ́tʃ] : 「感触、手触り」
❖ "Sin gave ~ "「罪は肉体に目を与えたが、罪なき者達はいったい何を見たいのか」。"What need ~ "「彼らは何の光景を、あるいは何の音を、何の感触を必要とするのか」。神と共に生きる世界は一元論の世界であって、愛はあるが憎しみはなく、喜びはあるが悲しみはない。罪の意識を抱えて夢に見ている世界は二元論の世界であって、愛と憎悪、喜びと悲しみ、善と悪、美と醜、等々の対立概念がひしめき合う。神から分離した神の子は、分離を象徴する世界を把握するために肉体に感覚器官を持たせ、五感をより所として対象を判断しなくてはならない。罪なき神の子には、本来は不必要な肉体であり、感覚である。



What would they hear or reach to grasp? What would they sense at all? 
  • reach [ríːtʃ] : 「手を伸ばしてつかむ」
  • grasp [ɡrǽsp] : 「〜を握る、つかむ」
  • sense [séns] : 「を感知する、〜に気付く」
  • at all : 「一体、そもそも」
❖ "What would ~ "「彼らは何を聞き、手を伸ばして何を掴(つか)もうとするのか」。"What would ~ "「そもそも、何を感じ取りたいのか」。夢に見ている幻想世界を感じ取り、ありもしない世界を把握するために感覚は必要だというだけ。夢から覚めたら、そんなものは不必要。現実、真実を知るために感覚は必要だと主張してみても、そもそも実在しない幻想世界に現実も真実もない。



To sense is not to know. And truth can be but filled with knowledge, and with nothing else.
  • be filled with : 「〜で満たされている」
  • knowledge [nάlidʒ] : 「知識、知恵、知見」
❖ "To sense is ~ "「感じることは知ることではない」。真実は、何かを五感で感じとって、その情報をより所に知るというものではない。"And truth can ~ "「そして、真実だけが叡智に満たされているのであって、その他のものは何も入り込めない」。実相世界における真実の総体が叡智である。叡智に満たされた世界が実相世界だと言ってもいい。叡智は光のように世界を満たしているだけだ。知るとは叡智による直覚である。



2. The body is the instrument the mind made in its efforts to deceive itself. Its purpose is to strive. 
  • instrument [ínstrəmənt] : 「道具、器具」
  • effort [éfərt] : 「尽力、努力」
  • in an effort to : 「〜しようと努力して、〜する目的で」
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標」
  • strive [stráiv] : 「努力する、奮闘する」
❖ "The body is ~ "「肉体は、自分自身を騙す目的で心が作り出した道具である」。"Its purpose ~ "「その目的とは努力することである」。実相世界にあっては、神の子はすべてに満たされ、努力することなくすべての真実を手にしていた。神から分離して幻想世界をでっち上げた後は、二元論世界の必然として不足や欠乏を覚える。神の子は肉体を用いて、不足したものを努力して奪い取らなくていけなくなった。



Yet can the goal of striving change. And now the body serves a different aim for striving. 
  • serve [sə́ːrv] : 「〜に役立つ、〜に仕える」
  • different [dífərənt] : 「違っている、異なる」
  • aim [éim] : 「目標、目的」
❖ "Yet can the ~ "「しかし、努力する目的は変え得る」。"And now the ~ "「そして今や、肉体は異なる努力目標に仕えることになる」。不足したものを奪うために努力をするのではなく、真実のすべてに満たされて不足のない世界に回帰するために、肉体のもつ努力するという能力を利用することが出来る。



What it seeks for now is chosen by the aim the mind has taken as replacement for the goal of self-deception. 
  • seek [síːk] for : 「〜を探し求める」
  • chosen [tʃóuzn] : 「chooseの過去分詞形」
  • replacement [ripléismənt] : 「交代、差し替え」
  • goal [ɡóul] : 「目標、目的」
  • self-deception [disépʃən] : 「自己欺瞞」
❖ "What it seeks ~ "「今肉体が探し求めるものは、心が自己欺瞞という目的に換えて選んだ目標によって選択される」。この世の不足は幻想に過ぎないのに、肉体は不足が実在すると自分を騙し続けてきた。しかし今、この世の不足を補うために努力するという目的に換えて、心は不足のない世界に目覚めるための努力を肉体に求める。



Truth can be its aim as well as lies. The senses then will seek instead for witnesses to what is true.
  • as well as : 「〜と同様に」
  • lie [lái] : 「嘘、虚言」
  • sense [séns] : 「感覚、感触」
  • instead [instéd] : 「代わりに」
  • witness [wítnəs] : 「証拠、証言、証人」
❖ "Truth can ~ "「真実は、嘘と同様に肉体が求める目的となり得る」。自己欺瞞が肉体の目的であったが、逆に、肉体は自己欺瞞から抜け出して真実に目覚める道具にもなり得る。"The senses ~ "「その時、感覚も目的を換えて、真実なるものの証言を求めることになる」。感覚は実在しないものを実在するかのように騙して来たが、それを止めて、実在する真実を感じ取ろうと努力し始める。



3. Sin is the home of all illusions, which but stand for things imagined, issuing from thoughts that are untrue. 
  • stand for : 「〜を表す」
  • imagine [imǽdʒin] : 「想像する、心に描く」
  • issue from : 「〜から流れ出す、〜に由来する」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思い、考え、思考」
  • untrue [ʌ̀ntrúː] : 「真実でない」
❖ "Sin is the ~ "「罪はあらゆる幻想の故郷であり、」罪の意識がすべての幻想を生み出しており、「それは空想された物事を表しているだけで、」"issuing from ~ "「真実ではない思いから流れ出て来る」。神を裏切り神から分離したという罪の意識が高ずると、神への恐れと相まって、それをごまかそうとして空想の世界に逃げ込む。心は思いを現実化する力を有しているから、ありもしない幻想を描いて嘘だらけの現実を作り出す。



They are the "proof" that what has no reality is real. Sin "proves" God's Son is evil; timelessness must have an end; eternal life must die. 
  • proof [prúːf] : 「証拠、証明、証し」
  • prove [prúːv] : 「証明する、〜が…であることを示す」
  • evil [íːvəl] : 「悪魔のような、邪悪な」
  • timelessness [táimlisnis] : 「時間が存在しないこと」
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
❖ "They are the ~ "「幻想は、まったく実在性のないものが実在するという『証拠』となる」。心がでっち上げた幻想が感覚器官で捉え得るというだけで、それこそ目の前の世界が実在する証拠だと主張する。"Sin "proves" God's ~ "「罪は、神の子が邪悪だということを『証明』している」。罪の意識を感じている以上、罪を犯したことは間違いなく、したがって邪悪な存在だと主張する。夜見る夢の中で犯した罪さえも、現実の罪だと主張しているようなものだ。"timelessness must ~ "「無時間性は必ず終焉を迎え、永遠の命さえ必ず死ぬ」。幻想世界の実在性を信じている限り、実相的無時間性は無視され、神の子が継承した永遠の命さえ、いつかは絶えてしまうものと信じ込まれる。



And God Himself has lost the Son He loves, with but corruption to complete Himself, His Will forever overcome by death, love slain by hate, and peace to be no more.
  • lost [lɔ́st] : 「loseの過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、喪失する、なくす」
  • corruption [kərʌ́pʃən] : 「腐敗、堕落」
  • complete [kəmplíːt] : 「〜を完了する、完成する」
  • overcome [òuvərkʌ́m] : 「乗り越える、打ち勝つ」
  • slain [sléin] : 「slayの過去分詞」
  • slay [sléi] : 「殺す、破壊する」
  • hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、静謐」
  • no more : 「もはや〜しない」
❖ "And God ~ "「そして神自身は愛する神の子を失い、堕落をもって神の完成となし、神の意志は死をもって永遠に打ち砕かれる」。"love slain by ~ "「愛は憎しみによって殺され、もはや平和は存在しない」。これが幻想世界の姿。つまり、罪の意識が必然的に描き出す幻想の姿。その実在性を偽証するのが肉体的な感覚。



4. A madman's dreams are frightening, and sin appears indeed to terrify. And yet what sin perceives is but a childish game. 
  • madman [mǽdmən] : 「気違い、狂人」
  • frightening [fráitniŋ] : 「恐ろしい、怖い」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに」
  • terrify [térəfài] : 「脅かす、恐れさせる」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • childish [tʃáildiʃ] : 「子どもみたいな、幼稚な」
❖ "A madman's ~ "「狂人の夢は恐ろしく、罪は確かに脅かしているように見える」。罪の意識は恐怖感をかき立て、狂人は恐ろしい幻覚を抱いてしまう。"And yet ~ "「しかしなお、罪が知覚するものは子供の遊びに過ぎない」。罪の意識が生み出す恐ろしい幻覚は、子供が本気になって遊ぶゲームのようなものだ。それがどんなに恐ろしいものであっても、子供がテレビ・ゲームの中で見るモンスターと同じだ。実際に存在するものではない。



The Son of God may play he has become a body, prey to evil and to guilt, with but a little life that ends in death. 
  • prey [préi] : 「犠牲、餌食、餌」
  • evil [íːvəl] : 「邪悪、不正」
  • guilt [ɡílt] : 「犯罪、罪」
❖ "The Son of ~ "「神の子は肉体をもったり、邪悪な者や罪の意識の餌食になったり、最後は死をもって終わるちっぽけな命を携えてプレーする」。この世はまさに、ちゃちなテレビ・ゲームである。



But all the while his Father shines on him, and loves him with an everlasting Love which his pretenses cannot change at all.
  • all the while : 「その間ずっと」
  • shine [ʃáin] : 「輝く、光る」
  • everlasting [èvərlǽstiŋ] : 「永遠の、永遠に続く」
  • pretense [priténs, príːtens] : 「偽りの行為、見せ掛け」
❖ "But all the ~ "「しかしその間ずっと、父なる神は神の子に光を与え、永遠の愛をもって神の子を愛して来た」。"which his ~ "「その愛は、神の子の偽りの行為が変え得るものではまったくない」。



5. How long, O Son of God, will you maintain the game of sin? Shall we not put away these sharp-edged children's toys? 
  • maintain [meintéin] : 「〜を維持する、保つ」
  • Shall we not 〜 : 「〜しませんか?」
  • put away : 「捨てる、放棄する」
  • sharp-edged [édʒd] : 「刃の鋭い、鋭い縁の」
❖ "How long ~ "「おお神の子よ、いったいいつまで罪という遊びを続けていくつもりなのか」。"Shall we not ~ "「こんな先の尖った子供のおもちゃなんか捨ててしまおうではないか」。



How soon will you be ready to come home? Perhaps today? There is no sin. Creation is unchanged. 
  • ready [rédi] : 「覚悟ができた、用意ができて」
  • perhaps [pərhǽps] : 「たぶん、もしかすると」
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作物、作品」
❖ "How soon will ~ "「あとどれくらいで家に帰る準備が出来るだろうか」。天の王国へ回帰する覚悟を早く決断しよう。"Perhaps ~ "「もしかしらた今日か」。"There is ~ "「罪などまったくない」。"Creation is ~ "「創造されたものは変化しない」。神は神の子を無辜(むこ)なるものとして創造した。それは永遠不変である。罪は錯覚に過ぎない。



Would you still hold return to Heaven back? How long, O holy Son of God, how long?
  • hold back : 「自制する、思いとどまる」
  • return [ritə́ːrn] : 「回帰、帰ること」
❖ "Would you ~ "「天の王国への帰還をまだ渋っているのか」。"O holy Son ~ "「おお神の子よ、いつまでかかるのか」。天の王国への回帰を決断するのにあとどれくらい時間が必要だと言うのか。今しかないではないか。






Archive

Notification

My photo


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター
Powered by Blogger.